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特集・コラム 2021-01-20

社会福祉士の実習について解説! どんな場合に実習免除になるの?

キャリアアップのために、社会福祉士への転職を検討する人もいるでしょう。社会福祉士の国家試験は18科目と出題範囲が広いのが特徴です。ところで社会福祉士を目指すには受験資格をえる必要があり、大学や指定施設での学習にくわえて、定められた期間の実習を終えることも条件に含まれています。

仕事をしながら社会福祉士を目指す人も多いですが、実は条件を満たせば、実習が免除となる場合があるのです。ここでは、どのような場合に実習が免除になるのか詳しく解説していきましょう。社会福祉士を目指す人はぜひ参考にしてみてくださいね。

社会福祉士の実習とは?

社会福祉士の実習では座学だけでは学ぶことのできない、より現場に即した実践的な内容を目で見て学びます。ここでは社会福祉士の実習について詳しく解説していきましょう。

実習の概要|目的と期間

実習は実際に社会福祉士として働く人たちがどのように利用者の方と関わっているのか、目で見て学習し、実践につなげることが目的です。実習では座学だけでは学ぶことのできない現場の実践的内容が中心となり、実際に働く人の生の声を聞くことができ、視点を広げるという意味でも非常に有意義なものとなるでしょう。実習は24日間以上、180時間という期間が定められています。

実習の場所|特別養護老人ホームや児童養護施設など

実習先は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスなどといった施設や地域包括支援センター、社会福祉協議会などがあります。また、児童養護施設や病院、障がい者支援施設など実習先はさまざまです。これだけ多くの場所で社会福祉士が活躍しているということがわかります。

実習の内容|利用者支援やコミュニケーションの形成など

実習では実際に社会福祉士として働く人の姿や地域包括支援で重要な多職種との連携、働くうえでの倫理観などについて理解を深めていくでしょう。ここでは具体的に実習でどのような内容について学ぶのか、一般社団法人日本社会福祉士養成校協会の相談援助実習ガイドラインから抜粋して解説します。

1. 利用者や関係者などとのコミュニケーションや円滑な人間関係を形成する

社会福祉士は、福祉や医療の場面における相談援助をおこなう役割を担います。そのため、利用者とのコミュニケーションはもちろん、多職種間での連携が欠かせません。支援がスムーズにいくように、質の高いサービスを提供できるように利用者や多職種とどのようなかかわりが必要なのかを学びます。

2. 利用者理解とその需要の把握および支援計画の作成

利用者へのサービス提供は、支援計画にもとづき実施されます。計画を作成するには利用者についての情報を整理し、理解することが必要です。利用者への理解から問題点を表面化させ、分析をし、計画を作成するという手順を踏むでしょう。実際に現場においてどのようなケースでの利用があるのか、実際の計画立案までの流れを実習で学んでいきます。

3. 多職種連携をはじめとする支援におけるチームアプローチを学ぶ

福祉や医療の分野では、多職種がひとつのチームとなって支援をする体制が推し進められています。それぞれの職種が専門性を発揮し、連携し合うことで迅速かつ質の高いサービスにつながるというメリットがあるのです。

また、利用者やその家族への安心感にもつながっていくでしょう。このように地域包括支援という観点から、社会福祉士の実習においてもどのような職種の人がかかわり、具体的にどのような連携がおこなわれているのか、会議やカンファレンスなどの現場を見て実際を学びます。

4. 社会福祉士としての職業倫理や組織の一員としての役割と責任への理解

社会福祉士という資格を持つものとして職業倫理にもとづき、施設などの組織の一員として責任ある行動が求められます。介護や医療、福祉の現場では利用者本位のサービスが基本です。

さまざまな課題の多い現場において、つねに利用者のためのサービスであるということに立ち返ることが必要となるからです。利用者とのコミュニケーションや計画の作成や多職種との連携などといったなかで、倫理的な判断が求められる場面を具体的に学びます。

また、個人情報保護への取り組みや就業規定などについても知ることが重要です。社会福祉士は生涯研修制度といって社会福祉士会に入会し基礎課程Ⅰ、II、Ⅲと働くうえで必要な倫理観や知識などを学びます。資格取得を目指す人にとって、ぜひ知っておきたい内容です。

実習免除になる場合とは? 実習免除になる条件を解説

受験資格取得の場合、実習が免除となるケースがあります。実際に働きながら資格取得を目指している人はもしかすると、実習免除の条件にあてはまるかもしれません。つまり、実習なしで自分が働いた経験が実務とみなされるということになります。ここでは、どのような場合に実習が免除になるのか確認しておきましょう。

指定施設・職種にて専任での辞令と、1年以上の実務経験が必要

厚生労働省令によって定められた指定施設・職種で、専任の辞令と1年以上実務経験があるというのが条件になります。専任の辞令を受けた職員というのは、指定施設で常勤として働いている実務者のことです。パートやアルバイトの場合には、常勤者の4分の3以上の時間を相談援助業務にあてている人が条件となります。

実務経験として認められる業務とは?

厚生労働省令で定められている指定の施設や職種は、おおまかに児童分野、障がい者分野、高齢分野、そのほかに分類されます。ここでは、実務経験として認められる業務や職種を分野別に確認していきましょう。

高齢者分野|介護保険施設や徳用老人ホームなど

介護保険法や老人福祉法に定められた各施設において、相談支援業務をおこなっている職員の場合、実務経験として認められ実習が免除となります。

・介護保険法に定められる施設
介護老人保健施設での支援相談員や相談指導員、指定介護療養型医療施設での介護支援専門員などとして働いている人が該当します。地域包括支援センターでの保健師や主任介護支援専門員なども同様です。

・老人福祉法に定められる施設
養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンターなどでの生活指導員として働いている人があてはまります。

このほかに、サービス付き高齢者向け住宅で相談援助業務をおこなっている職員が該当します。

児童分野|児童相談所や母子生活支援施設など

児童福祉法にもとづく、指定の施設における相談支援業務が実務としてみなされます。児童相談所における児童福祉司、相談員、児童指導員や保育士などです。

また、母子生活支援施設での母子支援員、母子指導員、児童養護施設での保育士、職業指導員。乳児院での家庭支援専門相談員、保育士などが該当します。このほかに、児童デイサービス事業や子育て世代包括支援センターなどで相談援助業務をおこなっている職員の場合も実務とみなされ、実習が免除となる場合もあるのです。

実習は国家試験の受験資格に必須! 免除に当てはまるかチェックしてみよう

実習は国家試験の受験資格取得に必須です。ただ、すでに就業している場合、条件に該当すればおこなっている業務が実務とみなされ、実習が免除となるケースがあります。とはいえ、ほかに資格を持っているからといっても指定の施設において指定の職種、業務をおこなっていなければ実務とみなされないため、注意が必要です。実習が免除となればそのぶんを学習などの時間にあてることができ、体力的・精神的な負担も減ります。実習免除にあてはまるかどうかを事前にチェックしておくのがおすすめです。

参照元:
日本ソーシャルワーカー教育学校連盟 相談援助実習・実習指導ガイドラインおよび評価表
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験

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