介護事務資格の難易度は?おすすめの勉強方法と独学におすすめのテキスト3選を紹介
介護事務の資格を取得しようと考えている方で、どのような資格から取得を目指すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか?
介護事務の仕事は無資格からでもスタートできますが、介護事務系の資格を取得することで、就職や転職・キャリアアップに活かせる可能性が高いのでおすすめです。
本記事では、介護事務資格の難易度やおすすめの勉強方法、独学におすすめのテキスト、よくある3つの質問について解説します。介護事務資格の難易度や勉強法について知って、資格取得を目指しましょう。
介護事務系資格の合格基準・合格率はどれくらい?
資格は取得しておくと、介護事務に関する知識がある証明になるので持っておいたほうがよいでしょう。転職の際にも役立つため、まずは難易度を把握して自分と相性のよい資格をみつけることが大切です。介護事務系資格の合格基準や合格率はどれくらいなのかご紹介します。
介護報酬請求事務技能検定試験の合格率はどれくらい?
介護報酬請求事務技能検定試験は事業所での請求事務業務に必要な知識と技能を審査するもので、誰でも受験することができます。
正誤問題25問の学科1題と、居宅サービス提供票・別票より介護給付費明細書作成2題・施設サービスの設問より介護給付費明細書作成1題の実技がおこなわれ、問題の総得点の70%程度を獲得すれば合格です。ただし、問題の難易度により点数は補正されます。2018年度から2021年度までの受験者数と合格率を確認しておきましょう。
・2018年度:受験者数1,117人、合格率79.1%
・2019年度:受験者数1,109人、合格率78.2%
・2020年度:受験者数1,000人、合格率84.2%
・2021年度:受験者数572人、合格率80.01%
引用元:日本医療事務協会 医療事務検定検索サイト:検定試験合格率
比較的合格率は高いので、きちんと試験対策をおこなえば合格は可能でしょう。受験者数は2015年度の1,796人をピークに減少傾向にあり、2021年度の受験者数は572人でした。
介護事務管理士技能検定試験の合格率はどれくらい?
介護事務管理士技能検定試験は請求事務業務とケアマネージャーのサポート業務をする介護事務管理士の技能を認定する試験です。誰でも受験することが可能で、年齢制限も設けていません。学科はマークシート方式の問題が10問出題され、設問は介護保険と介護報酬請求に関する共通問題・選択問題から構成されています。
実技ではレセプト点検問題が出題され、居宅サービス(2問)・施設サービス(2問)・地域密着型サービス(2問)の中から、2問を選択して回答します。
学科・実技ともに60%以上の得点で、かつ全問題の得点合計が80%以上で合格となり、合格率は70%前後です。ケアプランの内容に慣れ、正確でミスのないレセプトの作成に慣れるための対策をすることが合格の秘訣といえます。
試験をおこなっている技能認定振興協会と業務提携している株式会社ソラストが、介護事務講座や試験問題集の販売を実施しています。
ケアクラーク技能認定試験の合格率はどれくらい?
ケアクラーク技能認定試験は介護事務業務に従事する人の知識と技能を評価・認定するもので、受験資格は問いません。日常的な窓口業務や事務処理だけでなく、介護報酬請求全般に関する知識や実践的な知識の獲得を目指す試験です。
択一式25問の学科と介護報酬請求事務・介護給付費明細書作成の実技がおこなわれ、学科と実技それぞれの得点率が70%以上で合格です。年に3回(1月・5月・9月)に実施され、合格率については公式の公表はありませんが、60~70%程度とみられています。
介事管理専門秘書検定の合格率はどれくらい?
この検定は介護事務としての正しいスキルと接遇知識を持つことを証明し、事業所の円滑な運営をサポートする人材を認定する検定です。日本能力開発推進協会が指定する認定教育機関がおこなう、教育訓練のカリキュラムを修了した人が受験資格をえられます。しかし、認定講座は2014年4月30日を持って終了しているため、それ以前にカリキュラムを修了している人が受験対象となります。
在宅で受験可能な試験は介護保険制度や介護報酬請求について出題され、70%以上の得点率で合格です。問題の出題数や合格率は公表されていないため、詳細はわかりません。しかし、カリキュラムで学んだことが出題されるので、真面目に履修していれば問題ないでしょう。
介護事務認定実務者試験の合格率はどれくらい?
介護事務認定実務者試験は、学科・実技試験を通して、介護保険制度や介護給付にまつわる知識、介護報酬算定に関する知識や作成方法など、実務的なスキルを証明できます。
試験は毎月実施されており、誰でも受験可能。マークシート形式の試験で、学科問題が20問、実技問題が2問の出題割合です。合格率は60〜80%前後で、きちんと勉強していれば、比較的合格しやすい試験だといえます。
資格取得を目指せるおすすめの勉強方法を紹介!
介護事務系の資格を取得するためには、スクーリングや通信講座、独学でテキストを活用しながら勉強するなどの学習方法が考えられます。ここでは、それぞれの学習方法の特徴と、具体的な勉強方法について見ていきましょう。
学校やスクールに通学して学ぶ
まずは認定校などに通学して学ぶ方法です。学校やスクールへ行くと同じ目標に向かって頑張っている人に出会えるため、刺激をもらえるメリットがあります。時間に比較的余裕があり、自宅では勉強に集中できない場合には通学で学ぶ方法が適しているでしょう。
ニチイ|介護事務講座(通学コース)
通学の一例として、ケアクラークを目指せるニチイの介護事務講座をご紹介します。介護事務講座は介護事務として即戦力になる実力を身につけることが可能です。
介護の知識がなくても問題のないプログラムで構成されています。通学の受講期間の目安は1.5カ月で、短期間で知識の習得が可能です。
仲間がいるのでモチベーションを保ちやすく、授業は時間や曜日を選んで受講できます。週2回、午前または午後・夜間通うコースと週1回午前中から夕方まで学ぶコースがあるので、スケジュールに合わせて選ぶとよいでしょう。
コースの特長としては、実践指導が挙げられます。データ入力については講師が実演しながら指導をしてくれるため、パソコンが苦手という人でも安心です。
引用元:ニチイ:介護事務講座
2. 資格に対応した通信教育講座を受講する
資格に対応した通信講座を受講して学ぶ方法もあります。自分のペースで勉強を進められるところがメリットで、独学とは違い、質問ができるのもうれしいポイントです。
ユーキャン|介護事務講座
通信教育講座の一例に、介護事務管理士を目指せるユーキャンの介護事務講座があります。4カ月の間にテキスト・問題集・添削課題で学習を進めていき、自宅で介護事務管理士の試験を受けるものです。テキストは図表やイラストが多いので、はじめて介護事務に関する勉強をする人でも取り組みやすいでしょう。
試験は受講期間内であれば何度でもチャレンジでき、安心して勉強を進められます。テキストや問題集でわからない点はメールと郵送で質問可能です。講座を申し込むと、就職活動のサポートまでついてきます。
就職ガイドという冊子をもらえるので、履歴書の書き方や面接の受け答えなど、不安な点があれば勉強と合わせて解決させられるでしょう。わかりやすいテキストで学習を進めていきますが、スマホやパソコンを利用したオンラインでも勉強が可能です。
引用元:ユーキャン:介護事務資格取得講座
3.独学する
介護事務の資格を取得する方法として、最もコストを低くおさえながら合格を目指せるのが独学です。ここでは、独学で合格するための勉強方法について見ていきましょう。
特定のテキストを何周も解く
介護事務の資格取得試験に合格するためには、1冊のテキストを何周も解いて、知識を定着させていくのがおすすめです。つい何冊もテキストを購入してしまいがちですが、最短距離で合格を目指すなら、やると決めたテキストを何度も解くようにしましょう。
試験問題の過去問に慣れておく
資格試験の過去問題があるなら、過去数回分の問題を入手して、出題形式や出題される問題について慣れておくのがおすすめです。
とくに直近数年分・数回分の過去問題を解くことで、出題傾向や出題範囲を把握できるので、資格試験に合格するためには必ず入手しておくべきでしょう。
合格ライン突破を目標に頑張る
介護事務系の資格によっては、出題範囲が膨大で、出題されるテーマをすべてカバーするのが難しいケースもあります。そのため、テキストや過去問を解いていく中で、出題されやすい問題をおさえて、合格ラインを突破するための学習をするのがおすすめです。
独学におすすめのテキスト3選
独学で介護事務系の資格取得を目指すなら、テキスト選びが重要になります。ここでは、介護事務の資格取得に役立つテキストについて見ていきましょう。
最新図解 スッキリわかる!介護保険 第2版 基本としくみ、制度の今とこれから
介護保険の基礎知識や制度の変遷、介護に関する最新トピックなどを学ぶことができ、現場で役立つ知識を身につけられる一冊です。本の構成は次のとおりです。
・序章:マンガでわかる!ケーススタディ
・第1章:介護保険の基本
・第2章:介護保険サービスを利用するまで
・第3章:ケアマネジメントと利用料
・第4章:介護保険サービスの種類
・第5章:制度財政とお金の流れ
・第6章:そもそも、なんで介護の「保険」?利用できる介護サービスは?
・第7章:付録資料
巻末資料には、主要介護サービスの単位数や加算の概要といった、実務で役立つ資料が付録しており、実戦でも役立つテキストとなっています。
引用元:最新図解 スッキリわかる!介護保険 第2版 基本としくみ、制度の今とこれから
New Health Care Management いちばんやさしい「介護事務」超入門
介護事務として最低限知っておきたい介護保険の知識や介護報酬の請求業務の基礎知識・流れ、キャリアアップの展望をわかりやすく解説した一冊。本の構成は次の通りです。
・序章:介護事務の仕事って何?私にもできるの?
・第1章:ゼロからわかる介護保険制度の基礎知識
・第2章:介護サービスの種類と介護施設の基礎知識
・第3章:介護報酬算定の基礎知識
・第4章:居宅サービスの算定ポイント 資料編
・第5章:練習問題に挑戦してみよう!介護の基礎知識&介護報酬請求書の作成編
介護保険や介護請求を基礎から学んで、キャリアの展望について知りたい方におすすめのテキストです。
引用元:New Health Care Management いちばんやさしい「介護事務」超入門
『介護報酬パーフェクトガイド』
介護報酬請求の基礎から実務的な知識まで幅広く学べるテキスト。介護報酬の具体的な仕組みや書き方を体系的に知ることで、試験だけでなく、実務スキルも身につきます。本の構成は次の通りです。
・第1章:介護保険・介護報酬の要点解説
・第2章:介護サービスの単位数解説
・第3章:介護報酬の算定・請求事例集
実際にあった介護報酬の事例から介護報酬請求のやり方を学べるので、実際の職場でも活かせる知識・スキルの習得に役立つでしょう。
介護事務の資格に関してよくある3つの質問
介護事務の資格に関して、よくわからないという方も多いでしょう。ここでは、よくある質問と答えを紹介するので、介護事務系の資格取得を考えている方は、参考にしてみてください。
介護事務の資格に国家資格ってあるの?
介護事務系の資格には国家資格はなく、民間資格のみとなっています。他職種の国家資格と比較すると合格率が高く、試験難易度が低い資格が多いので、これから資格取得を目指したい方におすすめです。
介護事務に向いている人って?
介護事務に向いている人は、介護業界にキャリアチェンジしたい方や、デスクワークに取り組みたいと考えている方です。介護保険の知識を身に着けたいと考えている方に最適だといえます。
介護事務の資格を取得するメリットは?
介護事務系の資格は必須ではありませんが、取得することで介護保険や介護報酬請求の知識とスキルを保有していることを証明でき、キャリアアップにつながることも。また、就職・転職を成功させたいと考えている方にもおすすめです。
介護事務資格の難易度と取得方法を知って、キャリアアップにつなげてみよう!
介護事務系の合格率は約70%前後で、そこまで難易度は高くありません。スクーリングや通信講座、独学などの学習方法がありますが、1番費用をかけずに合格するなら独学一択です。
ただし、人それぞれ学習しやすい方法は異なります。どの資格試験や学習方法であれば合格しやすいのか検討して、資格を取得し、キャリアアップにつなげていきましょう。
引用元
日本医療事務協会 医療事務検定検索サイト:検定試験合格率
JSMA 技能認定振興協会:介護事務管理士技能認定試験
一般財団法人 日本医療教育財団:ケアクラーク技能認定試験
一般財団法人 日本能力開発推進協会:介事管理専門秘書検定
全国医療福祉教育協会:介護実務認定実務者試験とは?
ニチイ:介護事務の資格講座
ユーキャン:介護事務資格取得講座