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特集・コラム 2020-08-20

ケアマネジャーとして独立開業する方法とは?|独立するメリット・デメリット

ケアマネジャーの働き方として、事業所や施設で勤務する以外に、「独立型ケアマネ」という選択肢があります。独立型ケアマネとは、事業所や施設での勤務を辞め、新たに法人を立ち上げるなどして独立開業することです。

今回の記事では、ケアマネジャーとして独立開業する方法を具体的に解説すると共に、独立した場合のメリットとデメリットについてご紹介していきます。すでにケアマネジャーとして働いている方、またはケアマネジャーの仕事に関心のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

ケアマネジャー(介護支援専門員)として独立開業するにはどうすればいいの?

ケアマネジャーとして独立するにはどうすればいいのでしょうか。その具体的な方法や流れについてご紹介します。

独立型ケアマネとは?|居宅介護支援事業所を立ち上げよう!

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護施設利用者に対するサービスや費用の計画、要介護認定の代行、ほかの事業所との連絡・調整をおこなったりする専門職のことをいいます。正式名称は「ケアマネジャー」ですが、省略して「ケアマネ」と呼ばれることが多いです。

ケアマネジャーの勤務先は居宅介護支援事業所や介護施設などになりますが、近年は独立して居宅介護支援事業所を開設する人も増えています。居宅介護支援事業所を独立開業したケアマネジャーは「独立型ケアマネ」と呼ばれているのです。

居宅介護支援事業所を立ち上げるにはどうすればいいの?

居宅介護支援事業所を独立開業するための方法や流れ、立ち上げの条件について、渋谷区役所の居宅介護支援事業所指定ガイドラインに沿ってご紹介していきます。ガイドラインの規約は各自治体(市町村)ごとに異なるので、必ずお住まいの自治体の規約を確認するようにしてください。

1. 法人格を取得しよう

居宅介護支援事業所を独立開業するためには、法人格を取得する必要があります。法人格の種類としては、株式会社・合同会社・社会福祉法人・医療法人・社団法人・財団法人・特定非営利活動法人などです。

法人格を取得するには国に申請を出す必要がありますが、設立を目指す法人の種類によって管轄部署が異なります。そのため、たとえば渋谷区のガイドラインでは、「法人設立の相談は渋谷区役所ではなく東京都までお願いします」と記されているのです。

2. 指定基準を満たそう|人的基準・建物基準など

渋谷区のガイドラインには、指定基準として「人員・設備基準」「建築基準・消防法の確認」が記載されています。

1.人員・設備基準
サービスを提供する上で、「渋谷区指定居宅介護支援等の事業の運営に関する基準等を定める条例」で定められている人員・設備・運営基準に従う必要があります。

2.建築基準・消防法の確認
事業を行う建物は、建築基準法で定められた制限を超えてはいけません。また、消防設備についても消防法の制限に従って配置する必要があります。

3. 事前協議に出掛けよう|申請前の審査

渋谷区役所では、事業所開設の指定申請は事前協議制でおこなわれます。そのため、事業について説明できる代表者または管理者が区役所に足を運び、審査を受けなければなりません。

事前協議を受けるには、「法人格を有していること」「事業所の場所の確保が可能なこと」「建物の平面図があること」「事業の実施にあたり必要な事項を満たしていること」の4つの要件を満たしている必要があります。

4. 指定申請をしよう

指定申請の流れは以下のようになります。

1.「居宅介護支援事業指定申請書類」をダウンロードし、必要事項を記入する。また、必要添付書類も用意する。
2.渋谷区の介護保険課介護給付係窓口へ申請書を提出する。
3.提出の前に必ず電話で事前予約をしておくこと。

指定申請書に添付する書類は、おもなものを挙げると、申請者の定款、従業者の勤務体制および勤務形態一覧表、事業所の平面図、運営規程、当該申請に係る資産の状況、などがあります。

5. 審査をクリアした後の流れは?

審査をクリアすると、指定通知書が事業所に郵送されます。新規事業者の場合は、その後「公示」がおこなわれるのです。

事業所を新築した場合、または改築して出入口が変わった場合は、「住居表示の届出」を提出する必要があります。

ケアマネジャーが独立するメリット・デメリットとは?

ケアマネジャーとして独立を目指すためには、どのようなことに気をつけるといいのでしょうか。そのメリットとデメリットについて確認しておきましょう。

ケアマネジャーが独立する3つのメリット

ケアマネジャーとして独立するのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。そのメリットをご紹介します。

1. 勤務時間の自由がきく|自宅開業なら通勤時間もカット

事業所や施設で勤務するのとは違い、独立した場合は勤務時間を自分で自由に決めることができます。出勤時間、休憩時間、休日など、すべて自分の都合で組むことができるのは大きなメリットです。自宅で開業すれば、出勤の必要もなくなります。

2. お仕事の報酬をすべて受け取れる

事業所・施設勤めであれば、必ずその会社の取り分というものがあり、それを差し引かれたうえで報酬が支払われます。場合によってはかなりの減額になってしまうこともあるでしょう。一方、独立開業した場合は、一切差し引かれることなく、すべての報酬をそのまま受け取ることができます。

もちろん、独立開業して事業を営むには、運営費・経費・その他諸費用が諸々かかるので、獲得した収入からそれらを差し引く必要はあります。しかし、事業所勤めで固定給しかもらえないのと比べると、金銭的に大きな魅力があるのは確かです。

3. 仕事の内容を選べる

事業所・施設勤務の場合、やりたくない仕事でも上司からの指示であればそれに従うしかありません。一方、独立開業すれば受けたい仕事を自分で選ぶことが可能になります。

依頼される案件のなかには、「ちょっと精神的な負担が大きいから受けたくない」「このクライアントとはあまり仕事をしたくない」ということもあるかもしれません。そういうとき、自身のさじ加減で仕事を選べるというのはうれしいポイントといえるでしょう。

ケアマネジャーが独立する3つのデメリット

続いて、ケアマネジャー独立のデメリットとしてはどのようなものがあるでしょうか。経営面や業務面から見えるデメリットを見ていきましょう。

1. 収入が安定しない|独立ケアマネの収入・平均年収とは

ケアマネジャーの収入は、たとえばケアプラン作成1件だと介護報酬が1万~1万5,000円ほどです。ケアマネジャーの受け持ち人数は上限が35人と規定されているので、月に最大35人のケアプランを実施した場合、売り上げは35~52万円という計算です。

これは、あくまで月に最大35人を受け持った場合なので、受け持ち人数が減ればそれだけ売り上げも減ります。つまり、月の受け持ち人数が安定しなければ、収入も安定しません。さらに、これらの売り上げから毎月の運営費・経費・税金・保険料が差し引かれることも考えておかなければなりません。

なお、平成30年に厚労省が発表した介護従事者処遇状況等調査によると、ケアマネジャーの平均給与は35万320円となっています。

2. 集客が大変|サービス利用者を自分で集める

独立すると営業や集客もすべて自分でやらなければいけません。営業や集客が苦手でなかなか人を集められない人は、それだけ経営が厳しくなり、収入も不安定になってしまいます。

3. 仕事量が増える

会社勤務であれば、自分の担当する仕事や役割が決まっているので、それ以外の仕事を請け負う必要はありません。一方、独立した場合は、営業・集客・宣伝はもちろん、事務に必要な備品の準備・管理、会計、顧客対応など、雑務の一切を一人でこなす必要があります。それらをこなしたうえで本業であるケアマネジャーの仕事をすることになるので、精神的にも肉体的にも負担は大きくなるでしょう。

雑務に追われて本業の仕事がままならない、または支障が出てくるということになれば、何のために独立したのかということにもなります。

資格を活かして働ける! 独立型ケアマネの道も選択肢のひとつ

独立型ケアマネを目指す場合は、メリットとデメリットの両方を慎重に考慮し、自分にとって相応しい働き方かどうかを見極める必要があります。

営業や集客といった経営能力に自信がある人、または収入の多さにこだわらず、できるだけ自分の都合に合わせて自由に働きたい、勤務時間を減らしたい、ストレスなく働きたい、といった人は独立型ケアマネに向いているといえるでしょう。

すでにケアマネジャーとして事業者や施設に勤務している方は、今後の選択肢のひとつとして独立型ケアマネジャーを考えてみてはいかがでしょうか。

出典元:
厚生労働省 介護従事者処遇状況等調査
渋谷区役所 居宅介護支援事業所指定 ガイドライン

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