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特集・コラム 2023-09-01

作業療法士が転職を考える理由とは? 転職を成功させるポイントを紹介

作業療法士として働いている方で、転職を考えている方もいるでしょう。しかし、転職を考えるきっかけや成功のポイントを知った上で、転職を決断したい方は多いはずです。

今回は、作業療法士が転職を考える理由や転職が失敗してしまう理由、転職を成功させるためのポイント、求人情報の現状について紹介します。

なぜ? 作業療法士が転職したくなる理由とは

医療機関や介護施設などで活躍する作業療法士は、どんなときに転職したくなるのでしょうか。ここでは、作業療法士が転職したくなる理由をご紹介します。

もう少し給料が欲しい場合

作業療法士が転職したくなる理由として、給料の低さにあるようです。あくまで事業所や施設によるものの、作業療法士はほかの医療職に比べると、給与が安く設定されている傾向があります。

令和4年 賃金構造統計調査によれば、作業療法士(理学療法士・言語聴覚士・視能訓練士を含む)の給料(決まって支給する現金給与額)は、27万8,600円でした。日本人全体の平均月収は31万1,800円なので、平均よりも低めであることがわかります。

そのため、もっと稼げる職場に転職したいと考える方もいるのです。

引用元
厚生労働省:令和4年 賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第3表
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査:結果の概要

やりがいはあるけど仕事が多め

作業療法士は、患者の生活の質や機能回復にかかわることができるやりがいのある仕事です。しかし、そのぶん仕事が多岐にわたるため、仕事量が多めになりやすい傾向にあります。

そもそも作業療法士は動作に着目して、患者が必要な作業動作、やりたい作業動作ができるようにリハビリをおこなうのが仕事です。作業動作に着目するため、作業療法士は日常生活動作や家事動作、仕事の動作、創作などの趣味の活動の動作まで、さまざまな動作に対するリハビリを求められます。

また、広い範囲をカバーするため、ほかの職種や病院外の関係機関との連携も多いです。

カルテ作成やカンファレンス資料の作成といった仕事を担当することもあり、仕事量が多く、夜遅くまで残業しなければならないケースもあるでしょう。あくまで事業所や施設によるものの、このような仕事の量の多さが転職を考えるきっかけになるとされています。

職場での人間関係がうまくいかない

作業療法士が転職したくなる理由には、職場での人間関係も深く関与しています。作業療法士は、患者はもちろんのこと、リハビリ室内の人間関係のほかに病棟や訪問部門、さらに病院外の関係機関など、人と関わることがとても多い仕事です。

上記のような職場で関わる人たちとの人間関係がうまくいっていないと、転職をしたいと考えてしまうことがあるようです。

施設の方針と合わない

仕事をしている病院や施設の種類によっては、作業療法士としての仕事以外の業務が多かったり、患者にじゅうぶんに関われなかったりすることがあります。

あくまで事業所や施設によりますが、リハビリにじゅうぶんに時間をかけられない、在宅の様子を見に行くことができないなど、リハビリ専門職として考えていたような作業療法ができないという理由で転職を考える場合もあるのです。

運動量が多くて体力が続かない

作業療法士の仕事は、要介護者に対して立つ・座る・歩くなどの日常動作や施設でのレクリエーションサポート、発達障害をもった子どもたちの運動支援など、身体を動かすことが多く、働き続けるのが体力的に厳しいと考える方もいます。

作業療法士として勤務していく中で、肩こりや腰痛に悩まされてしまい、働くのが困難だと判断した場合に、ほかの仕事に転職したいと考える方も少なくないでしょう。

スキルアップができない

業務による区別があまりないケースもあり、施設によっては、作業療法士以外の仕事を担当しなければならないことも珍しくありません。

また、事業所によっては、毎日同じような業務を繰り返すばかりで、専門性を高められず、さらなるスキルアップを目指すために転職を決心する方もいます。

作業療法士の転職が失敗してしまいがちな理由とは?

作業療法士の転職が失敗する理由は、一体何でしょうか。転職に成功するためにも、必ず避けておきたい転職時のミスを確認しましょう。

1. 転職する目的がはっきりしていない

ただ単に「そろそろ転職したいな」「今よりも給料が高い職場に転職したい」など、曖昧な目的で転職活動をはじめても失敗してしまう可能性が高いでしょう。

明確な転職先の基準がないと、自分でもどの転職先を選べばいいのか迷ってしまい、転職活動が長引いてしまったり、転職しやすい求人で妥協したりしてしまうこともあります。

後悔しない転職先を見つけるためにも、転職の目的は明確にしておきましょう。

2. 特定の条件にこだわりすぎる

休日数や給料など、特定の条件を追い求めすぎた結果、職場環境や事業所の雰囲気が自分には合わずに、転職したことを後悔してしまうケースも想定されます。

転職先を決める際は、特定の条件のみを見て判断するのではなく、職場全体をみて自分が希望する条件や環境に合致している転職先を選ぶようにしましょう。

3. 応募先の情報収集が不十分

転職先の業務内容や経営理念、職場の雰囲気などのリサーチを怠ると、いざ転職してから「思っていた職場と違う」と想像と現実のギャップに悩まされることもあります。

転職後の職場に対する認識のズレをなくすためにも、仕事に応募する前に業務内容や仕事に対する基本的な考え方などのポイントは、必ず確認するようにしましょう。

4. 転職理由がポジティブでない

ネガティブな理由で転職活動をしていても、採用されない可能性が高いです。たとえば、「前の職場は価値観が合わなかった」「給料が低かったから転職した」という理由で転職活動をしても、担当者からは不安に感じられてしまうかもしれません。

「こんな仕事を実現したい」「経験を活かしてスキルアップしたい」といったポジティブな理由で転職活動をした方が、採用される確率はアップするでしょう。

作業療法士が転職を成功させるには? ポイントを解説

OT(Occupational Therapist)と呼ばれる作業療法士は、身体機能が低下して自立して日常生活を送るのがむずかしい方や認知症などの方をサポートする専門職です。ここでは、作業療法士が転職を成功させるためのポイントをくわしく解説します。

転職活動をはじめる前のポイントとは?

現在働いている病院や介護施設から転職することを考えたときに、事前に準備しておきたいことがあります。

ここでは、求人情報を見て新しい職場を探す前に、知っておきたいポイントと転職活動をはじめてからのポイントをそれぞれ解説するので、参考にしてくださいね。

なぜ転職したいのか? 条件と優先順位を決めよう

作業療法士が転職を失敗する原因のひとつに、転職の目的があいまいなことがあります。

「今の職場が嫌だから」「もっと高い給料が欲しい」といった曖昧な理由で転職をすると、新しい職場で「こんなはずではなかった」と後悔してしまう可能性も少なくありません。

そのため、転職活動をする際には「どんな業務に従事するのか」「どんな働き方を実現したいのか」といった「これだけは譲れない」条件と優先順位を決めておきましょう。転職の目的がはっきりしていると、自分の目指すべき方向性が明確になりスムーズに転職活動をはじめることができます。

働いている間に次の職場を見つける

今の職場を退職したいと思ってもすぐに退職をせず、次の職場を決めてから退職することをおすすめします。次の職場が見つかっていないのに衝動的に退職をしてしまうと、収入がなくなり焦ってしまう可能性があるからです。

収入を確保した状態で転職活動をすることで、もし転職活動が長引いてしまっても妥協せずに、本当に自分が働きたいと思う転職先を吟味できます。

このとき、妥協をして決めてしまうと、あとになって後悔することも少なくありません。そうならないためにも、転職活動をする際には時間の余裕を持ち、次の職場を決めてから退職するようにしましょう。

転職活動をはじめる時期を考える

求人数は時期によって違いがありますが、医療関係の求人は一年のなかでも3~4月と9~10月に求人が増える傾向があるといわれています。

これらの求人が多い時期に転職活動をすると、自分の希望に合った職場が見つかる可能性は高くなるでしょう。

年明け、もしくは秋口ごろになってから本格的な転職活動を始めると、自分が希望する転職先を無駄なく見つけられる可能性が高いのでおすすめです。

転職活動をはじめてからのポイントとは?

転職する目的と優先順位が決まったら、転職活動をはじめましょう。ここでは、転職活動をはじめてからのポイントを解説していきます。

病院や施設の情報収集はしっかりと!

気になる病院や施設があれば、ホームページなどで「どんな理念を掲げているのか」「どんなことに取り組んでいるのか」「これまでの経験やスキルを活かすことができるか」「作業療法士はどのように活躍しているのか」などをチェックして、その病院・施設の情報を収集しましょう。

また、実際に訪問をして、その病院・施設の様子や雰囲気を見学してみるのもおすすめです。そうすることで、転職後に職場が合わずに後悔してしまうリスクがへらせます。

志望動機を考えておく

応募する病院や施設が決まったら、面接に備えて志望動機をしっかりと答えられるように考えておきましょう。作業療法士としての自分の中での目標やこれまでのリハビリの成果、チームとしての取り組みを積極的にアピールするのがおすすめです。

面接では不安に思うかもしれませんが、志望動機を明確に答えられるようにしていれば落ち着いて面接を受けることができます。志望動機は、ポジティブな言葉で伝えられるようにしておくとよいでしょう。

面接対策をはじめる

面接では、「前職の退職理由」「志望動機」「キャリアプラン」などが聞かれることが多いため、しっかりと答えられるように準備しておきましょう。面接対策には、あらかじめ病院や施設の情報の入手と、自己分析をしておくことも重要です。

作業療法士は需要が高い? 求人情報をチェック!

ところで、作業療法士は需要の高い仕事なのでしょうか。ここでは、作業療法士の求人結果をご紹介します。

作業療法士は需要が高い!

作業療法士は身体・精神・発達・高齢の4つの分野に対応している職種のため、病院や介護施設、児童養護施設などの福祉施設での求人が多くなっています。

企業ごとに見ると、2023年7月28日時点の件数は78件と少ないように思えますが、介護施設の求人の場合、その多くが系列の施設と一緒に募集しているようです。そのため、作業療法士は需要の高い職種であるといえるでしょう。

作業療法士求人検索結果はこちら(2023年7月28日時点)
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どんな職場があるの?

作業療法士として仕事をつづけていく場合は、転職先としてリハビリテーション病院や整形外科、総合病院やクリニックが挙げられます。

福祉施設では、老人介護施設や有料老人ホーム、デイサービス、訪問リハビリテーションなどの介護系の施設が多く、なかには児童福祉施設や精神科病院の求人もあるようです。正社員や契約社員、パート・アルバイトなど雇用形態もさまざまで、ご自身のスタイルに合わせて選ぶことができます。

作業療法士の経験を活かしてほかの職種で働く場合には、医療機器や介護福祉機器を取り扱う企業の営業職もありました。また、作業療法士は身体の動かし方を熟知しているため、スポーツジムやフィットネスクラブなどの身体を動かす施設での求人が増えているようです。

つづいては、作業療法士が転職できる職場の例をいくつか紹介します。

訪問リハビリステーション

訪問看護ステーションは、病院や施設にてリハビリテーションを受けることが困難だと診断された利用者さんに対して、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士が自宅に訪問をしてリハビリテーションをおこなう施設です。同時に、ふだん介護をしているその家族への相談やアドバイスもおこないます。

作業療法士が働く病院や施設のなかでは給与が高く、訪問件数1件につき数千円のインセンティブ制を導入している事業所もあるので、転職をする際には確認しておきましょう。

ただ、移動時間は時給に含まれませんので訪問場所が遠いと件数がこなせず、給与が少なくなる可能性もありますので、転職する際にはチェックしておくことをおすすめします。

介護施設|デイサービスなど

デイサービスは要介護の利用者さんが通所施設へ通い、身体機能の低下を防止するための機能訓練、閉じこもりを防ぐための利用者さん同士のふれあいの場を提供して、孤立を防止するのが目的です。利用者さんの機能訓練を手助けし、心に寄り添いながら訓練・指導をおこないます。

デイサービスの勤務は日勤のみの事業所が多く、場所によってはお盆や正月などは長期の休みがあるところもあるでしょう。

作業療法士の資格と経験が活かせる|機能訓練指導員

機能訓練指導員は介護保険法で定められている職種のひとつで、病院や施設で患者さんや利用者さんひとりひとりが自立した日常生活を送ることができるように支援します。

仕事の内容は、利用者さんやその家族の意向を取り入れながら、どのような訓練が必要なのかを判断して機能訓練計画表を作成すること。機能訓練はこの計画書の通りに進められ、3カ月ごとに見直しをし、利用者さんができる限り自分で身の回りのことができるようにサポートする役割があります。

作業療法士は機能訓練指導員として働くことが認められているため、病院や施設にて機能訓練指導員として働くことも可能です。

転職活動を始める前にしっかりと準備をしよう!

高齢化社会が進む現在では、患者さんや利用者さんが身の回りのことを自分でできるようなサポートが求められています。作業療法士の社会での役割は年々需要が高まっていくと考えられ、さまざまな分野で活躍できることが予想されるでしょう。

転職を考えている方は、今回ご紹介した転職が失敗してしまう理由や成功に導くためのポイントをしっかりとおさえて、自分が働きたいと思う職場を探してみてくださいね。

引用元
厚生労働省:令和4年 賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第3表
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査:結果の概要
長寿科学振興財団:訪問リハビリテーションとは
長寿科学振興財団:通所介護(デイサービス)とは

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