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介護・看護・リハビリ 2020-08-09

【今さら聞けない!? 介護のお仕事の基本 vol.8】サービス範囲外のことを頼まれた! トラブルにならない断り方は?

居宅型、宿泊型、訪問型など、サービスの形態も様々な介護職。求められる介護技術はもちろん、コミュニケーション力や対応力など、幅広い知識が求められ、介護に携わる方たちが現場で直面する困りごとも様々です。そんな日々の業務の助けになる対処法を紹介する当企画。今回は、希望に沿えない利用者からの要望を断る時のポイントを取り上げます。

「特売日だから、○○を買ってきて」サービス範囲外のことを頼まれた

訪問介護で、居室清掃と調理介助を受けているYさん。予定以外のサービスはできないことを伝えていますが、度々、決まったサービス以外のことを頼まれます。前回は草むしりを頼まれましたが、時間の都合もあったので、何とか断れました。

今回は、「いつものスーパーが特売日なんだ。洗剤とシャンプーが安いから、清掃はもういいから買ってきてほしい。」と言われました。居住清掃を「切り上げて」と言っているので、時間がないでは納得してもらえません。規則だと説明すると、「年金暮らしでお金に余裕がないんだ。日用品を安いときに買ってきてほしいというのはダメなのか?」と食い下がられました。

安いときに買いたい気持ちは分かります。しかも、買ってきてほしいものは嗜好品ではなく生活用品です。買い置きしておいてあげたくなる気持ちも、人情としては分かります。ではこんな時、どう考えて、どう対処するのがいいのかを見ていきましょう。

ポイント1:介護サービスは制度やルールを基準に対応している「職務」である

介護職は人対人の仕事ですが、制度にのっとった職務です。情に流され、制度やルールから逸脱した、行き当たりばったりや思いつきでの対応では、必ず限界がやってきて、サービスを続けることができなくなります。ケアスタッフは、制度の中で正しい内容を正しい方法でやり続けなければいけないことを、再度肝に銘じましょう。

また、現場では利用者対介護職が1対1であっても、介護サービスはチームで動いているものです。一人が約束を超えた動きをすると、同事業所で働く他の人たちにも迷惑になる可能性があることも意識しましょう。

ポイント2:断る時は特に「言い方」を考える

日々の業務の中では、「断る場面」に直面することもあるでしょう。クレームやトラブルの多くは、このような「断る場面」で見られます。そこには、断る時の「言い方」が大きく関係しています。否定形の返答は、誰にとってもうれしいことではないということを念頭に置いておきましょう。

「断る」場面で伝えたい4つのこと

1.意向に沿えないことへの謝意
2.意向に沿えない理由
3.規則に従わず意向を受け入れた場合に起こる不利益
4.断りを受け入れてくれるようお願いの言葉

誰にとっても嬉しいものではないのが、拒否やお断りの言葉。だからこそ、客観的事実に基づいた内容を、誠意のこもった言葉で伝えることが大切です。感情に流されるとつい、言葉を勢いで発しがちになります。ですが、相手の心に響くのは、言葉の勢いではなく、言い方です。上記の4点を抑えておきましょう。

文:細川光恵
参考:「ケアスタッフの言葉かけ接遇会話集」日総研出版

監修

中浜 崇之さん
介護ラボしゅう 代表/株式会社Salud代表取締役/NPO法人 Ubdobe(医療福祉エンターテイメント) 理事/株式会社介護コネクション 執行役

1983年東京生まれ。ヘルパー2級を取得後、アルバイト先の特別養護老人ホームにて正規職員へ。約10年、特別養護老人ホームとデイサービスで勤務。その後、デイサービスや入居施設などの立ち上げから携わる。現在は、介護現場で勤務しながらNPO法人Ubdobe理事、株式会社介護コネクション執行役なども務める。2010年に「介護を文化へ」をテーマに『介護ラボしゅう』を立ち上げ、毎月の定例勉強会などを通じて、介護事業者のネットワーク作りに尽力している。

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