【介護レクリエーションvol.9】体を動かしながら交流を深める「スポーツレクリエーション」
現場で役立つレクリエーションのアイディアをご紹介する「介護レクリエーション」の企画。
高齢者は体を動かす機会が減っていき、筋力の低下とともに運動への意欲が衰えていきがちです。そこで今回は、体を動かす「スポーツレクリエーション」をピックアップ! 協力し合うことで、参加者同士の交流も深められます。
新聞破りゲーム
【対象者】新聞紙をつかむことが出来る方(片手・両手は問わない)
【レクの目的】手先・腕の運動、参加者同士の交流
【人数】2人1組×3〜4組
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】新聞紙(1組につき1枚)、椅子
【制限時間】1セット1分×3回程度
【レクリエーションの内容】2人1組で新聞紙を引っ張り合い、早く破ることができたペアが勝ちとなるゲームです。協力し合うことで参加者同士のコミュニケーションも深まります。
レクを始める前の準備
・2人1組をつくり、向かい合わせに座ってもらいましょう。
・1組につき1枚ずつ新聞紙を渡します。
遊び方
1. 2人それぞれが新聞紙の端を持ってスタンバイします。
2.スタッフの合図が聞こえたら、新聞紙を引っ張り合い、一番早く破れたペアが勝ちになります。3セット程行い、総合的に一番早く破くことができたチームの優勝です。
進め方のコツ
・同じタイミングで複数のペアの新聞紙が破れた場合は、よりまっすぐ破くことができたペアの勝ちにしましょう。
・新聞紙は、かけ声でタイミングを合わせて引っ張ることで破れやすくなります。苦戦しているペアに教えてあげましょう。
注意点
・飛沫感染抑止のため、新型コロナウイルス感染が落ち着いた時期に行うようにしましょう。
・新聞紙を引っ張り合ったときに、参加者が後ろにひっくり返る場合があります。スタッフはすぐに動けるよう、椅子の後ろに立って見守るようにしましょう。
ペットボトルボウリング
【対象者】座位保持が出来る方
【レクの目的】腕の運動、参加者同士の交流、脳の活性化、計算力の向上
【人数】1チーム1〜4人×2チーム
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】500mlのペットボトル6本、ゴムボール(片手でつかめる大きさ)、記録用のホワイトボード等、椅子
【制限時間】1セット30分程度
【レクリエーションの内容】ペットボトルをボウリングのピンに見立て、ペットボトルをいくつ倒したかで勝敗を決めるゲームです。ゲーム参加者はもちろん、観戦している人も楽しめ、交流が深まります。
レクを始める前の準備
・同じ人数になるように参加者を2チームに分けます。さらに、それぞれのチームの中でボールを転がす順番を決めておきましょう。
・スタッフは、ペットボトルをボウリングのピンの配置のように三角形に並べ、そこから3mほど離れたところにボールを転がす位置を定め、椅子を配置します。
・ボウリングのコースの周りに観戦者が座る椅子を並べます。
遊び方
1.チームの代表者はじゃんけんをして、先行と後攻を決めます。先行チームの1番目の人がボールを転がします。
2.ピンの倒れた数を得点とします。1人2回ずつ転がし、スタッフは合計点をボードに記録します。
3.次に後攻チームの1番目の人がボールを転がします。スタッフは同様に合計点を記録します。すべての参加者が投げ終えたら総得点を計算し、得点の多いチームが勝ちとなります。
進め方のコツ
・合計点は参加者に計算してもらうように促しましょう。
・ペットボトルまでボールを転がすことが困難な参加者には、転がす位置をペットボトルに近づけてあげましょう。
注意点
ボールを転がさずに「投げる」参加者もいます。そうすると、腕を痛めたり、椅子から落ちたりする原因になるので、スタッフは参加者の動作を見守り、危なそうな場合は「静かに転がしてくださいね」といった声掛けを行いましょう。
参加者同士はもちろん、利用者と介護従事者との交流を深めるのにもうってつけなゲームですね! 無理のない程度に、是非現場で取り入れてみてください。
イラスト:SMILES FACTORY
文:小沼奈央(レ・キャトル)
教えてくれたのは…
大野 孝徳さん
合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。