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特集・コラム 2020-09-06

サービス提供責任者は兼務できるの? サービス提供責任者の資格要件とは

訪問介護事業所を利用する人とヘルパーやケアマネジャーをつなぐ役割を持つのが、サービス提供責任者です。しかし、サービス提供責任者は、ほかの職種と兼務することができるのでしょうか。

今回は配置基準と兼務の有無・資格要件をご紹介します。配置基準は基準が緩和される場合もあるので、しっかり把握しておきましょう。資格要件についても介護サービスと障害者支援サービスでは異なる点があることも覚えておく必要があります。

サービス提供責任者は兼務できるの?

サービス提供責任者には、定められた配置基準があるということをご存知でしょうか。今回は具体的な基準はもちろん。兼務が可能かどうかを詳しく解説します。

サービス提供責任者の配置基準とは?|指定(介護予防)訪問介護事業所の場合

東京の指定(介護予防)訪問介護事業所の場合の配置基準を解説します。あくまでも一例であるため、自治体により規定が違う場合もあるので、お住まいの自治体の規定を確認するようにしてください。

利用者40人につき1人以上の配置が必要!

利用者数40人につき1人以上が基本的な配置基準です。41人以上80人以下では2人、81人以上120人以下では3人というように、配置しなければいけない人数が増えていきます。

利用者50人につき1人でもOKになる条件とは?|常勤3名以上配置など

3つの条件を満たせば、利用者数50人につき1人の配置でよくなります。3つの条件は以下のとおりです。

・常勤のサービス提供責任者を3名以上配置
・サービス提供責任者の業務を中心に従事している人を1名以上配置
・効率的にサービス提供責任者の業務をおこなえている場合

具体的には、訪問介護員としてのサービス提供時間が月に30時間以内の人が対象です。効率的におこなえているかは、ソフトウェアやネットワークシステムを使用して省力化をはかっているかなどで判断します。

サービス提供責任者を兼務できる!

サービス提供責任者は、ほかの職務と兼務することは可能です。どのようなパターンが可能かについて解説しますが、各自治体により異なる場合があるので自治体ごとの規定をチェックするようにしましょう。

たとえば千葉県柏市の場合をご紹介します。

訪問介護の管理者・同一敷地内の定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の職務・同一敷地内の夜間対応型訪問介護事業所の職務・居宅介護などのサービス提供責任者(同一の事業所が障害者にかかわる居宅介護などの指定を受けている場合)

このような場合には、兼務することが可能です。

管理者との兼務は可能!

サービス提供責任者は管理者との兼務は可能で、東京都の要項にも差し支えないと記載されています。兼務をすることで、人的コストを減らすことが可能です。

ヘルパーとの兼務は可能?

サービス提供責任者は、ヘルパーとの兼務も可能です。ただし、業務に支障をきたすため、管理者とヘルパー両方との兼務はできません。

サービス提供責任者の資格要件とは

サービス提供責任者になるためには、資格要件を満たす必要があります。具体的な要件について確認しておきましょう。

「サービス提供責任者」という資格はない!

サ責と呼ばれることもあるサービス提供責任者は、役職名であり資格の名称ではありません。責任者になるための試験を受けて取得するものではないため、注意してください。

利用者のサービス計画立案や相談業務・ヘルパーの業務管理や指導をおこなう

おもな仕事内容としては、利用者におこなうサービスを具体的に計画したり、利用者や家族の相談に乗ったりすることが挙げられます。ヘルパーに同行して指導するほか、自身がヘルパー業務をおこなう場合もあるのが特徴です。

介護サービスの関係者との会議に参加したり、事務作業をおこなったり、事業所により細かい仕事内容は違うため、細かい内容を知りたい場合は事業所に確認するようにしましょう。

居宅介護・重度訪問介護サービスに携わる場合

資格要件を満たさないとなることができず、介護と援護では要件に違いがあるのが特徴です。まずは居宅介護や重度訪問介護などの場合に必要な資格要件について解説します。

介護福祉士・実務者研修修了者など

必要な資格は介護福祉士・実務研修修了者・介護職員基礎研修修了者・訪問介護員(ホームヘルパー)1 級課程修了者のいずれかです。3年以上介護などの業務に従事した場合は、居宅介護職員初任者研修修了者も有効となります。

障害者支援サービスに携わる場合

居宅介護や重度訪問介護などの資格要件と、同行援護や行動援護の資格要件は異なるのが特徴です。障害者支援サービスに携わる場合に必要な資格要件について解説します。

同行援護の場合|同行援護従業者養成研修修了者など

同行援護従業者養成研修(応用課程)修了者は、同行援護のサービスができます。ただし、介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修修了者・訪問介護員(ホームヘルパー)1級課程修了者・3年以上介護業務に従事した居宅介護職員初任者研修修了者のいずれかです。

ほかに国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科修了者も可能となっています。同行援護従業者養成研修は一般課程20時間・応用課程12時間で構成されていて、講義の内容は次のとおりです。

・視覚障害者(児)福祉の制度とサービス
・同行援護の制度と業務
・障害・疾病の理解1、2
・障害者(児)の心理1、2
・情報支援と情報提供
・代読・代筆の基礎知識
・同行援護の基礎知識

ほかに実習で基本技能と応用技能・交通機関の利用などを学びます。一般課程の実習は8時間、応用課程の実習は10時間定められているのです。

行動援護の場合|行動援護従業者養成研修課程修了者など

居宅介護や重度訪問介護などの場合に必要な資格要件を満たし、さらに知的障害児者または精神障害者の福祉に関する直接支援に5年以上従事した経験がある人が対象です。

知的障害児者または精神障害者の福祉に関する直接支援に3年以上従事した経験があれば、行動援護従業者養成研修課程修了者と強度行動障害支援者養成研修(基礎研修および実践研修)修了者も対象となります。行動援護従業者養成研修は24時間かけて研修をおこない、以下のカリキュラムを習得しなければなりません。

講義
・強度行動障害があるものの基本的理解に関する講義
・強度行動障害に関する制度および支援技術の基礎的な知識
・強度行動障害のあるものへのチーム支援
・強度行動障害と生活の組み立て

演習
・基本的な情報収集と記録等の共有
・行動障害があるものの固有のコミュニケーションの理解
・行動障害の背景にある特性の理解
・障害特性の理解とアセスメント
・環境調整による強度行動障害の支援
・記録にもとづく支援の評価
・危機対応と虐待防止

講義は10時間・演習は14時間で構成されています。行動援護従業者養成研修の内容は、強度行動障害支援者養成研修とほぼ同じであることが多いです。

注意! 実務経験ではサービス提供責任者になれない

2018年度から3年以上の実務経験を積んだ介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)修了者が要件から除外されました。要件が変更されて、現在は実務経験では責任者になれないため注意が必要です。

1年の経過措置がとられたため、実際に介護職員初任者研修修了者が除外されたのは2019年度からで、介護福祉士の資格取得か実務者研修の課程修了が必要となりました。

サービス提供責任者は兼務可能! 資格要件をチェックしてみよう

サービス提供責任者は、管理者またはヘルパーと兼務することができます。人的コストを削減できるメリットがありますが、3つの職務をかけ持つことはできないので注意してください。

居宅介護や重度訪問介護だけでなく、要件を満たせば同行援護や行動援護もできるため仕事の幅が広がります。介護福祉士など、要件を満たす資格を所持していればなれるポジションですから、キャリアアップとして検討してみてはいかがでしょうか。

出典元:
厚生労働省 厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者
千葉県 サービス提供責任者の資格要件について
厚生労働省 同行援護について
厚生労働省 行動援護に係る報酬・基準について

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