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特集・コラム 2020-05-06

ケアマネジャーがモニタリングで押さえておくべき5つのポイントを解説|訪問系サービスをモニタリングする場合の注意点

「ケアマネ」と呼ばれることもあるケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事では、利用者やその家族に対して聞き取りなどをおこない、情報収集をしたうえで必要なケアプランを提案します。

しかしながら、このプランがしっかりと実行されていないと、介護本来の目的を達成することはできません。このような提案後の状況を定期的に確認する仕事を「モニタリング」と呼び、こちらもまたケアマネジャーが提供しなければならないサービスのひとつです。

今回は、このモニタリングにおいて押さえるべきポイントと、このサービスを提供する場合に遵守しなければならない注意点について解説します。

ケアマネジャー(介護支援専門員)がモニタリングで押さえておくべき5つのポイントを解説

ケアマネジャーが提案するプランは、利用者それぞれの事情を考慮したものでなければなりません。したがって、このプランをより最適なものに近づけるためには、提案後もモニタリングをしっかりとおこない、プランの微調整をしていく必要があります。

また、モニタリングをおこなっていく過程で利用者がおかれている状況が変わると、必要とする介護サービスが変わることもあるでしょう。このような変化に柔軟に対応するという意味でもモニタリングは不可欠です。

ここではこれら一連のモニタリング業務において押さえておくべきポイントを見ていきましょう。

1. ケアプランにあるサービスはきちんと実施されていたか

ケアマネジャーの仕事の大きな目標は、提案したケアプランがしっかりとおこなわれ、介護を必要としている利用者やその家族の間で生じていた問題が解消されることです。

この目標から逆算していくと、ケアマネジャーのモニタリングではケアプランにあるサービスがしっかりと実施されているかどうかを確認しなければなりません。よって、ケアマネジャーにはケアプランを提案した後もその内容をしっかりと把握し、つねに現場の実情と比較できるようにしておくことが必要です。

2. ニーズに対する充足度はどうか・必要なサービスに変化はないか

介護を必要とする利用者にとっては、介護サービスを受けることで生じていた問題が解消されることが、ケアマネジャーにサービスを依頼することの目的となります。

したがって、モニタリングにおいては利用者のニーズに対する充足度を調べ、利用者が満足できているかどうかを確認することが必要です。また、その際には必要なサービスが変化していないか確認し、ケアプランの微調整をおこなっていきます。

3. 利用者本人や家族からの要望はあるか

ケアマネジャーが提案したケアプランにもとづいて実施される介護サービスは、利用者本人やその家族が必要とするものでなければなりません。しかしながら、利用者やその家族が必要とするサービスは、介護を必要とする本人の健康状態などによって変化することも多くあります。モニタリングではこのような要望の変化を把握することも不可欠です。

このことから、モニタリングでは利用者本人やその家族が、提供されている介護サービスに対してどのように感じているのかを直接聞き取ることも大切だといえるでしょう。

4. サービスを提供した事業所からの意見はあるか

ケアマネジャーが提案したケアプランは福祉系の事業所などによって介護サービスとして利用者に提供されます。したがって、モニタリングにおいてはこのサービスを提供している事業者側にも目を向けましょう。

たとえば利用者側と事業所側で介護サービスに対する意見に相違がある場合、事業所側にもそのような考え方の根拠となる事情があるかもしれません。モニタリングではこのような事業所側の意見を聞き取り、それもまたケアプランに反映することが大切です。

5. 目標は達成できたか

ケアマネジャーがケアプランを提案する際には、その利用者ならではの具体的な目標を設定することも重要です。たとえば、利用者が家族にかかる介護による負担を軽減したいという要望を持っている場合、そのことも目標のひとつとして設定し、ケアプランを練っていく必要があります。

モニタリングではこのような目標を達成できているかどうかを確認することも不可欠となり、達成されていない目標がある場合にはケアプランの修正などを実施します。また、目標が達成された場合は、次の目標を設定することも忘れないようにしましょう。

6. 今後はどうするのか

ケアマネジャーの仕事では、モニタリングにおいて以上の5つの工程を反復的におこないながら、ケアプランとサービスの精度向上に努めなければなりません。また、介護サービスは長期間にわたって提供し続けるケースが多いため、その精度を維持するために今後どのようなことをする必要があるのかもケアマネジャーはよく考える必要があります。

訪問系サービスをモニタリングする場合の注意点

居宅での介護サービスを希望する利用者には訪問系サービスを提供することとなります。この訪問系サービスにおいてもケアマネジャーによるケアプランの提案とモニタリングは不可欠となり、その際にはいくつかのポイントを押さえておかなければなりません。

続いては、訪問系サービスをモニタリングする際に押さえる必要のある注意点を見ていきましょう。

1. 訪問前に利用者や家族の許可を得る

訪問系サービスでは利用者やその家族のプライバシーを侵害してしまう可能性があるため、接し方には特段の注意が必要になってきます。このことから、サービスを提供するために訪問をする際には、事前に利用者本人と家族の許可を必ず取り、プライベートへの干渉を最小限に抑えることが大切です。

また、とくに訪問系サービスでは利用者との信頼関係を築くことが重要であるため、その点においても事前に許可をとり、突然の訪問となってしまうのを防ぐことには大きな意味があります。

2. サービス事業所にも事前に連絡をしておく

ケアマネジャーが提案したケアプランを実際に実施するのは、自分が働いている施設とは限りません。ケアマネジャー自身がとくに提携を結んでいるわけではない事業所であるケースもあるのです。モニタリングとはこのような事業所が提供しているサービスを評価することでもあるため、その際には事前にサービス事業所側へも連絡を入れておくことを忘れないようにしましょう。

また、事前に事業所側へ連絡を入れてからモニタリングを実施すれば、事業所側へかかる負担や迷惑を最小限にとどめることができ、ケアマネジャーと事業所の間でも信頼関係を築けるというメリットもあります。

抜き打ちチェック|利用者から苦情が寄せられていた場合

ケアマネジャーのモニタリングは利用者からの苦情を受けて実施されるケースもあります。このようなケースでは利用者から寄せられた苦情が正当なものであるかどうかを確認しなければならないため、例外的に事業所側への事前連絡はおこなわず、抜き打ちで実施します。

このことから、利用者やその家族とケアマネジャーの間ではつねに連絡が取れるようにしておくことも忘れないようにしましょう。

3. 確認したい内容をあらかじめ伝えておく

訪問系サービスのモニタリングを実施する際には、抜き打ち調査などの一部例外を除いて事前に確認したい内容を伝えておくことも忘れないようにしましょう。

このような準備を入念におこなっておくと、当日は現場をスムーズに見ることができるため、モニタリング業務そのものの円滑化が可能となり、滞在時間が長くなることによって生じる利用者への負担も軽減できます。

また、このようなモニタリングの事前準備を実施する場合には、利用者側と打ち合わせをしておくことも大切です。

モニタリングは介護保険制度におけるサービス向上に欠かせないもの

訪問系だけでなく施設で受けられるものも多い介護サービスは多くの人が必要としています。また、今後少子高齢化がさらに進めば、このような介護サービスを必要とする人はさらに多くなり、社会全体でのケアマネジャーの需要はより高くなっていくことが予想されます。

そんな介護サービスの精度を維持するうえでも重要なケアマネジャーによるモニタリングは、介護保険制度を支える重要なサービスのひとつであり、いまや介護業界においては不可欠であるといえるでしょう。

出典元:
JVNF 公益財団法人 日本訪問看護財団 モニタリング

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