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特集・コラム 2023-05-02

社会福祉士は高卒でもなれる? 最短ルートで目指すにはどうすればいいの?

高卒から社会福祉士を目指したいと考えている方もいるのではないでしょうか?

社会福祉士は、心身に障害を抱える方や日常生活を送るのが難しい方に対して相談に乗り、助言や福祉サービス、関係機関との調整を行う仕事です。

社会福祉士になるための国家試験は、大学や短大、専門の教育機関を卒業していなくても、実務経験を積むことで受験要件を満たすことができます。

本記事では、高卒の方が社会福祉士になるための最短ルート、社会福祉士を目指すメリットについて紹介します。高卒の方でこれから社会福祉士になりたいと考えていて、具体的なルートについて知りたい方は、参考にしてみてください。

社会福祉士は高卒でもなれるの?


社会福祉士になるために合格する必要がある社会福祉士国家試験は、高卒の方が無条件に受験できる訳ではありません。受験するためには、専門の高等教育機関を卒業したり、実務経験を積んだりなど、所定の条件をクリアすることが必要です。
ここでは、社会福祉士国家試験の概要やルートについて見ていきましょう。

社会福祉士になるには国家試験の受験&合格が必要

社会福祉士になるためには、社会福祉士国家試験の受験要件を満たし、受験した結果、試験に合格することが絶対条件です。後述しますが、いくつかの受験要件ルートがあり、それらのいずれかを満たすことで、社会福祉士になるための試験にチャレンジできます。

どんな試験を受けるの?

社会福祉士になるためには、社会福祉士国家試験を受験する必要があります。たとえば、試験で出題される「人体の構造と機能及び疾病」の範囲は以下の通りです。

・人の成長・発達:心身の発達・老化について
・心身機能と身体構造の概要:人体部位の名称、各器官の構造と機能
・国際生活機能分類の基本的な考え方と概要:心身機能、環境因子・個人因子など
・健康の捉え方:健康の概念
・疾病と障害の概要:疾病・障害の概要、精神疾患の診断・統計マニュアル
・リハビリテーションの概要:リハビリテーションの概念と範囲

その他に以下のような出題項目があります。

・「心理学理論と心理的支援」
・「社会理論と社会システム」
・「現代社会と福祉」
・「地域福祉の理論と方法」
・「福祉行財政と福祉計画」
・「社会保障」
・「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」
・「低所得者に対する支援と生活保護制度」
・「保健医療サービス」
・「権利擁護と成年後見制度」
・「社会調査の基礎」
・「相談援助の基盤と専門職」
・「相談援助の理論と方法」
・「福祉サービスの組織と経営」
・「高齢者に対する支援と介護保険制度」
・「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」
・「就労支援サービス」
・「更生保護制度」

引用元:公益財団法人 社会福祉・試験センター:試験科目別出題基準

出題形式は五肢一択の選択式の筆記試験で、問題の総得点6割を基準に、問題の難易度により補正された点数以上の得点が合格ラインです。また、18の科目群すべてにおいて得点していることが求められます。

試験の難易度はどれくらい?

令和5年2月に実施された第35回試験では、合格率は44.2%となっています。第32回が29.3%、第33回が29.3%、第34回が31.1%だったので、合格率は上昇傾向にあります。

引用元:厚生労働省:社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移

社会福祉士の国家試験は、出題範囲が広いため難易度の高い資格といえるでしょう。社会福祉士国家試験の難易度に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。

社会福祉士国家試験の難易度って?合格率やその他の試験との比較、合格に必要な3つのコツを解説

国家試験を受けるには? 受験資格取得ルートを紹介

社会福祉士国家試験を受験するためには、受験資格を取得するためのルートをたどる必要があります。ここでは、具体的な受験ルートについて確認していきましょう。

受験ルートに関する詳しい情報に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。

社会福祉士になるには?国家試験の受験資格を得る方法や必要な実務経験について紹介

1. 福祉系大学・短大等ルート

福祉系大学(4年)に通って、指定科目を履修して受験資格を得られるルートと福祉系の短大(2〜3年)に通って、1年以上の実務経験を積むことで、受験資格を得られるルートです。

ただし、福祉系大学を卒業しても、指定科目を修了していない場合は、短期養成施設(6カ月)に別途で通わなければならない点に注意しましょう。

2. 一般大学・短大等ルート

福祉系以外の一般大学や短大に通う場合は、前者は卒業後に1年以上の一般養成施設に通い、後者は卒業後に相談援助業務の実務経験を1年以上積み、一般養成施設に通うことで、受験資格を得られるルートとなっています。

3. 社会福祉主事養成機関ルート

社会福祉主事養成機関のカリキュラムを修了して、相談援助業務に2年以上従事した場合に、受験資格を得られるルートです。

この場合も、短期養成施設などに6カ月以上通う必要があります。

4. 5職種の実務経験ルート|査察指導員等

児童福祉司や身体障害者福祉司、査察指導員、知的障害者福祉司、老人福祉指導主事のいずれかの業務に、5年以上従事した方が6カ月以上の短期養成施設の修了を経て受験資格を得られるルートとなっています。

5. 実務経験ルート|相談援助業務

相談援助業務に4年以上従事し、一般養成施設等に1年以上通った方が受験資格を得られるルートです。具体的な相談業務については、次の章で紹介していきます。

高卒の方がこれから最短で目指すには?


高卒の方が実務経験ゼロの状態から最短で受験資格を得るためには、4年生の福祉系大学に進学し、指定されたカリキュラムを修了するのが近道です。ただし、実務経験がある場合は、大学に進学するよりも実務経験を積んだ方が早く受験できることも。

ここでは、高卒から社会福祉士になるための最短ルートを紹介します。

実務経験がない場合|福祉系の4年制大学へ進学する

実務経験がまったくない方がゼロから最短で社会福祉士を目指すなら、福祉系の4年生大学に進学し、卒業するのが最も近道です。具体的な受験資格の取得ルートと必要な期間は以下の通り。

福祉系大学で指定科目を履修する:4年(大学4年間)
福祉系大学で一般科目を履修する:4年半(大学4年間+短期養成施設6カ月)
5職種の実務経験ルート:4年半(実務経験4年+短期養成施設6カ月)
実務経験ルート:5年(実務経験4年+一般養成施設1年)

引用元:公益財団法人 社会福祉・試験センター:受験資格(資格取得ルート図)

実務経験がある場合|受験資格を満たしているかチェック

相談援助の実務経験がある場合は、受験資格を満たしているか、あと何年で受験資格を満たせるのかを社会福祉振興・試験センターのホームページから確認しましょう。現状のあなたの実務経験の年数や学歴などから、受験要件を満たしているかを気軽にチェックできます。

実務経験として認められるものとは?

実務経験として認められる業務の職種や施設の例は以下の通りです。

分野 施設の種類 実務経験として認められる職種
児童分野 児童相談所 ・児童福祉司

・受付相談員

・相談員

・電話相談員

・児童心理司

・指導指導員

・保育士

児童養護施設 ・児童指導員

・保育士

・個別対応職員

・職業指導員

障害児入所施設 ・児童指導員

・保育士

・心理指導担当職員

・児童発達支援管理責任者

児童自立支援施設 ・児童自立支援専門員

・児童生活支援員

・個別対応職員

・家庭支援専門相談員

高齢者分野 指定介護老人福祉施設 ・生活相談員

・介護支援専門員

介護老人保健施設 ・支援相談員

・相談指導員

・介護支援専門員

介護医療院 ・介護支援専門員
指定介護療養型医療施設 ・介護支援専門員
地域包括支援センター ・包括的支援事業に係る

業務を行う職員

障害者分野 身体障害者更生相談所 ・身体障害者福祉司

・心理判定員

・職能判定員

・ケース・ワーカー

身体障害者福祉センター ・身体障害者に関する

・相談に応じる職員

点字図書館 ・相談援助業務を行っている職員
その他 保健所 ・精神保健福祉相談員

・精神保健福祉士

・精神科ソーシャルワーカー

・心理判定員

病院・診療所 ・相談員

・退院後生活環境相談員

日常生活支援施設 ・生活支援員

・生活支援提供責任者

 

引用元:公益財団法人 社会福祉・試験センター:社会福祉国家試験:相談援助業務(実務経験)

以上に挙げた実務経験はあくまでも一例ですが、多くの分野で実務経験として認められる業務があることがわかります。

実務経験として認められないものとは?

指導員・訪問支援員として介護福祉士国家試験を受験した方は、その実務経験を社会福祉士国家試験の実務経験として再活用することはできません。児童支援員や保育士、障害福祉サービス経験者なども同様です。

他にも例外があるので、公式ホームページで実務経験として認められないものは何なのかを、細かくチェックして準備しておくことで、トラブルを避けられるでしょう。

社会福祉士を目指すメリットとは?


社会福祉士を目指すべきメリットには、就職や転職、対応できる業務の幅が広がることなどが挙げられます。ここでは、具体的なメリットについて確認しましょう。

1. 就職や転職に役立つ

社会福祉士を目指すべきメリットは、専門的な知識・スキルをアピールできることで、就職・転職の際に有利に働くケースが多い点です。福祉施設だけでなく、老人ホームなどでもニーズが高まっていると言われており、仕事を探す際の武器となるでしょう。

2. 職場での信頼度が増す|仕事の幅が広がる

社会福祉士の国家資格を取得することで福祉の知識があることを証明できるため、、職場における信頼度が上がりキャリアアップにつなげることもできます。

待遇がよくなり、資格手当ても支給されるようになる可能性が高いので、職場でのキャリアアップを目指す方におすすめです。

3. さまざまな方の支援に携わることができる

社会福祉士は広い分野の職場で、あらゆる方の支援に携われます。様々な悩みや不安を抱えている方の相談に乗れるので、やりがいを感じられる仕事だといえるでしょう。

社会福祉士は高卒からでも目指せる! 自分に合ったルートで目指そう


社会福祉士は、高卒からでも目指せる資格です。福祉系の4年生大学コースだけでなく、すでに実務経験の条件を満たしている方であれば、高卒からでも受験資格を得られます。

就職や転職、キャリアアップにも有効活用できる社会福祉士の資格を高卒から取得するためのルートをおさえて、自分に合った方法で最短距離の合格を目指しましょう。

引用元
厚生労働省:社会福祉士・介護福祉士等
厚生労働省:社会福祉士について
公益財団法人 社会福祉・試験センター:試験科目別出題基準
厚生労働省:社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移
公益財団法人 社会福祉・試験センター:受験資格(資格取得ルート図)
公益財団法人 社会福祉・試験センター:社会福祉国家試験:相談援助業務(実務経験)

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