実務者研修はハローワークで受けると安くなる?ハロートレーニングについて解説!
介護業界で唯一の国家資格である介護福祉士を取得するためには、実務者研修を受講しなければいけません。実務者研修は、さまざまなスクールや通信講座で開催されていますが、ハローワークでも受講できることをご存知でしょうか。
そこで今回は、ハローワークでおこなわれているハロートレーニング(公的職業訓練)にスポットを当て、ハローワークで実務者研修を受けるメリット・デメリットや、民間のスクールとの比較点について解説します。
ハロートレーニング(公的職業訓練)とは
まずは、ハロートレーニング(公的職業訓練)について見ていきましょう。
ハロートレーニングとは、ハローワーク(公共職業安定所)でおこなわれている、職業訓練です。ハローワークで求職中の人を対象としており、希望する職業への就職や、キャリアアップを実現するために、必要な知識やスキルを習得することを目的としています。
ハロートレーニングは、大きくわけると公共職業訓練(離職者訓練)と求職者訓練の二つがあります。二つの職業訓練の違いについて、詳しく見ていきましょう。
公共職業訓練とは
公共職業訓練は、離職をして雇用保険を受給している求職者を対象とした職業訓練です。雇用保険を受給していてハローワークで求職中の人なら誰でも受けることができます。
訓練期間は訓練内容にもよりますが、短いものなら3カ月程度、長いもので2年程度です。テキスト代などの実費は自己負担ですが、受講料はかからず無料で受けられるのが特徴です。
引用元
厚生労働省:ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練
厚生労働省:あなたのしごと探しに、役立つスキルを。ハロトレ特設サイト
求職者訓練とは
求職者訓練は、雇用保険を受給していない求職者を対象とした職業訓練です。「雇用保険を受給していない人」というのは、何らかの理由で雇用保険を受給できない人や雇用保険の受給が終わった人はもちろん、在職中の人も受けることができます。
公共職業訓練と同じく、テキスト代などの実費以外は無料で受けることが可能。さらに、月10万円の、生活支援の給付金を受給することもできます。
生活支援の給付金を受給するには、本人の収入額や世帯収入額が一定以下であることなどいくつかの条件がありますが、給付金の支給要件を満たさなくても、無料の訓練のみの受講が可能です。
ハロートレーニングで実務者研修を受けるための条件は?
ハロートレーニングにはさまざまな講座が用意されており、そのなかの一環で実務者研修も修了できます。ハロートレーニングで実務者研修を受けるためには、どんな条件があるのでしょうか?
公共職業訓練と求職者訓練の、それぞれの受講要件を見ていきましょう。
職業訓練を利用して受けるための条件
ハロートレーニングでは、正確には「実務者研修」という講座があるわけではありません。介護サービスの講座を受講し、訓練修了後に実務者研修修了証明書を取得できます。
たとえば、東京都では「介護サービス」という、介護職に従事を希望する人を対象に、基礎的な知識と理念や技術を学ぶコースがあります。医療的ケアもカリキュラムに含まれており、基礎から専門性の高いスキルまでを学ぶことが可能です。
公共職業訓練は雇用保険を受給していて、ハローワークを利用する求職者なら誰でも受講することができます。
なお、コースによっては年齢制限など独自の条件が設定されていることがありますので、詳しくは最寄りのハローワークでご相談ください。
引用元
ハローワークインターネットサービス:職業訓練検索・一覧
ハローワークインターネットサービス:職業訓練詳細
求職者支援訓練を利用して受けるための条件
求職者支援訓練でも、「実務者研修」という講座があるわけではなく、介護サービスに関する講座を修了することで実務者研修を修了したとみなされることが多いです。
求職者支援訓練も、公共職業訓練と同じく地域ごとに訓練コースが用意されています。雇用保険を受給しておらず、ハローワークで求職中の人なら誰でも受講することができます。
加えて、以下の要件を満たしていると、月10万円の職業訓練受講給付金が支給される可能性があります。
・本人の収入が月8万円以下
・世帯全体の収入が月30万円以下
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
・すべての訓練実施日に出席している
・世帯の中に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
・過去3年以内に、不正行為により特定の給付金の支給を受けたことがない
・過去6年以内に職業訓練受講給付金の支給を受けたことがない
引用元
厚生労働省:職業支援・給付金などについて知る|ハロトレ特設サイト
職業訓練で実務者研修を受けるメリット
職業訓練で実務者研修を受講することには、いくつかのメリットがあります。代表的なものを見てみましょう。
原則費用免除で実務者研修が受けられる
ハロートレーニングの講座は、原則無料で受講することが可能です。テキスト代や交通費、その他の実費は必要ですが、スクールに通うことと比較すると、大幅に費用を抑えることができるのは大きなメリットといえるでしょう。
雇用保険の受給期間延長の可能性
雇用保険は、受給期間が終了してしまえばそれ以上受け取ることができません。しかし、ハローワークで職業訓練を受けると、雇用保険の受給期間が延長される可能性があります。
雇用保険の受給期間を延長するには特定の条件を満たす必要があるため、ハローワークの窓口で相談してみてください。
基本手当の受給手続き補助
雇用保険の基本手当を受給するためには、さまざまな手続きをしなければいけません。しかし、職業訓練中は、訓練校が基本手当の受給手続きを補助してくれます。
通常であれば毎月ハローワークに行かなければなりませんが、手続きが容易になるのもメリットといえるでしょう。
職業訓練で実務者研修を受ける際の注意点
メリットがある一方で、気をつけなければならないこともあります。職業訓練で実務者研修を受ける際の注意点を見ていきましょう。
希望通り受講できない可能性がある
職業訓練の講座受講には、選考試験があります。人気の高い講座は倍率が高くなってしまうため、申し込んでも選考に落ちてしまっては受講できません。
また、住んでいる地域では希望する講座が開講されていない、という可能性もあります。こういった理由から、必ずしも希望どおりに受講できるとは限らないので、注意してください。
就職までに時間がかかる場合も
職業訓練は講座ごとに受講期間が決まっているため、自分の都合で早く修了するということはできません。そのため、次の就職までには、訓練期間が終わるまで待たなければならず、時間がかかってしまいます。
また、失業期間が長くなるため、就職の際には職業訓練校で学んでいた事を先方に伝えたほうが良いでしょう。
開催場所が限られている
前述したように、講座は地域ごとで開催されているため、住んでいる地域によって受講できるものが違います。そのため、通所での受講が厳しい、と感じてしまうこともあるようです。
クラスになじめない可能性がある
職業訓練に限らず、学校や習い事でもいえることですが、さまざまな人が通うため、同じクラスにどんな人がいるのかは実際に通ってみるまでわかりません。どうしても合わない人がいたり、人見知りで不安になってしまったりするなど、クラスになじめない可能性もあります。
民間のスクールとの比較
実務者研修は、民間のスクールなどでも開催されています。民間スクールに通う場合と職業訓練を受ける場合で異なる点は以下の通りです。
職業訓練 | 民間スクール | |
費用 | 無料
テキスト代など実費は必要 |
有料
コースによっては高額になってしまう |
受講対象者 | ハローワークを利用中の求職者 | 受講希望者なら誰でも |
受講人数 | 受講人数が少なく選考に落ちると受講できない | スクールによっては複数クラスがあり、職業訓練よりも上限人数が多い傾向が高い |
スケジュール | 開催場所、時間が限られている | 通所先、曜日や時間などの選択肢が多く、通信で受けられるものもある |
職業訓練制度を利用して、費用をおさえて実務者研修をうけよう!
ハローワークでは、求職者を対象に職業訓練をおこなっています。ハローワークの職業訓練は、原則無料で受講することができるため、費用をかけずに実務者研修を受講したい、という人におすすめです。
一方で、ハローワークの利用者しか受講はできないこと、住んでいる地域によっては通える範囲で開催されていないこともあること、受講には選考があるため落ちてしまう可能性があることなど、注意点もあります。
現在ハローワークで求職中の方は、職業訓練で実務者研修を受講し、介護の世界への就職を目指してみてはいかがでしょうか。
なお、ハローワークは各地域に存在し、地域ごとに異なる点もありますので、詳しくはハローワークの窓口でご相談ください。