機能訓練指導員とは?働くための条件や職場、向いている人の特徴をご紹介
機能訓練指導員は、介護サービスを利用する方の機能訓練をして、問題なく日常生活が送れるようにサポートする職業です。しかし、機能訓練指導員の具体的な仕事内容やなるための方法について、よくわからないという方も多いでしょう。
今回は、機能訓練指導員の仕事内容やなるための方法、働く場所、向いている人の特徴、働くうえでのメリット、注意点についてご紹介します。
機能訓練指導員の働き方や向き不向きを知って、自身の職業選択に活かしてみましょう。
機能訓練指導員とは? 仕事内容を紹介
そもそも機能訓練指導員とは、どんな仕事なのでしょうか。そしてどのような場所で勤務するのでしょうか。これらの点について確認しておきましょう。
機能訓練指導員は介護保険法に定められた職業
機能訓練指導員とは、2000年に施行された介護保険法で定められた介護職の一種です。
介護施設を利用する人に対して機能訓練や指導をおこない、日々の生活が円滑になるように利用者の身体機能の回復に努めながらサポートをすることを目的としています。
機能訓練指導員の仕事内容とは
機能訓練指導員は、施設や医療機関において機能回復の訓練やさまざまなリハビリをおこないますが、機能訓練のプラン作成の段階から職務に携わるのが特徴です。
利用者の運動機能の評価
1人ひとりの利用者・入所者について、身体機能や運動機能の確認や生活環境の状況確認をおこないます。その人にとって最適な訓練を考える必要があるためです。本人や家族と詳しい相談をおこなった上で、どのような訓練が必要かを決めていきます。
機能訓練計画表の作成
本人の身体機能や状況をもとに、訓練のプランを具体的に立てて機能訓練計画表を作成します。なお、機能訓練計画表は、利用者の体調やプランの進行状況を見ながら大体3カ月ごとに見直すのが基本です。
機能訓練の実施
作成された機能訓練計画表に基づいて機能訓練を実施します。基本的には計画表に従って進めますが、利用者の心身の状態は日々変化する可能性があるため、利用者の状態に応じて柔軟に計画を変更し、無理のない訓練を実施することが最も大切です。
このことから、機能訓練指導員は利用者の状況を日々細かく観察する注意力が求められます。
機能訓練指導員の資格内容ややりがいについては、以下の記事も参考にしてみましょう。
機能訓練指導員とは?どんな資格が必要なの?|機能訓練指導員が活躍できる職場ややりがい・魅力を紹介
機能訓練指導員になるにはどうすればいいの?
「機能訓練指導員」という資格は存在せず、業務上の役割をあらわしています。機能訓練指導員を名乗るためには、特定の資格を保有・取得しなければいけません。
ここでは、機能訓練指導員として働くために必要な資格についてご紹介します。
1. 理学療法士
理学療法士は、立つ・座る・歩くなど日々の基本的な動作や運動に難がある利用者に対して、運動療法や物理療法をおこないます。運動やマッサージ、温熱などを利用して運動機能の回復・改善を目指す仕事です。
運動機能の確認や計画表の作成なども、理学療法士の仕事の範囲となる場合があります。
2. 作業療法士
理学療法士が、日々の基本動作の改善を目指したリハビリテーションをおこなうのに対し、作業療法士は移動・着替え・入浴・食事など応用動作の改善を目指すリハビリが中心となります。また、作業療法士の場合は身体だけでなく、心理的なリハビリもおこないます。
3. 言語聴覚士
言語聴覚士は、話す・聞くことに障害を持っている利用者に対して、リハビリテーションや機能回復訓練をおこないます。身体的な機能改善訓練では、嚥下障害や口腔機能の改善・口腔ケアなどを通して、食べる・飲むといった機能の改善とサポートもおこないます。
4. 看護師・准看護師
看護師および准看護師は、専門的な医療知識に基づいて利用者の日々の体調管理、病気・ケガの予防などをおこないます。なお、看護師や准看護師は、機能訓練として働きながら知識やスキルを学んでいくことが多いようです。
5. 柔道整復師
柔道整復師は、打撲・捻挫・脱臼・骨折など、筋肉や骨における具体的なケガや損傷に対して、整復法や固定法といった手術以外の方法で治療をおこない、機能回復を目指すのが仕事です。高齢者は足腰や骨が弱くなり、転倒などのリスクがあるので、近年の介護業界では柔道整復師の活躍が目立っています。
6. あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、マッサージや指圧療法を用いて利用者の身体の不調を改善するのが目的です。筋肉のハリやこり・腰痛・関節の痛み・首の痛みなどを治療し、痛みと疲れの軽減を目指します。
7. はり師・きゅう師|実務経験が必要
はり・きゅう師は、鍼や灸を用いた技(鍼灸)で体に刺激を与え、不具合や痛みの改善を目指すのが仕事です。なお、はり師・きゅう師が機能訓練指導員になる場合は、「鍼灸師以外の機能訓練指導員が勤務している施設にて、6カ月以上の実務経験があること」が条件となります。
機能訓練指導員が働く職場
機能訓練指導員が働く職場は、介護福祉士施設(デイサービスや有料老人ホームなど)や要介護者向けの医療施設(介護老人保健施設や介護療養型医療施設など)が多いです。
ここでは、機能訓練指導員がどのような業務に従事するのか施設別に確認しましょう。
介護福祉施設
介護福祉士施設には、以下のような施設が挙げられます。
・デイサービス
・特別養護老人ホーム
・有料老人ホーム
・ケアハウス
機能訓練指導員として運動機能の回復をサポートするという点では共通していますが、とくにデイサービスでは日常業務として利用者を送迎することも多いでしょう。
施設によっては身体介護やレクリエーションに取り組む機能訓練指導員もおり、従事する業務の範囲は施設によるといった認識が正しいです。
特別養護老人ホームは一部の特例をのぞいて、全面的な介護を必要とする要介護区分3以上の方しか入所できないので、介護の負担が大きいケースも少なくありません。
要介護者向けの医療施設
要介護認定者向けの医療施設には、以下のような施設が挙げられます。
・介護老人保健施設
・病院併設型リハビリテーション
・介護療養型医療施設
介護福祉施設で働く機能訓練指導員と同様に、機能訓練のサポートを行います。要介護度が高い利用者や重度の医療サポートを必要とする方も多いです。利用者1人ひとりに合わせた柔軟な機能訓練指導や身体介護、医療従事者らとの連携が求められるでしょう。
機能訓練指導員として働くのに向いている人の特徴
機能訓練指導員として働くためには、利用者一人ひとりと向き合ってコミュニケーションをとっていくなかで、適切な機能訓練指導やサポートをおこなう必要があります。
ここでは、機能訓練指導員に向いている人の特徴について詳しく確認しましょう。
機能訓練指導員のやりがいや魅力については、以下の記事でも紹介しています。
機能訓練指導員とは?どんな資格が必要なの?|機能訓練指導員が活躍できる職場ややりがい・魅力を紹介
1.利用者としっかり向き合って支援したい人
身体介護やリハビリサポートは、利用者と長い期間にわたって付き合っていく必要があります。そのため、常に相手の意見を尊重しながら人間関係を育んでいくことが重要です。
親身になって相手の話を聞き、利用者目線の支援を実行したいと考えている方におすすめです。
2.コミュニケーション能力が高い人
機能訓練指導員は、利用者やその家族だけでなく、医療スタッフや介護スタッフ、生活支援相談員などの現場スタッフとも密接にコミュニケーションをとる必要があります。
利用者や他スタッフと円滑にコミュニケーションがとれて、連絡に行き違いがないようにうまく情報を伝えられる人におすすめです。
3.主体的にリハビリ支援をしたい人
機能訓練指導員はケアプランに基づいて、利用者1人ひとりのその日の状況を見ながら、必要な機能訓練を計画・実施する必要があります。
利用者やその家族、スタッフなどから利用者の直近の言動や変化といった情報を主体的に収集して、必要な機能訓練計画を準備できる人に向いているでしょう。
機能訓練指導員として働くメリット
機能訓練指導員として働くメリットは、主に以下の3つです。
・夜勤が少ない職場が多い
・症状が改善していく過程を間近に見られる
・利用者から直接感謝されることもある
機能訓練指導員の職場は夜勤が少ない場合が多いので、プライベートの時間も十分に取ることができます。ワークライフバランスの整った環境で働きたい方におすすめです。
また、機能訓練指導員は利用者のそばで運動機能が改善していく様子を見守れます。
利用者と共に訓練目標の達成に向かうことができ、直接感謝の言葉をかけられることも多い、やりがいの大きい仕事です。
機能訓練指導員として働く上での注意点
機能訓練指導員の職場には、施設内に機能訓練指導員が少ないことが多く、施設内に1人しかいないケースもあります。1人で書類作成や他職種のスタッフと連携しなければならないので、自分1人に仕事の責任が集中してしまう可能性がある点に注意です。
機能訓練指導員になる条件や向いている人の特徴を確認して、自分に合った仕事か判断しよう!
この記事では、機能訓練指導員の仕事内容やなるための方法、働く場所、向いている人の特徴、機能訓練指導員として働くメリット、注意点についてご紹介しました。
機能訓練指導員は利用者の運動機能を評価し、機能訓練の計画を作成・実施する必要があります。特定の資格を取得することで「機能訓練指導員」として業務をおこなえます。
機能訓練指導員は介護福祉施設だけでなく、要介護者向けの医療施設で働くケースもあり、働く施設によって対応する業務はさまざまです。
夜勤が少なく、利用者の日々の変化を間近で見ながら喜びを共有できるやりがいのある仕事ですが、職場によっては業務負担が重い場合もあるので注意しましょう。
機能訓練指導員の仕事内容やなるための条件、向いている人の特徴などを確認して、自分が目指すべき仕事かどうかをよく考えてみましょう。