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介護・看護・リハビリ 2020-11-12

【今さら聞けない!? 介護のお仕事の基本 vol.19】オムツ交換が毎回スムーズにいかない…。どう対処すればいい?

介護技術だけでなく、コミュニケーションなどの能力も求められる介護職。そんな介護職が現場で直面する困りごとの対処法をご紹介する当企画。利用者にもいろいろな人がいて、必要な介護もそれぞれだから、利用者の数だけ対応方法があるといっても過言ではありません。少しでもお役に立てれば幸いです。

リハビリパンツのチェック・交換のたびに、スタッフにイライラをぶつけるNさん。お互い気持ちよくできる方法は?

かつては商社マンとして活躍していたNさん(男性)。奥さんに先立たれた後、老人ホームに入居しています。最近寝たきりになり、リハビリパンツを使うようになりました。それに伴ってイライラすることも増え、スタッフにあたることも多くなりました。

ある日スタッフが「Nさん、リハビリパンツを確認させてください」と声をかけ、リハビリパンツをチェックしようとした時のこと。Nさんは怒って「さわるな!」と叫び、自分ではできないのに「自分でやるからいい!」とそっぽを向いてしまいました。

排泄にまつわるやりとりは、介護のお仕事とは切っても切り離せないもの。利用者ができる限り嫌な思いをせずにいられる対処法を身につけておきたいところです。どうするのがよいのか、ポイントをおさえながら見ていきましょう。

ポイント1:排泄にまつわる言葉を使わない

排泄にまつわる言葉は、介護職には業務用語的な意味合いを持っています。だからつい、利用者の前でも無意識に口にしてしまいがちです。しかし、介護職ではない多くの人にとっては、羞恥心を感じるもの。「漏らした」「便で汚れた」という表現はもちろん、オムツやリハビリパンツなどの日用品の名称も、多くの利用者にとっては恥ずかしさを感じる言葉なのです。まずは利用者の気持ちを第一に考え、「(食事の前に)お着替えしてさっぱりしませんか?」など、直接的な表現を避けたアプローチを意識してみましょう。

ポイント2:周囲に聞こえないように声かけをする

一般的にも羞恥心を感じる排泄にまつわる介護です。介護状態を受け入れがたく思っている利用者であればなおさら、オムツを使っていることを周囲には知られたくないでしょう。周りに聞こえないよう、耳元でささやくように声かけをしてみてはいかがでしょうか。

ポイント3:プライドを傷つけない謙虚な姿勢で

誰しも、下の世話を人にしてもらうことには抵抗を感じるものではないでしょうか。実際にそうなってしまった利用者は、その気持ちを抱きつつも介護を受け入れざるを得ない状態なのです。介護職の対応で追い打ちをかけることのないよう、プライドを傷つけないようなアプローチを大切にしましょう。「(お着替えの)お手伝いをさせていただきますね。」のような謙虚な姿勢で対応すると、利用者も受け入れやすくなるはずです。

『オムツ交換』のときに言ってはいけない2つのこと

1.「オムツ、換えましょうね」
2.「恥ずかしがらなくていいですよ」

繰り返しになりますが、排泄にまつわる言葉だけでなく、その介護行為そのものに人は羞恥心を感じるものです。介護職にとっては「日常」の「当たり前」の業務のひとつかもしれませんが、利用者にとっては人としての尊厳にかかわることなのです。デリケートなことだからこそ、より利用者の思いや立場に配慮しながら接することを大切にしましょう。

文:細川光恵
参考:「こんなときにはどう言葉をかけたらいい? 介護の言葉かけ タブー集」誠文堂新光社

監修

中浜 崇之さん
介護ラボしゅう 代表/株式会社Salud代表取締役/NPO法人 Ubdobe(医療福祉エンターテイメント) 理事/株式会社介護コネクション 執行役

1983年東京生まれ。ヘルパー2級を取得後、アルバイト先の特別養護老人ホームにて正規職員へ。約10年、特別養護老人ホームとデイサービスで勤務。その後、デイサービスや入居施設などの立ち上げから携わる。現在は、介護現場で勤務しながらNPO法人Ubdobe理事、株式会社介護コネクション執行役なども務める。2010年に「介護を文化へ」をテーマに『介護ラボしゅう』を立ち上げ、毎月の定例勉強会などを通じて、介護事業者のネットワーク作りに尽力している。

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