グループホームの新設オープンの現状と今後の課題
近年、日本は各国に類ないほどのスピードで高齢化が進行しています。高齢化が進むにつれ、正比例的に問題となっているのが認知症高齢者です。グループホームは認知症を患う高齢者が専門の介護スタッフの援助を受けながら共同生活を送り、個人の能力をできる限り活かして自立した暮らしを送れるようサポートする介護施設です。
グループホームが続々と新設される時代背景
認知症の高齢者の数も年々増加傾向にある昨今、グループホームの数も緩やかに増加している現状があります。同時にまた、新設されるグループホームの求人募集も増加傾向にあり、人気を集めています。オープニングスタッフとして新規でスタートするグループホームで働く醍醐味は、ゼロから自分たちで業務やケアプログラムすべてを作り上げていく面白さと真剣味が味わえることです。
既設の介護施設では得難い貴重な経験をすることで、チャレンジする喜びも成功したときの達成感も大きく、魅力的な仕事がたくさんあります。同時にオープンする新施設は、それに関わる一人一人の熱い思いを浸透させやすい環境だともいえます。
これまでにも豊富に経験してきたスタッフさんの場合だと、責任ある立場を任されることもあるかもしれません。スタッフが一丸となり、入居者の方々が笑顔で暮らせる施設、そして職員も楽しく仕事ができる職場環境を目指しています。
多岐に渡る業務を独自にこなして生まれる新たなグループホーム
一般的な介護施設と異なり、1ユニット9名の入所者に対して介護スタッフが専任で就くグループホームは、個人の意思や能力を尊重すると同時に、密なコミュニケーションを取りながらケアを行っていきます。小規模で家庭的な雰囲気を重んじるのも、入所高齢者の方々の低下した認知機能をサポートしながら本人の自己決定を支援するため。できることや興味があることに着眼しながら、生活支援を中心とするケアで認知症の人を支えてきました。よって、新設されるグループホームはどこも、入所者の方々とのコミュニケーション手法とケアの時間について研究します。
新しくオープンするグループホームの魅力は、経験のある介護士であれば 自分のビジョンを形にして実践しやすいというところです。一日のプログラムのたて方やケアの方針、食事のレシピ、レクリエーションの種類など、随所に新しいアイデアとこれまでの経験を活かせます。
その一方、必要な備品や消耗品などの準備や管理、今後加わる新スタッフの教育など、取り組まなければならない仕事は山積みです。入所者の方々も新規ですから、情報収集や書類整備、地域との連携網など、オープン業務は多岐に渡ります。そうしてそれぞれの施設が独自の方向性を打ち出して、新しいスタイルのグループホームが誕生するのです。
高齢者ケアの新時代へ向けてグループホームが目指す形
グループホームの業務は多岐にわたります。スタッフの研修プログラムや、入所者にとって効果的なケアプランの作成など、各種テーマを決めて取り組まなければなりません。新設だからこそスタッフ全員が共通認識で介護に取り組む姿勢が求められます。新設グループホームで働くことはやりがいもあり、有意義な経験をすることもできるでしょう。さまざまな研修も用意されており、介護資格や実務経験がない方でも働きながら基礎から知識や技術を身につけることができます。
逆に大変である点は、施設としての実績がないことです。入所者の症状、地域性、求められるニーズなどによって、日本の介護を取り巻く環境は年々変化していっています。いずれにせよグループホームは新時代における高齢者に対する生活支援形態の新しい一手であります。ますます高齢化社会が進む近未来へ向け、今後はケアの質はもちろん、経営環境や労働環境まで含めた、レベルの高いサービス提供体制づくりが重要になるでしょう。
介護保険制度施行当初から、グループホームは高齢者の認知症ケアの切り札として注目を浴びてきました。今後もそのポジショニングが変わりませんが、同時に重要視されるのが、時の経過とともに入所者の症状が変化しつつある点です。比較的軽度で入居された利用者であっても、身体状況は確実に重度化していきます。グループホームでの継続的支援という命題においては、「重度化」および「看取り」をも視野に入れた取り組みが今後の課題となります。