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特集・コラム 2025-03-27

介護事務の仕事がなくなるって本当?介護事務にまつわる現状と仕事で役立つスキルを紹介

介護施設などで受付をしたり、介護報酬を受け取るための書類作成などを行う介護事務。その業務範囲は多岐にわたりますが、技術の進化によって仕事がなくなるのでは?という話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

この記事では、今後介護事務の仕事は本当になくなってしまうのか?という疑問にお答えするとともに、介護事務にまつわる現状や仕事で役立つスキル・資格を紹介します。気になる収入事情や、収入アップを目指す方法もお伝えしますので、参考にしてください。

介護事務がなくなるって本当?

ICT技術やAIの急激な進化によって、将来的にさまざまな職業で人手が必要なくなるといわれており、事務系の職種も該当すると噂されています。そのため、介護事務もなくなるのではないかという不安を持つ人もいるのではないでしょうか。

しかし介護事務は、事務作業だけを行うものではありません。一部の業務で人手がそれほど必要なくなる可能性はあっても、完全に機械化することが難しいため、今後もなくならないことが予想されます。

介護事務がなくならない理由

介護事務がなくならない理由は、おもに2つです。ひとつは介護業界全体の人手不足。そしてもうひとつは、すべての業務を機械やAIが担うことはできないということが挙げられます。理由について、以下で詳しく見ていきましょう。

介護業界全体が人材不足に悩まされている

超高齢社会となっている現代の日本は、介護サービスの需要が増えている一方で、そのサービスを提供する側であるスタッフが足りていないという現状があります。

厚生労働省が運営する「job tag」によれば、介護事務の有効求人倍率は1.92倍。さまざまな場所で、介護事務が人手不足であることが分かります。

今後ますます介護サービスの需要は高まっていくため、人材不足がさらに進み、介護事務は社会全体で必要不可欠となるでしょう。

引用元
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|介護事務 – 職業詳細

すべての業務を機械やAIが台頭することはできない

計算や数字のチェック・管理などの事務作業は、人手がなくとも機械やAIが担うことができます。しかし、利用者やその家族と柔軟にやりとりすることも、介護事務の重要な仕事です。

相手を思いやり、寄り添う姿勢で対応するには、やはり人でなければならないため、すべての業務を機械やAIが台頭することはできません。

また、介護事務は介護の仕事を兼務することも多々。人手不足が加速すれば、介護現場での役割も求められるでしょう。

介護事務の仕事内容

介護事務のはじまりは、介護保険制度が開始した2000年です。介護保険は、介護を必要とする高齢者を支える制度として、今ではなくてはならないものになっています。

この制度によって、利用者がサービスを利用した際に負担する金額や、市町村に請求する金額などを計算する業務が発生し、それを担うのが介護事務です。ほかに機械化できない仕事も含めて、介護事務の仕事内容について詳しく紹介します。

引用元
厚生労働省|介護保険制度について
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|介護事務 – 職業詳細

介護報酬請求業務(レセプト作成)

介護保険でサービスを提供した事業者に支払われるお金のことを「介護報酬」といいます。利用者が介護サービス費用の1〜3割を支払い、残りは保険者(市区町村・広域連合)が負担する決まりです。

保険者が支払う金額を計算し、請求を行うのが介護報酬請求業務で、レセプト作成とも呼ばれることも。介護給付費明細書や介護給付費請求書を作成し、国民健康保険団体連合会に請求します。

介護報酬請求は月末締めで、翌月10日までに提出しなければならないため、月末から月初はレセプト作成業務に追われやすいです。

引用元
厚生労働省|介護保険制度について

窓口業務

介護サービスを提供する介護老人保健施設や特別養護老人ホーム・デイサービスセンターなどで、受付・会計・電話対応などをするのも介護事務の仕事です。利用者や家族・市役所や病院関係者など、多くの人とコミュニケーションを取ります。

労務や経理

介護事務は対外的な仕事に加えて、労務や経理といった対内的な業務を行うこともあります。具体的には、職員のシフト作成や勤怠管理・給与計算・福利厚生の管理・予算管理などです。

ほかにも、設備や備品の発注・設備の修繕依頼など、施設の環境整備を任されることもあります。

介護スタッフや介護支援専門員(ケアマネジャー)のサポート

施設によっては、介護スタッフや介護支援専門員(ケアマネジャー)のサポートを担うこともあります。リネン交換や清掃・配膳・ケアプラン作成に必要な書類の準備など、無資格でもできる範囲で行うのが基本です。

就業先によって担当範囲には違いがあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

その他事務作業全般

上述した業務以外の事務作業も、基本的には介護事務の仕事です。たとえば、メールやファックスの確認・取引先や関係機関との連絡・会議に必要な書類や資料の準備など、多岐にわたります。

介護事務の仕事に役立つスキルや資格

介護事務には必須資格がないため、未経験でも介護事務として働くことは可能です。しかし業務範囲が幅広いため、何もわからない状態では、仕事をはじめてから学ばなければならないことが多くなってしまいます。

以下で仕事に役立つスキルや資格を紹介するので、事前に身につけておくのがおすすめです。

PCスキル|ExcelやWord

仕事柄、PCを使う機会が多いため、PCの基本操作ができていることが望ましいです。レセプト業務では、レセコンと呼ばれる専用のPCを使用するのが一般的ですが、労務や経理業務ではExcelやWordなども使用するため、操作スキルがあると役立ちます。

コミュニケーションスキル

介護事務は黙々と事務作業を進めるのではなく、利用者やその家族をはじめ、スタッフ・市役所や病院などの関係機関・取引先など幅広い人とやりとりをします。

利用者に寄り添った対応をしたり、ほかのスタッフや関係機関と円滑な関係を築いたりするためには、コミュニケーションスキルが必須です。

労務や経理のスキル

介護事務は、スタッフの勤怠管理やシフト作成・予算管理などの業務にも携わるため、労務や経理のスキルも求められます。一般企業の事務や総務・医療事務などの経験があると、介護事務の仕事にも活かせるでしょう。

介護保険や介護報酬に関する知識

介護保険や介護報酬の知識は、介護報酬請求業務に役立つことはもちろん、利用者に聞かれたり、介護保険に直接関係する機関とやりとりをおこなったりする際にも必要です。あらかじめ知識を身につけておくと、スムーズに仕事ができるでしょう。

介護事務認定実務者(R)試験

レセプト業務に役立つ「介護事務認定実務者(R)試験」は、介護保険制度や介護給付・介護報酬算定・介護給付費明細書などの知識や技能が身についていることを証明できる資格です。

学科問題と実技問題があり、いずれもマークシート方式ですが、実技問題は介護給付費明細書を作成します。

誰でも受験ができるものなので、これから介護事務を目指す人におすすめです。

引用元
全国医療福祉教育協会|介護事務認定実務者(R)試験とは?

ケアクラーク技能認定試験

「ケアクラーク技能認定試験」は、居宅介護サービス機関や介護保険施設などの日常的な事務処理・窓口業務に関する知識や技能に加え、介護報酬請求業務に関する職業能力を評価する資格です。介護事務の仕事をするうえで必要な知識や能力を証明できます。

学科試験と実技試験があり、実技試験は介護保険請求実務・介護給付費請求額計算・介護報酬明細書作成の3課題です。いずれの試験も参考資料を見ながら解くことができます。

引用元
日本医療教育財団|ケアクラーク技能認定試験の概要
日本医療教育財団|ケアクラーク技能認定試験の概要 (pdf)

介護事務管理士®技能認定試験

「介護事務管理士®技能認定試験」は、受付・会計・レセプト業務などのスキルや、ケアプランの内容を理解できることを証明する資格です。

学科試験・実技試験ともにマークシート方式で、学科試験では、介護保険制度や介護報酬請求に関する知識と、介護給付単位数の算定・介護報酬明細書の作成・介護用語についての知識が問われます。実技試験はレセプト点検問題です。

引用元
技能認定振興協会|介護事務管理士®技能認定試験

介護報酬請求事務技能検定試験

レセプト業務に役立つ「介護報酬請求事務技能検定試験」は、介護保険法施行当初からの歴史があり、全国の専門学校や職業訓練などでも実施されています。居宅介護支援事業所や介護施設などにおける、請求事務に必要なスキルが備わっていることを証明できる資格です。

正誤問題の学科試験と、介護給付費明細書作成・介護給付費明細書穴埋め問題がある実技試験が行われます。

引用元
日本医療事務協会|介護報酬請求事務技能検定試験とは

介護事務の収入はどれくらい?

介護事務として働くうえで気になる収入ですが、厚生労働省が運営する「job tag」によると全国の平均年収額は478.3万円です。ただし、平均年齢が43.5歳なので、20〜30代のうちはそれほど多く稼げない可能性もあります。

年代別で見ると、20代前半で約304万円、20代後半は約382万円、30代前半が約446万円です。また、30代後半では、平均年収を上回る約519万円となっています。

なお、地域・経験年数・資格の有無などによって違いがあることは念頭に置いておきましょう。

ちなみに、同サイト内のハローワーク求人統計データでは、求人賃金(月額)は19.7万円です。

引用元
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|介護事務 – 職業詳細

介護事務として収入アップを目指すには?

介護事務の仕事で収入アップを目指すには、いくつかの方法があります。たとえば、資格を取得すること。職場によっては資格手当がつくところがあり、無資格よりは資格を持っているほうが、収入が上がる可能性が高いです。

また、先ほど紹介した年代別の収入を見てわかるように、年齢が上がっていくほど年収も上がる傾向にあるため、同じ職場で経験年数を重ねることも収入アップにつながるでしょう。

さらに、介護事務の求人は全国的に豊富にあるため、より条件のいい職場に転職することで収入をあげることも可能です。

未経験の就職にも経験者の転職にも介護事務の仕事を探すならリジョブがおすすめ

介護事務の仕事を探す際に、ぜひおすすめしたいのが求人サイト「リジョブケア」です。

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もちろん、これから介護事務を目指す人に適した「未経験歓迎」「研修制度あり」といった条件もあります。なかには資格取得支援を行っている事業所もあるため、スキルを身につけながら資格取得を目指したい人でも、自分に合う求人を見つけやすいでしょう。

【2月最新】東京都 介護事務の求人・転職・募集

介護事務の仕事はなくならない!役立つスキルを身につけて活躍しよう

介護報酬請求業務や窓口業務・労務や経理など担当業務が多岐にわたる介護事務は、利用者や家族に寄り添い、関係機関と円滑なコミュニケーションを取りながら仕事を行います。そのため、ITやAIが今後さらに進化しても、その仕事がなくなることはないでしょう。

仕事では、介護保険制度や介護報酬請求の知識が必要になるほか、正確な数字を導き出すスキルやコミュニケーション能力が欠かせません。必須資格がないため、未経験でもスタートできますが、仕事に役立つスキルや関連資格を身につけておくのがおすすめです。

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