ヨガの真理は「愛」。その答えとの出会いでヨガ講師人生が一変!【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.45 ヨガ講師 佐藤ゴウさん】#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
今回は、人気ヨガ講師として多くのヨガイベントやレッスンに登壇するなど、高い実績を持つ「radhika yoga」の代表・佐藤ゴウさんにフォーカス。ヨガインストラクターの養成に10年以上携わっている佐藤さん。現在では「献愛奉仕のヨーガ」と言われるバクティ・ヨーガをベースに活動しています。
前編では、佐藤さんが人気講師となった経緯から、バクティ・ヨーガとの出会い、現在の働き方についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
ヨガインストラクター講師 佐藤ゴウさん
「radhika yoga Hayama」代表。IHTA国際ホリスティックセラピー協会顧問。日本各地で行われるヨガイベントやレッスンに登壇し、メディアへの出演実績も多数。ヨガ指導者養成にも長年携わり、1500名以上のヨガインストラクターを育成。現在は葉山を拠点に、日本各地でヨガクラスを担当し、「本当に大切なことを思い出す」「ボディとマインドのリリース」をテーマに指導を行っている。
Instagram:gosatoo_gaura_govinda_dasa
人気ヨガ講師として第一線で活躍した10年
──まずはヨガ講師になった経緯からお伺いします。
最初は講師になろうと思っていたわけではなく、インストラクターとして活動するつもりでした。インストラクターを目指してYMCメディカルトレーナースクールでティーチャーズトレーニングのクラスを受講していた時に、会社の方に「講師にならないか」と声をかけられたんです。「これから男性講師の時代がくるから」と。
まだインストラクターにもなっていなかったので、「未経験でもいいんですか?」と聞くと、「やっていけば歴になるから大丈夫」と言ってくださったので、じゃあやってみようかなという感じでした。
それから10年弱、正社員としてヨガ講師の仕事をしてきました。
──本当に講師として大活躍されましたね。
僕の場合はラッキーなことに会社の後押しがあったので、一線に出られました。最初に声をかけてくれた方が僕を推してくれたおかげで、いろいろなイベントにも登壇できましたし、数百人規模のクラスを担当することもありました。
「ハタ・ヨーガをしている人なら誰でも知っている」とか「今一番イケてるヨガ講師」と言われていた時代もあったりして…。当時は本当に調子にのっていましたね(笑)。ティーチャートレーニングをしていたころは、1日8時間クラスを持っていて、すごく頑張っていたなと思います。
でもその後、体調を崩してしまったんですよね。それからあまり頑張り過ぎないようにしています。
師匠と出会い、ヨガの真理を知ってから講師活動にも変化が
──10年のなかで働き方にも変化があったんですね。他に当時から変わったことはありますか?
ヨガに対する向き合い方が変わったのは、師匠(ジャヤーナンダ・ダーサ氏)との出会いが大きいです。ちょうど僕が有名講師と呼ばれていたころ、師匠の『バガヴァッド・ギーター』のクラスを受けに行ったんです。
そこで師匠に『バガヴァッド・ギーター』という経典の意味がわかるかという質問をされて、僕は調子に乗っていたので、手を挙げて「すべての知識です。私たちは知識を得ることで幸せになるんです」と答えたんです。でも師匠は「知識では幸せになれないよ」と言いました。
「『バガヴァット・ギーター』の答え、ヨガの答えは愛だ」「愛がハートに目覚めた人が幸せ。その一歩目は自分を許すこと」と。僕、うわー!って思って、めちゃくちゃ腑に落ちたんですよね。それって難しいことだけど、誰にでもできることなんです。体がどうとか知識がどうとかではなく、どれだけハートをやわらげられるか。だからどんな人にもチャンスがあるんです。
口だけなら誰でも言えることだし、本に書いてあっても入ってこないんですよね。でも愛というものを実現している人を目の当たりにして、すごくリアルに感じられたんです。
──それからヨガ講師としても変わった?
それまでは「どうしたら生徒さんが集まってくれるかな」という意識が前に出ていたと思います。DJの友達を呼んでセッションしたり、楽しくヨガをしよう!みたいなこともしていました。新しいかたちのクラスや他の人がしていないことをしなくちゃ、という意識があったんです。
でも師匠に出会ったら、そんなのどうでもよくなりました。そうやって競争のなかにいる以上、ずっとしんどいと思ったんです。ヨガの先生ってそれでいいのかなと、どこかでずっと疑問もあったんですよね。
だから僕は師匠の足跡に従いたいと思うようになりました。
師匠が言うんです。——伝統は変わらないし大切なものは大切。だけど伝え続けないとみんな忘れてしまうから、言い続ける人が必要なんだ。でも真実を伝えていくと、時に時代に合わず変人扱いされることもある。宗教と言われたり、哲学、理想論、綺麗事…いろいろ言われるけど、そんなことはどうでもいい。どんなに人が減ろうが本当のことを伝えないといけない。ただ、本当のことを伝えていれば人は来る——。
だから僕のクラスには嘘はありません。伝統的なヨガを学んでいる人は、捏造したり盛ったりしてはダメ。そのままであること。そうでないと、僕である意味がなくなるんです。
日常の暮らしのなかで、ヨガを通して愛への道を作っていく
──現在のクラスでも、お師匠さんから受け継いだ知識が活かされているんですか?
そうですね。師匠から受け取った知識や悟りを、いかにアレンジせずハタ・ヨーガに落とし込むか、ハタ・ヨーガをしている人たちにバクティ・ヨーガの愛の方向への道を作っていくかというのが、今の僕のチャレンジです。
アーサナのクラスでも「自分を許すこと」から始めるし、できるだけヨガを味わってほしいと思ってクラスを考えています。
──現在の働き方について教えてください。
一度体調を崩してセーブするようになったこともあり、基本の仕事は1日に1・2クラスにしています。
自営業なので、いろいろ自分でしなきゃいけないことは多いですね。あと、ありがたいことに生徒さんからいろいろ質問や悩み相談がくるんです。仕事や子育て、今後の人生に悩んでいる人もいます。その人たちにアドバイスをする時間も多いですね。メッセージでやり取りすることもあれば、電話をするときもあります。
──ヨガのポーズの質問とかではないんですね!
これもヨガに関係なさそうで、関係あるんですよ。バクティ・ヨーガの面白いところなんですが、ヨガは暮らしそのものなんです。暮らしのなかのすべての問題の原因は、愛から離れているということ。愛とは違う方向に意識が行っている時に問題は起こるんです。
僕はそれを学んできたので、そういう見方で人生を見ている。だから悩み相談にも、そういう視点からのアドバイスをしています。本当の意味での幸せを思い出せるように促していくと、みんなハートが柔らかくなる。それもヨガの一環なんです。
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ヨガを追求するなかで出会った師が伝えるバクティ・ヨーガに心を打たれ、受け継いでいきたいと決めた佐藤さん。間違いのない真理に出会ったことで、ヨガの道に新たな光が差したんですね。次回は、佐藤さんが授かったスピリチュアルネームの話、そしてヨガ講師の仕事に感じる魅力と大変さ、ヨガ講師を目指す人へのアドバイスをお聞きします。
取材・文/山本二季
撮影/本名由果(fort)