「介護」をしない。人生の先輩に敬意を持って接することで、人気の施設に【介護リレーインタビュー Vol.46/あづま家デイサービス亀戸】#2
介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、業界の魅力、多様な働き方をご紹介する本連載。
今回お話を伺ったのは、
あづま家デイサービスの機能訓練指導員であり、オーナーである和田龍吉さん。
前編では、建築に携わる会社の三代目だった和田さんが、39歳で柔道整復師の資格をとり、介護の道になぜ進んだかを伺いました。
後編では、「あづま家デイサービス」の特徴や、異業種から介護業界に飛び込んだ和田さんだからこそ感じる介護の仕事のやりがいについて伺います。
お年寄り扱いしない雰囲気と、サーキットトレーニングに魅力を感じて

「あづま家デイサービス亀戸」の施設内には、ずらりと最新のトレーニング機器が並ぶ
――フランチャイズ展開している、「あづま家デイサービス」の見学に行ったときに、「この形なら経営してみたい」と感じたとのことですが、どんな点が魅力だったのでしょうか?
一般的なデイサービスとは違い、利用者さんをお年寄り扱いせず、みんなが明るく楽しそうにしていたことがまず魅力的でした。また、「あづま家デイサービス」の形態のデイサービスは、このあたりではあまりほかには例がない、サーキットトレーニングと言われる運動メニューを取り入れており、地元の亀戸にそれを必要としている方がいるのではないかと思いました。
――サーキットトレーニングとは、どんなものなのでしょうか?
トレーニング機器が並んでおり、順番にその機器を使ってトレーニングをする形式のことをいいます。「あづま家デイサービス」では利用者さんは10分ずつ交代しながら、3時間をかけてすべてのトレーニングを行ってもらうようになっています。
また、トレーニング機器の横には、マッサージ機器やウォーターベッドなども並んでおり、運動とリラックスを交互に行ってもらうので、無理なく楽しく運動ができる仕組みになっています。
自主性と細やかな配慮を大切に

利用者さんを人生の先輩としてリスペクトしているという和田さん。その先輩を迎える場にふさわしいよう、内観にはとくに力を入れたという
――そのような経緯があって「あづま家デイサービス」をオープンさせ、今に至るというわけですね。施設のなかも一般的なデイサービスとは違い、スタイリッシュですね。
デイサービス感が出ないように工夫をしました。業者さんをただのお年寄りとして扱うのではなく、リスペクトすべき大先輩として尊敬することが私たちのコンセプトだからです。デイサービスで子ども扱いされたことに傷つき、もう行きたくないと言っているような利用者さんが、うちには安心して通ってくれています。
――ほかにも特徴はあるのでしょうか?
利用者さんが気付かないうちに、運動やトレーニングにつながるような工夫をたくさんしています。たとえばうちの施設の送迎車は、介護用車両ではありません。ステップがついていないため、乗りこむときに少し足を上げていただかなくてはいけないのですが、それが機能訓練になっているのです。
同様に施設内のトレーニングでも、移動することが歩行訓練を兼ねていたり、少し足をあげないとトレーニングを始められないようになっていたり、知らず知らずのうちに訓練ができるような仕組みになっています。
――開所からまだ一年足らずということですが、利用者さんがたくさん集まる人気の施設となっていますね。利用者さんと接する際に、心がけていることは?
利用者さんの主体性をとくに大切にしています。利用者さんにリスペクトを持って接し続けてきた結果、自分の体の健康を維持したいという、意志の強い利用者さんが集まってくださり、みなさん主体的に動いてくださっています。またそのように主体性を重んじる一方で、絶対にひとり歩きをさせない、常に声をかけるなど、細やかな配慮も欠かさないことが、私たちの施設の大切な方針です。
――トレーニングに取り組んでもらうことで、利用者さんにどのようになってほしいという思いがあるのですか?
どうなってほしいという思いは、おこがましいと思っているので基本ないですね。歩けるようになってほしいとか、何かを治そうとかそういった気持ちで接することはないです。ただ楽しんでほしい、いつまでも元気でいてほしいとは思っています。楽しみながら繰り返し通ってくださるうちに、自然と体の機能維持にもつながっていくのではないかと思っています。
こんなに社会貢献できる、楽しい仕事はほかにはない

介護の仕事に、やりがいと魅力を感じているという和田さん。現在は「あづま家デイサービス亀戸」の施設内で夕方~夜間のみ開業する「わかった整体院」で柔道整復師としても活躍中
――介護の仕事の魅力とはどんなところでしょうか?
利用者さんの顔が見え、感謝の言葉を直接かけてもらえるところです。建築業だけを経営していたときには、エンドユーザーが見えない仕事だったので、介護に携わるようになって、こんなにも感謝をされるのかと驚きました。
たくさんの利用者さんにこの施設なしでの生活は考えられない、ここを作ってくれてありがとうと言っていただくことが多く、とてもやりがいを感じています。またこの場で利用者さん同士の交流が生まれ、みなさんの表情が明るくなっていくのを見るのも、とてもうれしいです。新しい事業を始めようとしたときは、介護に対してネガティブな思いを持っていたのですが、こんなに社会貢献できる、楽しい仕事はほかにはないと思っています。
――ありがとうございました。最後にデイサービスに携わる機能訓練指導員のひとりとして心得三箇条をお願いします。
・「介護」をしない
・利用者さんをお年寄り扱いしない
・自分自身も楽しむ
介護しない、お年寄り扱いしないというのは僕のなかで決めているポリシーです。人生の先輩とお話ししたり、接しているというふうに思っています。その先輩達がちょっと歩きづらくなっているとか、痛みがあると言うことに対して、一緒に運動して機能の維持をお手伝いさせてもらっているという感覚です。
楽しむというのは、利用者さんはもちろん、僕たちスタッフも楽しむということですね。そういった空気は広がっていき、施設の雰囲気にもつながっていくと思っています。