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機能訓練指導員
特集・コラム 2019-08-10

【介護の教科書】機能訓練指導員とは

機能訓練指導員とは

機能訓練指導員は特別養護老人ホームやデイサービスセンターに、必ず一人以上配置をすることが定められています。勘違いしている方もいますが、「機能訓練指導員」という資格はありません。介護施設や病院で機能訓練指導を専門的に行うスタッフのことを機能訓練指導員と言います。資格ではなく、あくまでも職種なのですが、機能訓練指導員という職種に就くためには資格が必要なのです。

機能訓練指導員になるための資格

機能訓練指導員になるには、下記のいずれかの資格が必要となります。
1.理学療法士
2.作業療法士
3.言語聴覚士
4.柔道整復師
5.あん摩マッサージ指圧師
6.看護師
7.准看護師
(※資格取得方法については、それぞれのページでご紹介しています)

機能訓練指導員になるための試験などはありませんので、すでに資格を持っている方は機能訓練指導員として働くことができます。

但し、利用者のレクリエーションや行事を通じて行う機能訓練指導については、施設の介護職員によっても行うことができます。

仕事内容

機能訓練指導員は病気や怪我、高齢などの理由で身体に障害を持つ施設利用者に対して、日常生活を営むために必要な機能を改善、または現状の能力の維持や減退の防止のために訓練を行います。

主な仕事内容としては

・歩行訓練、マッサージ、筋力トレーニングなど、利用者の症状に合った回復訓練

・利用者の心身機能評価

・レクリエーションの実施

・利用者一人ひとりに合わせた機能訓練計画書(運動プログラムや訓練内容)の作成

・利用者に合った車イスや補助具、自助具の選択

・他の介護スタッフに対して、自立支援に基づいた介助の提案と指導

などがあります。

勤務先・就職先

機能訓練指導員

機能訓練指導員が働く場所は、その方が所持している資格にもよります。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などリハビリテーションの国家資格所持者や看護師、准看護師は病院などの医療現場で働くことが多く、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師の国家資格所持者は介護施設(デイサービス・特別養護老人ホーム・有料老人ホーム)で働く人が多いようです。

また、近年リハビリや介護予防に特化した「機能訓練特化型デイサービス」という施設が増えてきており、このような施設も機能訓練指導員を多く必要としています。

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給料・年収

機能訓練指導員の給料も、所持資格や働く場所により大きく変わります。一般的には病院のリハビリ施設で働く人は給料が高く、介護施設は低いとも言われていますが、介護職として働く場合も資格手当が加算されるため、介護業界の中では高い給料を期待しても良いでしょう。

以下は現在介護施設が募集している機能訓練指導員の求人広告から、おおよその給与を計算してみましたので、参考にしてください。
【理学療法士】月給:227,300~324,400円 年収:320~435万円
【作業療法士】月給:224,100~323,900円 年収:323~435万円
【言語聴覚士】月給:207,900~309,600円 年収:303~427万円
【柔道整復師】月給:204,500~318,300円 年収:289~438万円
【あん摩マッサージ指圧師】月給:215,000~331,600円 年収:302~433万円
※情報元:リジョブ独自の調査

機能訓練指導員に転職するには

現在、介護施設に勤務していて「機能訓練指導員に転職したい」と考える方も多いと思います。その場合は、どうすればよいのでしょうか。

冒頭で述べたように、機能訓練指導員になるには規程の7つの資格のどれかをとらなくてはいけません。

○機能訓練指導員になれる資格
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師(柔整師)、あん摩マッサージ指圧師、 看護師、准看護師

×以下の資格・経験では機能訓練指導員にはなれません
介護福祉士、社会福祉士、社会福祉主事、介護支援専門員(ケアマネジャー)、鍼灸師、整体師(介護整体など国家資格でないマッサージ師)、介護施設での相談業務、施設長経験など

「介護施設での実務経験があれば機能訓練指導員になれるのでは」と考える方もおられるようですが、介護福祉士 など福祉系の資格では機能訓練指導員にはなれず、施設での実務経験も関係ないのです。

規程の資格はどれも国家資格であり、大学や専門学校で学ぶ必要があります(3~4年)。仕事をしている方は無理なように思えますが、夜間課程を利用すれば不可能ではありません。

仕事をしながらの通学や勉強は大変なものですが、資格を取得すれば、現在の職場で仕事の幅を広げられることはもちろん、給与のアップも見込めます。また、介護施設だけでなく医療施設にも転職の幅を広げられるなど、大きなプラスになることは言うまでもありません。

医療施設から介護施設への転職

現在、病院などに勤務する理学療法士や作業療法士の方には転職先として介護施設に興味を持っている人も多いと思います。

病院ではリハビリの時間や入院日数などの制限で、一人の方と関わる時間が限られていることが多いのに対し、介護施設では一人の利用者と長期的に関われるというところが大きな魅力です。介護施設では、そこを住まいとしている入居者や、同じデイサービスに週に2~3回など、継続的に通われる方が多いので、長期にわたって利用者の回復をサポートすることができます。

介護施設では、ケアマネジャーが立てたプランに従い介護サービスを行うため、他のスタッフや介護事業所、家族や地域の方と連携が必要です。在宅生活も含めて、利用者の生活の質を上げられるよう支援できるところが大きなやりがいとなります。

また、入居型の施設では年間行事やイベントが多数行われます。機能訓練だけでなく、入居者とそういった時間を一緒に楽しめるのも魅力となります。

働き方の面では、デイサービスは夜勤がなく、土日休みのところも多いので、子育てや家の都合がある方も両立がしやすい環境というのも大きなメリットです。

仕事内容の違いは?

利用者の症状に合った機能回復訓練、というところでは同じですが、細かな内容については勤務する施設により異なります。たとえば、特別養護老人ホームは介護度が高い入居者も多いので、積極的に身体機能を向上させるというよりは、生活のなかでできることを増やすことが目的とされます。

介護老人保健施設やデイサービス、デイケアでは、利用者の在宅復帰や自立を目的としているので、機能訓練指導員の役割は大きくなります。施設によっては食事や入浴の介助、レクリエーション、送迎なども担当する場合があるのも大きく違うポイントです。

転職の際に注意したいポイント

介護施設において機能訓練指導員の配置基準は一名以上となっており、職場によっては資格者が自分一人ということも多々あります。その場合、機能訓練やリハビリの経験がなくても一任されるので、自分で勉強していくなどの向上心が必要です。看護師兼機能訓練指導員として勤務するなど、担う仕事が多いケースもあります。

また、職場により仕事内容に違いが出てくるので、その点も注意が必要です。たとえば転職先として多い「機能訓練特化型デイサービス」では、施設により方針やテーマがさまざまです。

たとえば柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師の方は、フィットネスやマシンを中心にした施設より、マッサージやストレッチをメインにした施設に就職した方が自分の経験を活かせるでしょう。

施設の方針や募集要項を確認し、自分の経験やスキルを介護施設でどのように活かしたいかを考えることが大事なポイントとなります。

機能訓練指導員の求人

機能訓練指導員は特別養護老人ホームやデイサービス(通所介護)に、必ず一人以上配置をすることが定められており、介護施設には欠かせない存在です。そのため、常に求人は出ています。

また、最近では「機能訓練特化型デイサービス」と言われるリハビリに特化した施設が増えており、機能訓練指導員の活躍の場はますます増えています。

施設だけでなく、訪問看護ステーションに在籍し、訪問リハビリの分野で活躍する機能訓練指導員も多数います。

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機能訓練指導員はパートやアルバイトでできる?

機能訓練指導員の求人にはパートやアルバイトでの募集も多くあります。そのため、家事や育児などと両立しやすい環境です。

機能訓練指導員はほかの介護職より高い時給で募集している施設が多くあります。介護業界での経験者はもちろん歓迎されますが、未経験でも職場で研修を行ってくれるところもたくさんあります。

求人を探すには、ハローワークや求人サイトが主な方法です。各施設のホームページで新着情報や採用情報として表示されている場合もあります。

求人サイトでは、東京などのエリアや各線の最寄り駅、正社員、週休2日、社保完備といった自分の希望する条件や、関連キーワード(アットホーム、経験能力考慮など)で細かく検索できるので、自分に合った職場を見つけやすいのがメリットです。求人情報はずっと公開されているわけではないので(更新日や掲載終了日で確認できます)、気になったらWEBやTEL応募で早めのエントリーをおすすめします。

機能訓練指導員のキャリアアップ

機能訓練指導員として働き始めた後、どのようなキャリアアップができるのでしょうか。

・機能訓練の専門家になる

どの仕事もそうですが、機能訓練の分野も資格をとって就職できたら終わり、というものではありません。医学は日々進歩していますし、利用者の症状も千差万別なので、常に勉強、研究していく姿勢が必要とされます。知識を増やし、技術を向上させ機能訓練の専門家として利用者の支えとなることがまずは一番のステップとなります。

・職場で主任や施設長を目指す

ある程度キャリアを積んだ後は、現在働いている職場で主任や施設長などの立場を目指すこともできます。これまで培った技術などを後輩に教えることができますし、人材育成や経営管理についても知識と経験を積むことができます。仕事は大変にはなりますが、やりがいや給与などの面で返ってくるものは多いででしょう。

・自分で独立する

自分でリハビリに特化したデイサービスを立ち上げる人もいます。開業権のない理学療法士や作業療法士の方は柔道整復師などの資格をとって開業するケースもあります。簡単な道ではありませんが、キャリアを積み、自身のやりたい事が既存の施設ではできないと感じた場合、独立という選択肢もあるのです。

機能訓練指導員の魅力・やりがい

高齢者は転倒による骨折、脳卒中による言語、身体機能の低下など、様々な機能障害のリスクを抱えています。こういった「老年症候群」と言われる症状への早めの対策が介護予防の重要なポイントなり、その役割を担うのが機能訓練指導員です。

機能訓練指導員として働く人で「仕事がマンネリだ」と感じる人はごく稀だと聞きます。その理由としては、毎日違う仕事をするからです。当然、リハビリという意味では同じなのですが、利用者の状態はそれぞれですし、障害の程度、考え方も違うのです。もちろんそれにより、リハビリの内容も変わってくるので、実際に利用者と話をしてプログラムを考え、一緒に目標を達成するという楽しさがあります。

もちろんその分、悩みも多くなりますし、自分で勉強することも必要になります。

しかし、利用者がリハビリを続けていき、成長し、「歩けなかった人が歩けるようになった」そんな瞬間を目の当たりにした時、利用者にとっても指導者にとっても最高の喜びを感じられます。その瞬間こそが機能訓練指導員の一番の魅力と言えるでしょう。

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