ソーシャルワーカーとは? 4つのおすすめ資格と取得メリットを紹介
ソーシャルワーカーという職業に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、ソーシャルワーカーになるにはどんな資格が必要なのか、実際にどんな場所でどのように働くのかなど、気になることもたくさんあるはず。
そこで、今回はソーシャルワーカーの概要や仕事内容、関連する資格についてお伝えし、資格を取るメリットも解説します。ソーシャルワーカーの収入の目安や適している人物像にも触れるので、ぜひチェックしてみてください。
ソーシャルワーカーとは|社会福祉事業に携わる人の総称
ソーシャルワーカーとは、社会福祉事業に携わる人の総称です。おもに、なにかしらの理由で生活に問題がある人に対して、医療や介護福祉における支援をおこないます。
場所や支援対象は多岐にわたり、福祉施設では生活相談員、医療機関では医療ソーシャルワーカーなど、働く場所で呼び名が変わるのが特徴です。
生活相談員|高齢者福祉施設など
ソーシャルワーカーは、高齢者福祉施設において生活相談員と呼ばれます。利用者やその家族と施設などをつなげる窓口的な存在で、業務は多種多様です。
具体的には、相談業務や施設での調整や手続き、ケアマネジャーとの連絡やサービス内容の調整などをおこないます。
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医療ソーシャルワーカー|医療施設など
病院などの医療施設では、医療ソーシャルワーカーと呼び方が変わります。おもな業務は患者さんや家族との相談や調整、支援です。また退院後のサービス調整・復職などの社会復帰の支援や、経済的な問題への支援なども業務のひとつとなっています。
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スクールソーシャルワーカー|学校など
学校や教育事務所などに在籍して、子どもが抱えている問題解決に取り組むソーシャルワーカーです。学校内でのいじめや不登校の問題・家庭内暴力など、子どもが自分一人で解決が難しい問題について、子どもや関係者と話し合いながら、一緒に解決法を模索していきます。
勤務場所によって資格が必要になることも
ソーシャルワーカーとして働く上で、必須となる資格はありません。ただし、勤務を希望する職種や職場によっては、特定の資格を持っていることで就職に有利になることも。
社会福祉士は、教育・医療・福祉の現場で、日常生活を営むのが難しい方に対しての助言や相談をおこなえる専門家として、とても重宝されます。また、精神保健福祉士も、精神的な障害を負った方への支援業務を専門的におこなえる、有用性の高い資格です。
あなたが希望する働き方を実現する有用性の高い資格を取得して、就職・転職活動をスムーズにおこなってみるのも一つの手でしょう。
ソーシャルワーカーの勤務体系は?
ソーシャルワーカーは、教育・医療・福祉の現場で広く活躍できる仕事です。ここでは、ソーシャルワーカーの平均的な勤務時間や雇用体系を紹介します。
「ソーシャルワーカーの働き方はどうなっているのだろう?」と疑問に感じている方は、参考にしてみてくださいね。
ソーシャルワーカーの勤務時間
正社員のソーシャルワーカーとして働く場合、平日の8時間勤務が一般的です。派遣職員として働く場合は、5時間〜6時間程度のシフトで働くことが多いでしょう。
ただし、入所型の老人ホームや障がい者支援施設で働く場合は、24時間体制でスタッフが入所者に対応しなければなりません。その場合、中勤や夜勤などの勤務シフトになることも。医療ソーシャルワーカーは、勤務時間が不規則になることが多いでしょう。
ソーシャルワーカーの雇用形態
ソーシャルワーカーの求人を見てみると、正社員・契約社員・派遣・パート・アルバイトのそれぞれの雇用形態に、満遍なく需要があることがわかります。
ただし、就職・転職を希望するソーシャルワーカーのタイプ・職場によって、求められる雇用形態は変わるでしょう。
希望する雇用形態で働ける仕事はないか、常にアンテナを張っておくことで、ソーシャルワーカーとしてのキャリアをスタートしやすくなります。
ソーシャルワーカーとして就職するのにおすすめな資格4選
ソーシャルワーカーには必須資格がありませんが、持っておくと就職や転職・昇給に有利になりやすい資格は存在します。ここでは、ソーシャルワーカーとして持っておくと有利な4つの資格について見ていきましょう。
1.社会福祉士
社会福祉士とは、身体的・精神的・環境的な理由によって生活するうえで問題を抱えた人の支援に関連する国家資格。相談・支援・調整をおこなうことがおもな業務で、相談者と保健医療や介護福祉との架け橋のような存在です。
なお、社会福祉士と混同されやすい資格に「介護福祉士」があります。3番目で紹介するので、あわせてご覧ください。
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引用元
社会福祉士国家試験|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
資格を取得するにはどうすればいいの?
社会福祉士になるためには、受験資格を得てから試験に合格する必要があります。受験資格を得るためには、以下のいずれかの条件を満たさなければなりません。(短大の場合などは所定期間の実務経験が必要)
・福祉系大学や短大などで指定科目を修了する
・福祉系の大学や短大で学んだのちに、短期養成施設などを修了する
・一般の大学や短大で学んだのちに、一般養成施設などを修了する
なお、令和5年に実施された社会福祉士試験の受験者数は36,974人で、合格者数は16,338人、合格率は44.2%でした。福祉系大学を卒業した新卒者の合格率は65.0%で、既卒者の合格率は28.2%と、新卒のほうが合格率が高い傾向です
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引用元
社会福祉士国家試験受験資格(資格取得ルート図)|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
第35回社会福祉士国家試験の合格発表について|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
2.精神保健福祉士
精神保健福祉士とは、精神上の障害を抱えた人やその家族の相談に乗ったり、支援したりする国家資格です。業務内容は社会福祉士と共通している部分もありますが、精神保健福祉士は精神障害を抱える人のサポートに特化しています。
福祉施設や医療施設で、とくに需要がある資格だといえるでしょう。また、教育機関に通う子どもや教育機関で働く教員などの支援をおこなうケースもあります。
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資格を取得するにはどうすればいいの?
精神保健福祉士になるためには、受験資格を得てから国家試験に合格しなければなりません。受験資格を得るためには、社会福祉士と同様に以下の要件のいずれかを満たす必要があります。(短大の場合などは所定期間の実務経験が必要)
・福祉系大学や短大などで指定科目を修了する
・福祉系の大学や短大で学んだのちに、短期養成施設などを修了する
・一般の大学や短大で学んだのちに、一般養成施設などを修了する
令和5年に実施された精神保健福祉士試験の受験者数は7,024人で、合格者数は4,996人、合格率は71.1%と、過去5回のなかでもっとも高くなっています。地道な勉強を続けていけば、確実に取得できる資格といえるでしょう。
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引用元
精神保健福祉士資格取得方法|厚生労働省
第25回精神保健福祉士国家試験の合格発表について|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
3.介護福祉士
介護福祉士とは、要介護者を対象に日常生活を支援するための国家資格で、「身体介助」と「生活援助」がおもな業務です。
身体介助は、排泄・入浴・食事・更衣などの身体的な介助が該当します。生活援助は、買いもの・掃除・洗濯のように、日常生活で必要な家事などの手伝いが対象です。
介護福祉士が働く現場は、おもに介護施設や訪問介護です。介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、一人暮らしの高齢者の自宅などでの活躍が期待できるでしょう。
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資格を取得するにはどうすればいいの?
介護福祉士になるためにも、受験資格を得てから国家試験に合格する必要があります。受験資格の取得方法は大きく分けて4種類。以下のいずれかで受験資格を取得しましょう。
・養成施設ルート
・実務経験ルート
・福祉系高校ルート
・経済連携協定(EPA)ルート
令和5年に実施された介護福祉士試験の受験者数は79,151人で、合格者数は66,711人、合格率は84.3%でした。受験者数もさることながら、合格率が非常に高い試験です。
社会福祉施設の介護職員など、現場をよく知る人々が受験するケースが多いので、合格率が高いと考えられます。介護のプロとして成長したい人は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
介護福祉士の資格とは?|資格の内容や仕事内容について徹底解説 | MORE REJOB
引用元
介護福祉士国家試験受験資格|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
第35回介護福祉士国家試験の合格発表について|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
4.児童相談員
児童相談員は、心理学や社会福祉の観点から、子どもが抱えている問題を解決に導くための助言やサポートを行う仕事です。児童相談員には「児童心理司」と「児童福祉司」の2つの職種があります。
児童心理司は、対象となる子どもの心理状態や生活能力をチェックする仕事です。児童福祉司は、対象となる子どもの家庭に出向き、両親との相談や家庭内チェックをしながら問題の原因を解明していきます。
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引用元
児童相談所相談員 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
資格を取得するにはどうすればいいの?
実は、「児童相談員」という資格はなく、児童相談員として働くためには、以下の流れで任用資格を得る必要があります。
・大学で心理学や社会学・教育学を修了、もしくは短大・専門学校で所定のコースを修了
・児童相談員の任用資格が与えられる
・児童相談所などの施設で雇用される
特定の教育課程を修了するだけで、児童相談員として働けるのは大きなメリットです。また、社会福祉士と精神保健福祉士の資格保有者は、児童相談員の任用資格が自動的に付与されます。
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ソーシャルワーカーの資格を取得するメリットとは?
ソーシャルワーカーとして働くうえで国家資格を取得すると、より専門的な支援をおこなえたり、活躍の場が増えたり、給与面や就職面で有利になったりします。ここでは、国家資格を取得するメリットについて詳しく見ていきましょう。
1. 専門的な知識を活かしてより適切な支援をおこなえる
専門的な知識を学ぶことで、より質の高い適切なサポートをおこなえます。国家資格がなくても働くことは可能ですが、制度やサービスなどを知らなければ、解決できたはずの問題が解決できないこともあるでしょう。また資格の有無は、相談者との信頼関係につながることもあります。
2. 活躍の場が増える
活躍できる現場の選択肢が増える点は、国家資格取得のメリットです。ソーシャルワーカーは、おもに福祉サービスを活用して問題の解決をします。そのため、福祉の現場で活躍する人が比較的多くなっています。
ですがソーシャルワーカーが活躍できる現場は、福祉の場だけではありません。医療機関や児童養護施設など多岐にわたります。国家資格を取得することで、幅広い選択肢を持てるでしょう。
3. 資格手当がもらえることも|キャリアアップにも
勤務先によっては、国家資格を持っている場合に資格手当が出ることもあります。
また、医療福祉系の国家資格を持っていれば、介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験資格を得られるため、さらなるキャリアアップを目指すことも可能です。
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4. 就職・転職でも有利に働く|知識と経験を活かせる
国家資格を取得すれば、就職や転職で有利になります。ソーシャルワーカーは、業務するうえで資格は必須ではありません。しかし多くの現場では、取得を推奨されていたり、募集にて国家資格の有無を問われたりすることも少なくありません。
また、ソーシャルワーカーは需要が高い職種です。就職や転職を検討している方は、リジョブケアから探してみてください。
詳しい求人情報はこちら:介護・看護・リハビリの求人・転職・募集│リジョブ
ソーシャルワーカーの平均年収は?
ソーシャルワーカーとして働いている方の多くは、社会福祉士の資格を保有していることが多いです。
厚生労働省が発表した『令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果』によれば、社会福祉士の資格保有者の平均月給は33万1,080円という調査結果が出ています。単純計算で年収に換算すると397万2,960円です。
あくまでも資格保有者に焦点を当てたデータですが、目安として400万円前後がソーシャルワーカーの平均年収であると予想されます。
ソーシャルワーカーの将来性はどうなる?
ソーシャルワーカーの将来性を考えた時に、少子高齢化で医療・福祉の現場におけるソーシャルワーカーの需要は、今後も高まっていくと考えられています。
現状は平均年収と同じ年収水準ですが、需要が大きくなっていくと、ソーシャルワーカーの給与水準を高くして、仕事を募集する雇用主も多くなるでしょう。
日本を取り巻く医療・福祉サービスの需要の高まりは、ソーシャルワーカーの将来にとって、プラスに働くと考えられます。
ソーシャルワーカーに向いている人とは?
つづいて、ソーシャルワーカーに向いているのはどんな人なのかを紹介します。
コミュニケーション能力が高い
ソーシャルワーカーは人の悩み相談に乗る職業のため、積極的にコミュニケーションを取ることができ、相手の話を聞くことができる人に向いています。また、周りと連携・協力して仕事を進めるため、チームとして働くのが得意な人も適性があるといえるでしょう。
人の世話をするのが好き
人の面倒を見るのが好きで、人の不安や悩みを解消する手伝いがしたい人にも向いています。やさしさがあり、相手への共感ができることも大切です。
社会のために働きたい人
社会のさまざまな問題に直面する仕事なので、社会のために働きたい人にも向いています。社会全体をよくしたいという思いが強い人は、ぜひソーシャルワーカーを目指してみてください。
臨機応変に対応できる人
人それぞれで違う相談内容や、時代の流れによって変わっていく関連法律などに柔軟に対応できることも重要です。その都度、的確な対応を取れる人にはぴったりの職業でしょう。また、客観的に的確な判断や見極めをおこなうための冷静さや洞察力も求められます。
ソーシャルワーカーになるために必要な条件と現状を知って、自分のキャリア選択を考えていこう!
ソーシャルワーカーは、教育・医療・福祉の現場で広く必要とされる仕事です。サービス利用者に対する精神的なケア、家族や関係者との適切なコミュニケーションなど、職種や職場によって業務内容はさまざまです。
ソーシャルワーカーとして働くための必須資格はありませんが、社会福祉士や精神保険福祉士資格など、持っていると就職や転職・昇給に有利な資格もあります。求人毎の必要な条件や資格を知って、自分自身のキャリア選択に活かしてみましょう。
ソーシャルワーカーに向いている人の特徴も解説したので、自分に当てはまると感じた人は、ぜひソーシャルワーカーとして活躍の幅を広げていってください。