トレーナーの育成や、企業の健康経営など、もっと広く社会にも貢献していきたい【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.72 /Comfortablebody 江上仁志さん】#2
「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。
今回お話を伺ったのは、パーソナルトレーニング×PNFストレッチを行うパーソナルジム「Comfortablebody」の代表・江上仁志さん。
一般の方のパーソナルトレーニングだけでなく、子どもや産前産後のお母さん、アスリート、障害を持った方にも対応。養成スクールの講師も務めているトレーナーから直々に指導してもらえこともあり、人気が集まっています。
前編では、パーソナルトレーナーになったきっかけや、独立時の思い、資格取得のメリットについてお話を伺いました。
後編では、現在の働き方やこの仕事のやりがい、今後の目標などを伺います。
今は不定休で、お客さまの予約に合わせて変動する生活……
今後はライフスタイルに合わせた働き方を考えていきたい
――現在の働き方を教えてください。
基本的な仕事としては、このジムが朝10時から夜10時まで営業しているので、予約が入っている時はお客さまの対応。予約がない時は、事務作業をしたり、自身のトレーニングや勉強をしたりしていますね。
あと、以前働いていたジムにも、非常勤のような形で通っています。月1〜2回ですが。当時担当していたお客さんのほとんどは他のスタッフに引き継ぎましたが、独立しても継続して担当してほしいと言ってくださった方もいるので、その方の指導だけ続けているんです。
――以前のお勤め先と、良好な関係が続いているのはいいですね。お休みの日は何をされていますか?
ジム自体は不定休ですし、お店を閉めていることはほぼありません。正直、「休みの日」がはっきりしない状態です。なので、あくまで「予約が入っていない日」という感じになるのですが、映画を観に行ったり、友人とご飯を食べに行ったりして、リフレッシュしています。
――休日を決めない働き方は、どうですか?
今は独身ですし、僕自身がその働き方に慣れちゃっているところもあるので、とくにストレスはないです。でも、問題は今後ですよね。結婚したり、子どもができたりすると、今の働き方では破綻するかも……。今後のライフスタイルに合わせて、要検討ですね。
説得力のあるトレーナーになるには、
自身のトレーニングも怠らないことが大切!
――この仕事のいいところや、やりがいを教えてください。
一つ目は、お客さまが目標を達成したり、痛みが緩和したりした時に感謝してもらえること。
二つ目は、新しい趣味に出会うきっかけをつくってあげられること。
じつは、ダイエット目的で通ってらっしゃるお客さまに、トレーニングの過程でランニングを勧めたのですが、その方、今ではランニングが趣味になって、大会にも出るようになったんです。その人の生活の一部になるきっかけが与えられたと思うと、すごく嬉しいです。
三つ目は、その人の成長を一緒に追えること。
とくに産前産後のトレーニングでは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときから、生まれて成長していく姿まで一緒に追えるので、親になったような気分を味わえます。これって普通のトレーナーではなか味わえない喜びですよね。
また、ブライダルダイエットで通っていらっしゃる方だと、挙式に呼んでもらったりもします。なんだか部活のコーチとして、生徒の晴れ舞台に立ち会っているような気分になりますよ。
今後は、養成講座を卒業した人たちが活躍していく姿を見るのが楽しみですね。間接的に、多くのお客さまを健康に、幸せに導けるわけですから。そう考えると、今後新たなやりがいがどんどん増えていくのかな。ワクワクします!
――楽しみですね! ちなみに、お客さまに喜んでもらうために大切にしていることを教えてください。
トレーナーは、お客さまが目標を叶えるのをサポートするのが仕事なので、少しでも最短で効果の高いトレーニングを見つけてあげることでしょうか。そのためには、僕自身の知識や技術を日々アップデートする必要がありますよね。
じつはこれも、トレーナーの養成講座を始めたきっかけの一つなんです。講師をする以上は、僕自身も勉強し続けなければいけませんから。勉強せざるを得ない、と言ってもいいですよね。自分を追い込むことになりますが、そうやって僕自身が成長することで、お客さまの満足度も上がればと。
――いいサイクルが出来上がるわけですね! 今後力を入れていきたいことや、新たな目標はありますか?
一つは、今年から始めた養成講座ですね。売上の柱の一つとして、成り立つようにしていきたいです。
もう一つは、企業の健康経営。パーソナルトレーニングって、一般的なジムに比べて値段も高いので、どうしてもハードルが高いと思うんです。それを会社が少し負担してくれれば、チャレンジしやすくなりますよね。みんなが健康になれば、社会的にも貢献できます。
――会社の福利厚生でジムに通えるっていうのは聞きますが、パーソナルトレーニングが受けられるのは、すごくいいですね!
そうですよね。今このジムに通っているお客さんの中にも、会社を経営している方が何人かいらっしゃるので、直談判中です。
たぶん初めは、どこか場所を借りてグループレッスンをすることになると思います。でも、そこからパーソナルトレーニングに移行する人が増えたら、集客の窓口としても成り立ちますよね。
それに、今後このジムにスタッフを雇った時、ここでは一対一のトレーニングしかできないので、僕の体が空くわけです。そうなったら、他の場所でも働ける状況を作っておいた方がいい。今後に備えた種まき、という感じですね。
「目的」「目標」をしっかり立て、
「そのために今、何をするのがベストか」を考えよう!
――これからこの業界で働こうとしている人に、アドバイスをお願いします。
パーソナルトレーナーに限らずですが、目的と目標をしっかり見つけることですね。例えば、どんなトレーナーになりたいのか。もし憧れのトレーナーがいるなら、少しでもその人に近いところで仕事をした方が、学べることがたくさんあると思います。
……と言いつつ、僕自身は目標のトレーナーがいなかったのですが(笑)。でも、だからこそ、いたらもっとよかっただろうな、と。
あとはシンプルに、勉強し続けましょう。どうしても、養成講座を修了したり、試験に合格したり、目の前の目標を達成するとゴールだと勘違いして、勉強をストップさせがち。でも、むしろそこからがスタートです。今はものすごいスピードで技術が進化しているので、置いていかれないように!
――最後のまとめとして、この業界で働く人の心得3か条を教えてください!
・お客さまの悩みに真摯に寄り添う
・日々アップデートする
・自身が実践者であること
なかでも「真摯に寄り添う」というのがすごく重要です。じつは、僕が以前担当していた方で、もともと有名なジムに通っていてパーソナルトレーニングを受けたけど、うまくできなかったことに対して鼻で笑われたらしく……。自信をなくして、もうそのジムには通えなくなった、とおっしゃっていました。
それって、お客さまも悲しい気持ちになるし、ジムとしても大切なお客さまを1人失っています。それに、その方がうまくできなかったということは、トレーナーの指導がよくなかった可能性もあります。
こんなことにならないためにも、常に真摯に。また、知識&技術を日々アップデートさせて自身でも実践。お客さまとベストな向き合い方ができるように努めてくださいね。
今後の夢や目標を語ってくださった江上さん。「目的や目標があった方が、人生をより楽しめると思うんです」とおっしゃっていて、とても印象的でした。
貴重なお話をありがとうございました!
取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄