ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
ヘルスケア 2020-12-04

【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.15】JUMP OUT 堤由輔さんが考えるスポーツトレーナーの魅力

ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。

前回は、スポーツトレーナーとして活躍するJUMP OUT 堤由輔さんに、その道を志したきっかけや現在に至るまでの経緯をお聞きしました。今回は、堤さんがスポーツトレーナーとして大切にしていることや、これからスポーツトレーナーを目指す人たちへのアドバイスを教えていただきます。

自分が興奮や感動をしたいから、この仕事をしているんです

―堤さんが感じる、スポーツトレーナーという仕事のおもしろさ・魅力は何ですか?

いろいろあるんですけど、サポートをしている選手が試合で活躍したときが、やっぱり一番うれしいですね。この仕事を始めた最初の理由が、「スポーツが好きだから」なんですけど、それってスポーツをとおして感じる興奮や感動が好きってことなんですよね。自分が興奮したいし感動したいから、選手のトレーナーをやっているところがあって。だから最終目的地は試合だし、そこで選手が頑張っているのを見ると「よし!」って思います。

あとは単純に体そのものがおもしろいので、それを学んでいくのも楽しいです。トレーナーとして必要なことって幅広くて終わりがないんですよね。体の機能はもちろん、食事のことやメンタル面とか。僕の場合は、そのときのクライアントに必要なものを学んでいくパターンが多いんですが、新しいことを学ぶのは楽しいですよね。

―クライアントと関わるときに気をつけていることはありますか?

まず、人としての信頼を得られるように、しっかりコミュニケーションをとることです。アスリートに帯同するときって、施術のとき以外もずっと一緒にいるんですよ。人としてイヤなやつと一緒にいたくないだろうし、一緒にいて楽だなって思ってもらえないと負担になってしまいますから。

メジャーリーグで活躍している選手が、トレーナーを選ぶ基準は「人でしかない」って言っていたんです。いろんな専門家が、いろんなことを言っていて、どれが本当かなんてわからないから、「この人を信用してダメだったら、それでしょうがない」って思えること。改めて、人としての信頼、人間力って大切なんだなと思いました。

―信頼されるには、どうすればいいんでしょうか?

勉強を怠っていないっていうのはもちろん重要ですよね。聞かれたことに、きちんと答えられないといけませんから。伝え方も大切です。言っていることがわかりにくくないか、上から目線になっていないか。

会話していくなかで、体のことだけじゃなくて、「この人といると自信が出てくる」とか、「わからなかったことが明確になる」とか、そういうメンタル面でもいい影響を与えられる人が、信頼されるんじゃないかなと思います。

あとは、相手がして欲しいことを、先を読んで対応していくこと。表情やしぐさを見て、必要なものを準備していくっていうのは、仕事として必要なことでもあります。それを続けていけば、「自分のことをわかってくれてる」って思ってもらえるんじゃないかなと。

―そのあたりは、カラダファクトリーでの接客経験も活きていそうですね。

そうですね。でも、トレーナーって接客的なアプローチだけじゃダメなんですよね。指導者として、選手が嫌がることをさせなきゃいけない場合もあるので。指導者でもありながら、接客業のようなホスピタリティも必要で、そのバランスが難しいところです。

常に勉強し続け、相手を思いやる「人間力」が大切だと思います

―「JUMP OUT」では、世界に飛び出す人材の輩出とサポートというところも掲げていらっしゃいますね。

そうですね。僕は、日本人のセラピストは、世界に通用すると思っているんです。筋力アップとかのトレーニング系は、欧米のほうがすごいと思うんですけど、整体などの手技療法は日本のほうが上。スペインだと、「日本人セラピストを見つけたら捕まえろ」って言われているくらいです。日本人は、手の感覚が繊細だし、仕事が丁寧。僕らが普通にしていることでも、外国人から見たら、すごく丁寧に見えるんですよね。そして、気配りや思いやりっていうのも、強みになると思います。

でもまずは、僕自身が世界に飛び出さないとなって思ってるんですけどね!「日本人のトレーナーってすごいよ」っていうのを見せていきたいし、それをみんなが追ってこられるようにしたいと思っています。

―スポーツトレーナーになろうと思っている人に、アドバイスをお願いします。

最初に、ざっくりでもいいので、方向性を決めておくこと。スポーツトレーナーって、本当に幅が広いんですよね。チームに就くのか、個人に就くのか。筋力トレーニングをしたいのか、ケアに重点をおきたいのかでも、行く学校や取る資格が変わってきます。

どんなトレーナーにも共通して必要な知識として、解剖学や生理学、スポーツ医学などは、学んでおいて損はないと思います。

あとは、やっぱりコミュニケーション能力とホスピタリティを養うことですかね。僕自身、会社に入ったころは、「技術と知識があればいいじゃん」って思っていたタイプだったんですけど、やればやるほど、人としてのコミュニケーション能力がないと難しいなと感じました。それがないと、選手にして欲しいことを伝えられなかったり、モチベーションをうまくサポートしてあげたり、っていうのができないので。

学生のうちにするなら、飲み会の幹事とか、学園祭の実行委員とか、「みんなをサポートして盛り上げる側」を経験しておくといいんじゃないかな。人を楽しませる側になることで、相手の気持ちを読む力が養えると思います。

―堤さんが、「学んでおけばよかった」と思ったことはありますか?

今、僕は、脳や神経を施術の軸にしているんですけど、それはもっと早いうちに勉強しておけばよかったですね。でも難しい話なので、体のしくみなどの基礎を学んでからじゃないとダメかもな。

―堤さん的、スポーツトレーナーの3か条を教えてください!

1.技術力 2.知識力 3.人間力

体にまつわることって、常に新しいものが出てくるので、どんどん勉強しないといけないなと思います。きちんと知識として取り入れて、技術として習得する。そして、やっぱり、相手を思いやって先読みするチカラ、コミュニケーション能力も大事ですよね。

勉強をし続けられるってことを含めての「人間力」が一番大切なんじゃないかなと思います。

指導者としての面もあるスポーツトレーナーには、体を整えるための技術や知識だけでなく、信頼される「人間力」が必要なんですね。次回は、堤さんの手技&技術をご紹介します。

▽#3はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.15】スポーツトレーナー 『JUMP OUT』堤由輔さんの手技&技術>>

取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代

教えてくれたのは…

スポーツトレーナー 堤由輔さん

「カラダファクトリー」などを運営する株式会社ファクトリージャパングループに11年在籍。整体師として働くかたわら、会社初のスポーツトレーナーとしても活動を開始し、多くのスポーツチームやアスリートをサポートする。2016年に独立。現在、虎ノ門に「脳バランス整体院 JUMP OUT」を立ち上げ、アスリートから一般、子供まで幅広い身体のサポートを行っている。YouTube(スポーツトレーナーつつみのカラダ向上チャンネル)での動画配信やオンラインサロンでの情報発信、「カラダファクトリー 二子玉川店」運営など、幅広く活動中。

Studio Data

JUMP OUT
住所:東京都港区西新橋2-13-14 パーク虎ノ門ビル2F

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事