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介護・看護・リハビリ 2021-04-08

【今さら聞けない!? 介護のお仕事の基本vol.29】利用者の急変に備える/気道の確保と胸骨圧迫のやり方

急変とは、心停止、呼吸停止、ショック状態、意識障害、そしてこれらに準ずる重篤な状態のこと。介護職としては、いざという時にも慌てず対応したいですね。今回は、医療職でなくてもできる救命処置を復習しましょう。

呼吸停止、または呼吸状態が悪い場合にまずやることは?

急変に遭遇したらまずは、「反応の確認と意識レベルのチェック」をしましょう(詳しくは、【今さら聞けない!? 介護のお仕事の基本vol.27】利用者が急変! まずは何をすればいい?)。次に、呼吸の状態の確認を。人は意識を失うと、舌の根元が落ち込んで気道を防いでしまうことがあり、その結果、呼吸が止まってしまうこともあります。確認時に呼吸が停止していなくとも、呼吸状態が悪い場合は次の処置を行いましょう。

処置1:気道の確保

呼吸が止まると脳への酸素供給が途絶えます。その状態が3分間続くと重い後遺症が残る可能性も。まずは呼吸を妨げない「気道の確保」が大切です。気道を真っすぐとし、空気を通りやすくする一番簡単な方法を紹介しますので、覚えておきましょう。

1.利用者を仰向けにして衣類をゆるめる
2.片手をひたいにあてる
3.もう一方の手の人差し指と中指をそろえてあごを上げる

これは「頭部後屈あご先挙上法」と呼ばれる方法ですが、決して難しくはありません。慌てずに行えるようにしておきましょう。

処置2:胸骨圧迫

気道を確保できたら、「胸骨圧迫」を行います。呼吸停止の場合はもちろん、呼吸が弱い場合も、脳への酸素供給は不十分な状態です。「胸骨圧迫」は、胸骨上を繰り返しリズミカルに圧迫することで、心臓を圧迫して全身に血液を送り届けるための処置。応援やAED、救急車が到着するまでしっかりとつなげられるよう、やり方を覚えておきましょう。

1.両手をイラストのように重ねる
2.左右の乳頭を結んだ線の胸骨上に、組んだ手を当てる
3.利用者の様子を確認しながら、胸が4~5cm程度沈むくらいの強さで垂直に圧迫する
4.1分間に100回を目安に圧迫を繰り返す

強く、速く、絶え間なく圧迫するのがコツです。利用者が意識を回復し、呼吸が戻ったらそこで中止しましょう。

胸骨圧迫で注意すべき2つのこと

1.高齢者の場合はある程度の加減も必要
2.定期的に専門家による講習に参加を

介護の現場で「胸骨圧迫」を施す可能性が高いのは、やはり高齢者です。高齢者の場合、骨粗鬆症のために骨がもろくなっていることも考えられるので、それを考慮した力加減が必要になってきます。胸骨圧迫はもちろん、気道の確保についても、経験がないと誰でも戸惑ってしまうものです。定期的に専門家による講習に参加して、迅速に的確に実施できるようにしておくことが大切です。

文:細川光恵
参考:「介護現場で使える 急変時対応便利帖」株式会社翔泳社

監修

中浜 崇之さん
介護ラボしゅう 代表/株式会社Salud代表取締役/NPO法人 Ubdobe(医療福祉エンターテイメント) 理事/株式会社介護コネクション 執行役

1983年東京生まれ。ヘルパー2級を取得後、アルバイト先の特別養護老人ホームにて正規職員へ。約10年、特別養護老人ホームとデイサービスで勤務。その後、デイサービスや入居施設などの立ち上げから携わる。現在は、介護現場で勤務しながらNPO法人Ubdobe理事、株式会社介護コネクション執行役なども務める。2010年に「介護を文化へ」をテーマに『介護ラボしゅう』を立ち上げ、毎月の定例勉強会などを通じて、介護事業者のネットワーク作りに尽力している。

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