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ヘルスケア 2024-02-14

人生経験の深さも武器になる! 45歳でパーソナルトレーナーへ【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.130/パーソナルトレーナー・中田かんなさん】#1

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回お話を伺ったのは、パーソナルトレーナー・中田かんなさん

45歳で会社員を辞め、パーソナルトレーナーに転身された中田さん。現在は業務委託契約先のジムでフリーのトレーナーとして活躍されています。
前編では、パーソナルトレーナーになったきっかけや働き方の変化、これからのトレーナーに求められることなどを伺います。

事務職からトレーナーへ。
好きなことを仕事にできて毎日充実!

――パーソナルトレーナーになる前は、どんなお仕事をされていたんですか?

事務職です。総務部に在籍していました。40歳に時に趣味でトレーニングを始めたのですが、どんどん体がいい方向に変わっていくのでハマってしまって。翌年には「ベストボディジャパン」というボディメイクの大会にも出場したんですよ。

――すごいですね! 自らトレーナーになろうと思ったのは、なにかきっかけがあったんですか?

体づくりを始めたことをSNSで発信したら、同年代の友人からすごく反響があったんです。「どんなトレーニングをしているの?」「どんな食事をしているの?」と聞かれることも増えましたし、なにより「私もジムに通い始めたよ!」「ダイエット始めたよ」と、いい報告が聞けるようになりました。

「私の発信が誰かの役に立っているのかも」と思って、すごく嬉しかったですね。それでトレーナーという仕事に興味が湧き、実際にチャレンジしてみることにしたんです。

――現在フリーで活動されているということですが、集客が大変ではないですか?

現在スタジオ3社と業務委託契約をしているので、集客はスタジオがやってくれています

――そういった働き方もあるんですね。ちなみに会社員時代と現在では、気持ちの面でもなにか変化はありましたか?

会社員だとやはり「与えられた仕事をこなす」という感じでしたが、今では好きなことを仕事にできているので、充実感がいっぱい。毎日楽しくワクワクしながら過ごせていると思います。

トレーニングをサポートするだけでなく
お客さまの心にも寄り添って密な関係性を築く

――現在の働き方をもう少し詳しく教えてください。業務委託契約先のジムが3カ所ということですが、どのような感じで出勤されているんですか?

お客さまの予約に合わせてジムを行き来しています。予約頻度はそれぞれ違いますが、だいたい週1ペースでレッスンされる方が多いので、1日に2〜3人。お一人1時間なので、午前中にお一人、午後にお一人、夜お仕事帰りのお客さまがお一人、という感じです。

どうしても移動が多くなってしまいますが、時間にはわりと余裕があります。空いた時間は個人的に契約している24時間ジムに行って、自分自身のトレーニングをしています。

――ご自身のトレーニングも欠かさないんですね! ちなみにお客さまのレッスンで大切にしていることは?

これは私がパーソナルトレーナーになる勉強をしていた時に先生から言われたのですが、「毎回お客さまに、なにかお土産として持って帰ってもらうものを作りなさい」ということ。

もちろん本当の「物」ではなくてメンタル的なものですが、例えば「セッションが楽しかった」「今日は自分の体にこういう気づきがあった」「体を追い込んで達成感があった」など。感じ方は人それぞれですが、そういうなにかしら「今日もレッスンに来てよかった」と思えるお土産を持って帰ってもらえるよう意識しています。

正直トレーニングに関係ないことでもいいんです。「仕事の悩みを聞いてもらえてスッキリした」でもいいと思っています。

――確かに、気持ちよく帰れそうです!

パーソナルトレーニングって一対一の付き合いです。よくよく考えると、週に1回1時間2人で会うって、結構濃密な関係だと思いませんか? だからこそ、お客さまの家族構成や生活スタイル、お仕事、趣味などもお聞きするし、より密な関係が築ける。そういったトレーニング以外のところでも、なにかお役に立てればいいなと思って向き合うようにしています。

怪我や転倒のリスクがある高齢者こそ
パーソナルトレーニングがおすすめ

――中田さんが行っているレッスンの特徴はなんでしょう?

バランス系の種目を取り入れるようにしています。体幹を鍛え、体の軸を整えると、体の歪みがなくなりバランスが整うんです。すると、肩こりや腰痛など日常生活の痛みを予防できたり、改善できたりするんですよ。

――肩こりや腰痛って、もはや国民病ですよね。お客さまの中でも、訴える方が多いですか?

多いですね。慢性的になっている人は、毎日自宅で実践できるトレーニングもお伝えするようにしています。週1回のトレーニングでももちろんいいケア、いい習慣ではあるのですが、毎日ケアをすることでより早く効果を感じやすくなりますから。

――中田さんが担当してらっしゃるお客さまの年齢層は?

20代から80代まで幅広くいらっしゃいますが、ボリュームゾーンとしては30代から50代の方が多いですね。そのうちの7割が女性です。

少し話がそれますが、以前お客さまに「先生は私と年齢が近いので、安心してお任せできるわ」と言われたことがあるんです。その方は50代なのですが、パーソナルトレーナーって若い人が多いイメージだったらしく、「話が合うかしら?」と心配されていたそうです。でも私が40代後半で年齢が近いとわかるとすごく安心されて。「これからもこの仕事続けてね」と言われ、嬉しかったのを覚えています。

これって私が40代でこの仕事に就いたからこそのメリットだなと思うんです。もし20代の頃にトレーナーになっていたら、また何か違っていたかもしれません。

正直パーソナルトレーニングはグループレッスン以上にお金がかかりますし、より丁寧なサポートを求める人がいらっしゃるので、40代50代の人が多くいらっしゃいます。そう考えると、私ぐらいの年齢の方が需要があるのかもしれないですね。

――確かに!

また、今後はますます、60代、70代、80代と、年齢を重ねた方が通われることも増えてくると思います。むしろそういった方こそ、グループレッスンでは少なからず怪我や転倒などのリスクが伴うので、一対一でサポートできるパーソナルトレーニングを利用していただきたいところなんですよ。

同業者の友人とは「高齢者のトレーニングにも介護保険が使えたらいいのに」と話しています。なかなか難しいとは思いますが、それぐらい高齢者にとってトレーニングは欠かせないことだと思います。


後編では、実際に中田さんのトレーニングを受けていらっしゃる母・杏子さんにもご登場いただき、お話を伺います。

取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄

Salon Data

パーソナルトレーナー・中田かんなさん
Instagram:@kannanakada

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