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特集・コラム 2022-01-05

デイサービスで体操をおこなう目的とは? 体操がもたらす4つの効果|体操をおこなうポイントを紹介

レクリエーションを実施していることが多いデイサービスなどの介護施設。そのなかでも、身体を動かすために、体操をおこなっているところもあるようです。ここでは、デイサービスで体操をおこなう目的や効果などをくわしく解説します。

デイサービスで体操をおこなう目的とは?

デイサービスでは利用者さんが自立した生活をするための介護サービスを提供していますが、そのひとつに機能訓練があります。

そして、リハビリや体操といった運動もサービスに含まれているのが特徴です。ここでは、デイサービスで体操をおこなう目的を具体的にご紹介します。

介護予防|フレイル(虚弱)からの改善

機能訓練は動作の維持や改善を目的におこなうもので、デイサービスの中心となるサービスです。心身の健康を維持することで介護予防を図ることに加え、フレイル状態から高齢者を改善させるという重要な目的もあります。

フレイルとは、「健康」と「要介護」の間にある状態のことです。健康寿命の重要性が論じられる早期に対応することで、フレイルからの改善が期待できます。

フレイルのおもな特徴とは?

フレイルは身体的機能や認知機能が徐々に低下しつつある状態ですが、さまざまな症状が現れるため、事前に見つけることが可能です。そのうち代表的な特徴について、具体的なものをご紹介します。

筋力の低下・歩行速度の低下

フレイルの特徴のひとつに、筋力や歩行速度の低下があります。加齢による心肺機能の低下やさまざまな病気に起因するといわれていますが、歩行速度が低下することで移動能力も下がり、その結果筋力の低下にもつながりかねません。

疲れやすさ・活動性の低下

フレイルのもうひとつの特徴としては、疲れやすくなるという点もあります。身体的な疲労はもちろん、身体を動かすことがおっくうになるという精神的な疲労を感じることも。また、活動量が減ることでさらに身体能力が低下するという悪循環に陥ることも考えられます。

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無理なく動かして健康維持! 体操がもたらす4つの効果を紹介

デイサービスに体操を取り入れることで利用者さんの健康状態が向上し、より安心して日常生活を送れるようになるようです。ここでは、体操がもたらす具体的な効果4つをくわしくご紹介します。

1. 身体機能の維持・向上

デイサービスで体操を実施する最大のメリットは、日常生活の中で身体活動量を増やすことにつながるという点です。

無理のない範囲で身体を動かすことにより、ADLをはじめ身体機能の低下を予防したり、向上させたりすることが期待できます。

2. コミュニケーションを通して孤立感を解消

デイサービス時の体操は複数人が参加するため、必然と利用者間のコミュニケーションが発生するのが特徴です。

とくに外出の機会が少ない高齢者にとっては、地域社会からの孤立感が解消され、精神的な安定も図れる、というメリットが期待できます。

3. 日常生活を快適に送れるようになる

体操により身体機能を維持・向上させることで、高齢者が自分でできる生活動作が増えることも期待できます。

身体を動かす機会が増えることで身体機能の低下が予防でき、快適な日常生活を送れるようになるのも体操のメリットです。

4. 家族の介護負担を減らせる

体操自体は利用者さん自身の機能低下や向上を図るという目的や効果がありますが、機能低下を予防することで、家族の介護負担を減らせるという副産物もあります。

家族の時間や心に余裕が生まれ、結果として利用者の精神状態も安定することが十分期待できるでしょう。

利用者さんに運動を楽しんでもらうために! スムーズな進行のポイントとは

デイサービスに体操を取り入れることで、利用者さんに多くの効果をもたらすことがわかりました。つづいては、利用者さんに体操を楽しんでもらうために知っておくべきスムーズな進行のポイントをご紹介します。

体操をはじめる前|バイタルチェックでリスク管理

体操をはじめる前には、利用者さんのバイタルチェックを必ずおこないましょう。バイタルチェックは健康状態管理の基本として、あらゆる介護や医療の現場で実施されています。

デイサービスで体操をはじめる前にも血圧や体温など、利用者の体調を把握しなければなりません。少しでも異常がみられた場合は、無理をせず休ませるなどの対応が求められます。

体操をはじめたら|状況に合わせて内容を調整する

体操をはじめてからも、利用者さんの状況は随時注意しなければなりません。高齢者の場合は測定時に問題がなくても、時間により状態が変化することもあるからです。

あくまで利用者さんの安全を第一に考えるという前提のもと、必要に応じて体操の内容を変えたり、中止したりと、状況に応じた柔軟な対応を心がけましょう。

体操はどこからはじめる?|鍛えたい場所を決めておこう

身体機能を維持するための体操といっても、身体のどの部分をより鍛えるのかは利用者さんによって異なります。

上半身を中心におこなう体操や体幹を中心に鍛える体操、また下半身を強化するメニューなど、利用者さんごとに合った内容を決めておきましょう。

利用者さんへの対応も忘れずに|声掛け・アイコンタクト

デイサービス時の体操をスムーズに進めるためには、単に利用者さんの状態を見守るだけでなく、コミュニケーションを取りながら利用者さんが体操を楽しめるような配慮も必要です。

ちょっとした声がけや目が合ったときのアイコンタクトなど、カンタンな対応でも気持ちは伝わります。

カンタンにできるおすすめの体操を紹介!

デイサービスでおこなう体操は、効率よく機能向上させるために、利用者さんが楽しめる内容が好ましいです。

今回は例として、道具を使わずにできる体操と道具を使った体操について、それぞれご紹介します。

道具を使わずにできる体操

道具を使わずにできる体操は、数え切れない種類があります。今回は、そのなかからカンタンなものを2つピックアップしてご紹介します。

首のストレッチ

運動する習慣のない利用者さんに向いている体操として、首のストレッチがあります。前後左右に倒したり、左右を向いたりするだけという比較的単純な動作ですが、身体を動かすきっかけづくりには最適な体操といえるでしょう。

体幹ストレッチ

胸を丸めたり、反ったりする体幹ストレッチは、胸椎の柔軟性を高めることで円背姿勢の予防や改善が期待できるのが特徴です。その際、目線をへそや天井に向ける意識をもつことで、より高い効果が見込めます。

道具を使った体操

道具を使うことで、より多くの体操ができるようになるでしょう。つづいては、ペットボトルを使うものとボールを使うものをご紹介します。

ペットボトルを使った体操

中身の入ったペットボトル1本をへその高さで持ち、そこから両手で上に投げます。胸の高さまで軽く放り投げ、落とさないようにキャッチするという動作を繰り返すことで、胸や肩・腕の筋肉を鍛えることが可能です。

ボールを使った体操

いすに座った状態で直径15cmほどのビニール製ボールを持ち、手のひら全体でゆっくりとボールを潰してくという体操です。反対にボールを引っ張る体操やボールを脚に挟む体操もありますが、いずれも胸や肩などの上半身を動かして鍛えられます。

利用者さんに楽しんでもらえる体操を実施しよう!

デイサービスに体操を取り入れることで、普段使わない筋肉を鍛え、身体機能の維持・向上が図れます。もちろん安全管理は万全に整える必要がありますが、その効果をより高めるためにも、利用者さんが積極的に参加できる工夫が必要です。

利用者さんが体操を楽しむという視点を忘れずに、バリエーションを変えながらメニューを考えるようにしましょう。

引用元サイト
国立長寿医療研究センター フレイルの原因は?

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