地方整体師の原動力は「人を想う」こと【整体院ひなた 田中直也さん】#2
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売り上げアップのための取り組みについてインタビューする本企画。前回に続き、宮崎県宮崎市で「整体院ひなた」を経営する田中直也さんにお話をお聞きします。
後編では、認知度を高めるための取り組みをフォーカス。地方での集客や売り上げアップのための取り組みについてお聞きします。
お話を伺ったのは…
整体院ひなた 院長 田中直也さん
19歳での交通事故をきっかけに20歳で転職し、整体師の道へ。2022年5月、25歳で宮崎県宮崎市に「整体院ひなた」をオープン。宮崎唯一の運動療法による「痛みをとる根本整体」を掲げ、産後骨盤矯正にも力を入れている。Instagram、YouTubeにて、美姿勢から健康なカラダになるための情報を発信中。
田中直也さんのInstagram:kenkou.hinata_tana
スタッフ個々の良さを発信し「選ばれる」きっかけに
――地方での活動について、認知度をあげることが大切というお話がありました。田中さんはどんな方法を取り入れていますか?
一番力を入れているのはInstagramです。毎日リール動画を配信し始めて、半年ほどになりました。あとは折り込みチラシのポスティングや検索予約サイトでの広告、イベント出店などの取り組みも行っています。
とくに認知度アップにつながったのは、テレビ宮崎に出演したことです。宮崎のテレビ局は2つなので、みなさんどちらかを見ている状態。その1つに出させてもらえたのは、すごく認知の広がりを実感しました。
――テレビから声がかかったのは、何がきっかけだったんですか?
Instagramを見て、声をかけていただきました。どの投稿がきっかけかというのはわかりませんが、毎日投稿していたことで、ちゃんと取り組んでいる感じがしたのかなと思います。
――店舗の集客につながっている取り組みは?
Instagramから来てくださる方々は多いです。Instagramの投稿では、店舗の清潔感や、「流行っている」感を出すなど、「1回行ってみたい」と思ってもらえるように意識しています。とくにスタッフ個々の良さが伝わることは重視していますね。
今は2人でやっていて、やっぱり同じ技術を使っていても、それぞれ「売り」になるものは必ず違うんです。その部分をお客様は選んで、時間とお金をかけてくれるんだと僕は思っています。動画を通して僕たちのことを知って来てくれている分、実際に1対1のやり取りになったときもスムーズにいきやすいのかなと思います。
「話を聞く」という整体院の良さをしっかり取り入れリピート獲得
――リピートにつなげるための取り組みや心がけていることはありますか?
病院と違って、ちゃんと時間をかけて話を聞いてもらえるというのが、整体院の良さだと思います。だから問診には一番重きを置いていますね。
痛みを取りたいだけなら、痛み止めを飲めばいい。そうではなく、なぜ整体院に来たのか。どうしてお金と時間をかけてまで改善したいのかという部分まで、しっかり話を聞くことで信頼関係が生まれる。それがリピートにつながっているのかなと思います。
――新規の方に来ていただくための取り組みは?
新規の方は、検索予約サイトからが多い印象です。今はわかりませんが、サイトの口コミランキングで1位をいただいたんですね。それで「宮崎 整体」と検索すると、「整体院ひなた」が出るようになって、「1位だったから来ました」というお客様が増えました。地方だと、検索予約サイトで口コミ1位をもらうのは大きいと思います。
――1位になるためにしたことはありましたか?
もちろん、良いクチコミを書いてもらえるように、技術や見合った価格、身だしなみ、院の清潔感など、気をつける部分はたくさんあります。そのうえで、「よければ口コミお願いします」と一言添えていました。その積み重ねの結果だと思います。
ポスティングも毎日のSNS投稿も、原動力は「人を想う」こと
――活動のなかで「届けたい人に届ける」というお話もありました。これはターゲティングのお話ですね。
はい。僕のメインターゲットは30代女性を想定しています。でも届ける媒体ごとに意識的にターゲットを分けてもいるんです。例えばInstagramなら30代の姿勢に悩む女性、ポスティングであれば坐骨神経痛などの痛みに悩む高齢者…というように、媒体によってテーマを変え、届けたい人に届くように意識して広報はしています。
――地方だとポスティングもまだまだ強いのかなというイメージがあります。
高齢者の多い地域では、ダイレクトレスポンスマーケティングという直接的に反響が返ってくるものとして、やはりポスティングは強いと思います。とくに僕は開業してすぐの時期に、力を入れていました。チラシの内容によって反応率が変わったりするので、いろいろ試みていましたね。
――お客様に直接営業するという点で、イベント出店もされているとのことでしたね。
イベントへの出店も、声をかけていただいて始めました。認知を広めるために参加しましたが、直接的な反応は少なく、まだまだ反省は多いですね。せっかくお客様になり得る方に会える場なので、次のイベントでは予約につながる施策を取り入れられたらと思っています。
――最後に、これから地方で開業する方にアドバイスをお願いします。
本当におこがましいとは思うんですが…(笑)。どこの地方もそうだと思いますが、ライバルは日々増えています。そのなかで「僕が一番目の前の人を幸せにするんだ」「幸せにできる」という想いがあれば、僕は大丈夫だと思っているんです。
その想いが集客や売り上げ、リピートにつながっていくと思いますし、その想いが強ければ強いほど活動を後押ししてくれて、自然と幅が広がっていくんじゃないかと思うんです。だから、整体師として大前提である「人への想い」を持ち続けることを大切にして欲しいです。
取材・文/山本二季