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ヘルスケア 2023-11-03

定期的に技術を見てもらう機会を作る。人の目こそが成長の糧に「いとAROMA&SPA」真部奈津子さん

2023年6月、愛媛県今治市に「いとAROMA&SPA」をオープンさせた、セラピストの真部奈津子さん。セラピストとなるのを決意したのが33歳のとき。3年間のサロン勤務を経てオープンさせたサロンは、すでに人気を集め、順調なスタートを切っています。

前編では、短期間で高い技術を習得したコツについて伺いました。「3日空いただけでも、技術力は低下する」という真部さん。独立した今でも定期的に人から技術を見てもらう機会を作り、実直に技術を磨いてきたそうです。

今回、お話を伺ったのは…

真部奈津子(まなべなつこ)さん

「いとAROMA&SPA」オーナーセラピスト

ブライダル業界、有名コーヒーチェーン店勤務を経て、33歳のときにセラピストとなることを決意。3年間のサロン勤務ののち、2023年6月に愛媛県今治市に深層リンパトリートメントサロン「いとAROMA&SPA」をオープン。私生活では、2人の子どもを育てる母でもある。

インスタグラム:@ito_aroma_spa

定期的に人に指摘してもらうことで、技術は高められる

技術を維持するため、定期的に施術を見てもらっているという真部さん

――3年のサロン勤務を経て独立されたそうですね。技術を習得するうえで心がけてきたことはどんなことでしょうか?

定期的に技術を人に見てもらい、指摘していただく機会を大切にしてきました。セラピストは技術職です。施術が3日空いただけでも下手になりますし、ぼんやり施術を続けていても、慣れや癖が出てきて、お客さまに満足いただけない状態になってしまうこともあり得ると思うんです。独立してからはとくに、以前勤めていたサロンのオーナーやセラピストの知り合いに、施術を受けてもらい、気付いたことをフィードバックしてもらう機会を意図的に作るようにしています

――これまで受けたフィードバックで印象的だったものはありますか?

基本的なことだけれど、「できているつもり」になっている部分を指摘されることが多かったです。たとえば私が以前勤めていたサロンでは、マッサージを行う体の部位の端から端まで施術を行うことと、手だけではなく体を使って施術をするように言われてきました。足のマッサージを行う際には、足の端から端までをマッサージするのですが、自分としては端までマッサージをしているつもりでも、「かかとの1センチ、太ももの1センチが足りていないよ」と指摘を受けることがありました。また体を使った施術も気を抜いてしまうタイミングがあって、「あの部分の施術は手だけになっていた」と言われることも。

正直、意見をもらうのはすごく緊張するし、勇気がいるのですが、フィードバックをもらうことで、慣れや癖が出ていた部分に気付き、修正できるようになるのは大きなプラスだと思っています。そしてそれが結果的にお客さまの満足度につながっていくと思うので、前向きにとらえるようにしていますね。

――そういうことを教えてくれる人が回りにいないという人も多いと思いますが、何かいい方法はありますか?

そういう方は、ご自身で別の方の施術を受けてみるのもおすすめです。自分がお客さま側になってみることで、気付ける視点もあるのではないかと思います。

アロマオイルをふくませたシートをお渡しすることで、余韻を残す

開業する際、とくにこだわって選んだというオーガニックオイル。アフターカウンセリングではオイルをふくませたシートをお渡ししているそう

――施術の特徴は?

第三者機関のオーガニック認証を受けた精油を使っていることと、深層リンパトリートメントが特徴です。リンパトリートメントはさまざまな種類があると思いますが、このサロンは指圧の要素が強い施術になっています。

あとはその方が凝りや疲れを訴えている部分はもちろん、別の箇所からその凝りがきていないかも注意して見ます。オイルに入る前にタオルをかけた状態で少しもみほぐすようにしているので、そのときに体全体の堅い部分や凝っている部分がないか、体勢に癖がないかなどを見極めるようにしています。

――接客面で気をつけてきたことは?

お客さまとの心の距離の取り方です。セラピストは体だけでなく、心も扱う仕事だと思っています。とくに新規のお客さまのカウンセリングのとき。カウンセリングというと、どうしてもセラピストが上からになりやすいと思うんです。お客さまが辛いと思う体の箇所を伺って、じゃあこうしましょう、こんなアロマを使いましょうと上からの提案になってしまうというか。でも私はお客さまのことをほとんど知らないわけですから、あなたのことを教えてくださいという気持ちを大切に、話しやすい雰囲気を作るようにしてきました

――話しやすい雰囲気のために、気をつけていることはありますか?

あまりかしこまらず、素の自分を見せることです。あとはいきなり本題に入らないで、「このサロン、どうやって見つけてくれたんですか?」と世間話から入っていくことも多いですね。答えやすかったり、話しやすかったりする、ちょっとした話題から入ることで、話しやすい雰囲気になるのではないかと思います

――施術後に、カウンセリングは行っていますか?

アフターカウンセリングは必ず行います。私は施術後にお客さまがお支度をしている間に、お客さまにお渡しするシートを準備するんです。そこには体のイラストが入っているので、とくに疲れていた部分を丸で囲み、横にメッセージを添えています。内容は今日のお体の状態、使ったアロマオイル、今後提案したいケア、おすすめのメニュー、次回来店の目安ですね。

そして最後にシートにその日ブレンドしたアロマを一滴垂らして、アフターカウンセリングのあとにお渡ししているんです。お客さまがご自宅でメッセージを読んでくださったときに、香りからここで過ごした余韻に少しでもひたってくださったり、またここにきたいと思ってくださるといいなと思っています

お客さまの変化を間近で見られる、やりがいのある仕事

33歳のときに、セラピストを目指し始めたという真部さん。天職だと感じたそう

――セラピストを目指したのは、33歳の時だったと伺いました。何かきっかけはあったのでしょうか?

手に職をつけたいという思いが大きかったです。私自身がマッサージを受けるのが好きでよく通っていましたし、家で家族にマッサージをすることもあり、マッサージは私にとって身近だったため、直感的にセラピストになりたいと思ったんです。あとは、自分ひとりとお客さまの間だけで完結する仕事に憧れがありました。

つまり私ひとりが技術や作品を提供して成り立つ仕事ですね。なので、いつかは独立したいとも考えていました。その点からもセラピストは、独立するイメージがわきやすかったんです。

――では、最初から独立する前提だったということですね。

はい。技術の習得には3年ほどかかると思ったので、面接のときにオーナーには「3年経ったら独立するつもりですが、それでもよければ雇っていただけないでしょうか」という形で伝えていました。

――実際に、セラピストの仕事を始めてみて、どう感じられましたか?

もう、「楽しい」という感情しかなかったですね。体力も気も使う大変な仕事という一面もあるのですが、施術が終わったあとのお客さまの表情の変化を間近で見れたり、喜んでもらえたり。とてもやりがいがある仕事だと思ったんです。それまでの仕事でもブライダルや、大手コーヒーチェーンで、お客さまの心や日常が少しでも潤って、豊かになってほしいと思って仕事をしていたところがあったので、より直接的に関わることができて、体の疲れをケアできるセラピストの仕事は天職だと思いました。今でもその気持ちに変わりはありません。


後編では、真部さんが行ってきた、独立準備について伺います。一番苦労したというのが、ターゲットをしぼること。半年ほど悩んだそうですが、最終的にはサロン勤務時代にどんなお客さまから指名されることが多かったかを考え、40代~60代女性に決めたそうです。ターゲットをしぼったことで、その後は店名、内装のコンセプトなどがスムーズに決めることができたといいます。後編もお楽しみに!

Information

いとAROMA&SPA
住所: 愛媛県今治市松本町2丁目2-13 ヤヨイ写真館ビル3F

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