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ヘルスケア 2023-11-23

心身の乱れから立ち直るために学びを続け、心に寄り添うヨガ講師に【ヨガ講師 武田明子さん】#1

地方でヘルスケア事業に携わっている方に、開業や経営についての経験談をインタビュー。今回は大阪狭山市を拠点に、ヨガ講師として活動している「サロンAkiko」主宰・武田明子さんにお話をお聞きします。

前編では、武田さんがヨガ講師になった経緯、大阪狭山市のサロンについて教えていただきます。

お話を伺ったのは…
「サロンAkiko」主宰・ヨガ講師 武田明子さん

大阪狭山市生まれ。会社員生活18年を経て、2010年ヨガ講師に転身。スポーツジムなどで多数レッスンを受け持ちながら、2013年「サロンAkiko」を立ち上げる。自然の中でのヨガイベント、ホテルやカフェとのコラボイベントなど、多数企画・開催。会社員経験を活かし、着替えなしで誰でも簡単にできて、短時間で効果を感じる「仕事着そのままヨガ®」を考案。

Instagram:@salonakiko

Facebook:サロンAkiko

心身のバランスを整えるため学ぶなかで
ヨガが体だけでなく心にも作用すると気付く

――まずはヨガ講師を始めた経緯を教えてください。

37~38歳で家庭と仕事をたて続けに失ったとき、少し心身のバランスを崩してしまい、生きる気力がなくなってしまったんです。そこから「なんでこんなに頑張ってきたものがなくなっていくんだろう」と思って、いろんなことを学び出すようになりました。

最初は「少しでも心の不安定さを解決する助けになれば」と、耳なじみのあった心理学を学びました。自分が依存する性格だとか、自分に我慢をさせていること、そういった知識が増えていくなかで、いろいろなものの見え方が変わったんです。自分を知ることで、だんだん気持ちもラクになっていきました。でもなかなか心身のバランスを整えることはできなかったんです。

そんなとき習っていたヨガの先生から、「ヨガ講師になったら?」とすすめられました。20代のころから趣味でダンスを習っていて、そのための体のメンテナンス感覚でずっとヨガも続けていましたが、私は会社員経験しかありませんし、当時39歳だったので「ヨガの先生なんてできるわけない」と思ってスルーしていました。でも、どうしてもその言葉が頭から離れなかったんですよね。

それで「失業して時間もあるし失業保険を有意義なものに使ってもいいんじゃないか」と思い、「講師にはならなくても勉強だけはしてみよう」と、養成講座に通い始めたんです。

――はじめはお仕事にする予定ではなかったんですね。

そうですね。でも実際にヨガを深く習い始めると、自分の心と体が変わっていくのを感じました。それまでは「単なるスポーツ」と思っていたけれど、本格的に学ぶなかでヨガの哲学的な面や心の在り方、真髄のようなものを知り、ヨガは体だけでなく心にも作用することに気づいたんです。

ヨガと心理学はつながっていて、心理学では心からのアプローチだけですが、ヨガは体からのアプローチで心を元気にすることができる。それがすごく衝撃的で…。この経験を通して「ヨガをたくさんの人に伝えていきたい」と強く想い、ヨガ講師の道に進む決意をしました。

――心理カウンセラーの資格もお持ちですが、ヨガ講師の方がご自身に合っていた?

心理カウンセラーの資格をとったときに「こういう仕事ができたらいいな」と、ぼんやり思っていたこともありました。でも学んでいくうちに、誰かを助けるところまでいくのは難しいと感じたんです。

それがヨガを学んだことで、自分のなかでヨガと心理学がガチッと一緒になった感じがしました。自分でも変化を感じられた、体からのアプローチで心を整えるヨガなら、誰かのためにやってみたいと思えたんです。習っていたダンスの「体の使い方」という部分も含め、自分がやってきたことをすべてひとつにして、外に伝えられるものに出会えた気がしました。

スポーツジムなどで経験を積み、
人に寄り添える少人数制サロンを開業

――ヨガ講師になってからの活動について教えてください。活動のスタートは?

2010年にヨガ講師としての活動をスタートしました。講師として活動し始めるのは、すごく怖かったですね。でも「やってみないと始まらない」と思い、最初は赤字でも経験を積むことが大事だと思って、一歩を踏み出しました。養成講座に通ったところがスポーツ施設を斡旋してくれるところで、最初の活動は市の施設のヨガ教室でした。

その日はとても緊張して教室に行きましたが、すごく楽しかったのを覚えています。「初めてとは思えない」と生徒さんが言ってくれて…。そのときは週1回のそのお仕事しかない状態でしたが、「続けていきたい」「自分の使命は間違ってなかった」と思えたんです。

そこから、どうやったら仕事をしていけるのか全くわからなかったので、とにかくスポーツジムのオーディションを受けて、ヨガ講師の枠を取っていくことから始めました。それから7年ほどは、そういったスポーツジムや市の教室、ヨガスタジオなどで活動しました。

――大阪狭山市でサロンを始めた経緯を教えてください。

大阪狭山市は、私が生まれ育ち、今でも暮らしている大切な場所です。10年前は今のように大阪狭山市でヨガは普及していなくて、地元の人からも「狭山でやってほしい」という要望をいただいたのがきっかけで、地元にサロンを開くことを考えるようになりました。

ちょうど、おかげさまでジムやスタジオでの講座に、お客さんがたくさん来てくれるようになってきた時期で。忙しくヨガを教えていくなかで、「もっと一人ひとり寄り添って、ヨガを伝えたい」という思いを抱くようになっていたのも、地元サロンを開く後押しとして大きかったと思います。

また未来の自分の働き方を考えて、というのもあります。当時はとりあえず仕事がなくならないように、出勤ルートなんて考えずにどんどんスケジュールを埋めて、走り回っている状態。でも収入はOL時代の給料にもなりませんでした。「これを10年後もできるのか」と考えると、難しいだろうと思ったんです。

地元でサロンを開けたら、移動時間や交通費、待ち時間のカフェ代などもかからないし、外部でのレッスン前や夜遅くにレッスンすることもできる。サロンでのレッスンが増えたら、少しずつ外部でのレッスンも減らしていけるから、いろんな負担が減っていく。そんな気持ちもあり、地元にサロンを立ち上げることにしたんです。

特定の人のための「教室」ではなく
誰もが気軽に立ち寄れる「サロン」に

――ご自身のサロンの特徴を教えてください。

ヨガスタジオや教室、スポーツジムといった場所は、自分から体を動かしたいという人たちが多いんです。でも私は、昔の私のように心のどこかに不調を感じている人や、体を動かすのが苦手な人ほど、ヨガが必要だと思っています。

だから、ヨガを自ら習いに行くという選択ができない人にも安心して来てもらえるように、ヨガのポーズにこだわらず、ヨガの思想のなかから「動かないヨガ」も伝えていきたいと思い、ヨガ教室ではなく「サロン」として立ち上げました。

そのためサロンでのレッスンは、1人ひとりにしっかり向き合えるように少人数制にしています。また鏡のない、畳という少し柔らかい空間なので、人と比べず自分に集中して内観しやすい環境です。

現在は、ヨガ初心者の方、体に不具合があってスポーツジムなどには行けない方、体を動かすのは苦手だけど心身を整えたい方、心のケアをしたい方、リフレッシュして元気をもらいたい方などが来てくれています。

――そのほか、現在の主な活動内容は?

まずは、着替えずに短時間で効果を出す、誰でもできるヨガとして「仕事着そのままヨガ®」を考案し提供しています。着替えやマットが必要ないので、会議室やセミナールーム、カフェ、薬局、待合室などでもできる気軽さが人気です。

また、出張イベントも行っています。屋外で開催する自然と繋がるヨガ、食とのコラボ、学校や施設に呼ばれての出張ヨガ、健康セミナーなど。あとはダイエットサポートや心身を整えるための体質改善などに使う健康商材の案内などもしています。

――活動全体を通して大切にしている想いを教えてください。

野望ではないんですが、心と体が健康で経済的に自立できる女性でいっぱいにしたい、という気持ちは強いです。家庭と子育てと仕事の往復に追われて気持ちに余裕がなかったり、将来の不安を抱えていたり、自分を犠牲にした生き方をしている人が多いと感じています。自分を労わってあげたいけど時間の制限や経済的なところ、心身的なところで難しいという女性たちを元気にしていきたい

そこにアプローチしていくために、少人数制のサロンや短時間でできるヨガなどを考えてきました。そういった女性たちのサポートにつながる活動を、今後もしていきたいなと思っています。


次回後編では、武田さんがお仕事をするうえで大切にしていること、地域でのサロン経営について、お話をお聞きします。

取材・文/山本二季

Information

サロンAkiko
※お問い合わせはHP内「ご予約・お問合せ」からお願いします。

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