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ヘルスケア 2021-11-19

セラピスト最高峰教育を目指す「MTI」のメソッドをチラ見せ!【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.42 MTI 國分利江子さん #3】

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

これまで2回に渡り、セラピスト教育に尽力し、2021年10月に「マッサージセラピー・インスティテュート(MTI)」を開校した國分利江子さんにお話しを伺って来ました。

日本のセラピストの水準に疑問を持ち、知識と技術力を高め世界水準に導きたいと考えている國分さん。セラピストは人に貢献することで社会全体に貢献する仕事であり、サービス業にとどまらない可能性を秘めていると教えてくださいました。

後編となる今回は、「MTI」で学べる國分さんの手技をご紹介。職業病に悩むセラピストさんは必見です!

今回お話を伺ったのは…

アメリカNY州政府認定マッサージ・セラピスト 國分利江子さん

ホリスティック医学に基づくマッサージセラピーを学ぶため、2001年アメリカの名門校Swedish Instituteに入学。NY州政府認定のマッサージ・セラピストのライセンス試験に合格。2006年に帰国後、Body(身体),Mind(心),Spirit(魂)を調和するメソッド『BMS Therapy』を創設。2008年にスクールを開校し、世界水準の教育を日本のセラピストに提供する傍ら、雑誌『セラピスト』の連載や特集などを通して広くセラピストの育成に尽力する。2021年「マッサージセラピー・インスティテュート(MTI)」の構想を立ち上げ、クリエイティブ・ディレクター兼校長に就任。

筋解剖学を使いこなした世界水準の「見立て」とは

國分さんの施術の基本にあるのは「筋解剖学」。
筋肉と骨格を体系的にとらえた膨大な知識です

——#1で筋解剖学を学ぶことの大切さ、深い圧の重要性を教えていただきました。今回はどんなふうに施術に取り入れていくのかを教えてください。

私の施術の特徴は、医学的な筋解剖学の知識、職人的な匠の技術力、五感を越えたソマティックな感性、これらがすべて最高レベルで融合していること。

A: 筋解剖学をベースとした「アセスメント(見立て・分析)」
B: S.O.A.P.プラン(個々のクライアントに合った施術プランの作成)
C: 職業病を防ぎ、最高の圧をつくる「BMS ボディメカニクス」
D: 筋肉や筋膜の深部まで浸透する圧をつくる「マッサージセラピーのストローク」
E: 自分と宇宙がひとつになるような「五感を開いたマインドフルネス・タッチ」

まずは、きちんとした医学的・技術的に基盤をつくり、そこに、スピリチュアルな感覚的な表現が重ねられていきます。

まずオイルマッサージの見立て(アセスメント)では、立ち姿勢だけでなく、横になった状態で骨や骨指標の位置の確認、筋肉の緊張状態をみていきます。

例えば「肩が凝っている」と言われたとします。まずは立ち姿勢を観察して、筋解剖学と照らし合わせて分析し、マッサージテーブルに横になった状態で、表面の丸みの左右の位置の違いで、どの筋肉に収縮があるかを確認。皮膚の下には筋肉が何層にも重なっているので。そのうちのどの筋肉の・どの繊維が緊張しているのか・骨に付着している位置や正常な形状・付随する筋肉の状態などを推測していきます。

背中を見ただけで、さまざまな筋肉の状態を見立てていきます。ベースとなる知識がなければ成り立たない世界レベルの見立てです。

——それは、たくさんある筋肉の位置関係やつながりまで把握していないとできませんね。

よく「筋肉の勉強をしました」という方がいらっしゃいますが、実は、体系化された筋解剖学を丸ごと学ばないと意味がないんです。わかりやすい表面の大きな筋肉だけ覚えているだけでは、結局、施術には落とし込めないんですね。クライアントの主訴の原因を理解し、改善するための計算ができませんから。

また、筋肉は収縮することで関節を動かし、さまざまな動作を作り出します。たくさん使っている筋肉は疲労して短くなりやすいし、よく負荷をかけている場合はそちら側が緊張します。

だから、クライアントの日ごろの体の使い方や生活の仕方、職業などの情報から、主訴を総合的に判断し、どこの筋肉にアプローチしていくか優先順位を決めていく。それがアセスメントの次の、S.O.A.P.プランの作成につながります。

マニュアルの決まった「型の施術」から脱皮して、マッサージセラピー の専門的な施術をするためにはS.O.A.Pプランが必須です。そこから、クライアントの主訴に対する施術への長期・中期・短期計画を立てて、そこから、今日の1時間の施術を組み立てて提供します。その場その場で終わってしまう施術でなく、計画性のある施術です。

そして、次回にまた体の状態の見立てをし、プランを修正していく…というのが、大まかな流れです。まさに、医師が行う治療計画をセラピーとして組み立てていく感じ。

武術を取り入れた体の使い方で洗練された圧を作り出す

足から全身を使いダイナミックに圧を作り出す國分さんの施術。
痛みのない深い圧は、繊細なランディングもポイントに

——施術時の体の使い方のこだわりとは?

私はカンフーをしていたので、小さい力で大きい成果を出すという体の動きをオイルマッサージに取り入れています。職業病に悩むセラピストが多いなか、私はセラピストの体に無理な負担がかからず、最大の効果が出せる方法を構築してきました。

オイルマッサージの良さは「移動する圧」を使うこと。でも多くの方は上半身や指先だけで作業をしがちです。そうすると職業病の原因になってしまいます。

世界最先端の「BMSボディメカニクス」を取り入れ、後ろ脚でしっかり作りだした圧を、グーッと全身に伝えていく。体をダイナミックに使って体重移動で圧を作り出し、指先に集中することですごくしっかりとした圧が入るようになります。

自分の体を「施術の道具」としてしっかり鍛えていくと、無駄な力が入らないんです。だから怪我もしにくいし、長時間の施術でも疲れにくくなります。

——オイルマッサージの施術について、基本の流れを教えてください。

S.O.A.P.プランという名前の通り始めます。

① S (サブジェクティブ) :クライアントの主訴を聞く。
② O ( オブジェクティブ):セラピストによる観察 (問診/ 聞診/ 視診/ 嗅診/ 触診)をする。
③ A (アセスメント):見立て、分析、現状把握。
④ P (プラン):長期・中期・短期プランから、その日の施術プランを作成。 ( 身体の部位 (筋肉や骨指標) / 使うストローク/ 時間配分など)
⑤ クライアントへのプラン説明 (インフォームド・コンセント)
⑥ 施術
表面の筋肉がゆるんだら、中間領域の筋肉のエリアを決めて施術します。後ろ脚で作った圧の雑味を体で濾して濾して、一番純粋な圧を奥まで届けるイメージです。その後、さらに奥のコアマッスルにアプローチしていきます。
⑦ 施術後のフィードバック & 次回施術の説明

國分さんの手技をチラ見せ!

症状に合わせて、さまざまな手技でアプローチする國分さん。筋肉ごとに使う手技は異なるため、今回はその一部をご紹介。詳しくは「MTI」のクラスをチェック!

ピンポイントの箇所に、ストレッチ+コンプレッション

腰痛がある方におすすめの、腋から背中につながる広背筋の緊張を取る手技。クライアントの体の重みを使ってストレッチしながら、筋肉に圧を効率的に入れられます。

ハムストリングスと外側広筋に対する拳のエフルラージュ

脚の施術の際、フッドレストなどを使用すると、クライアントから体が離れてしまいます。代わりに自分の膝を使うことで、クライアント近くにポジショニング。施術部位に対して効果の高い位置で圧が作り出せるように。

両掌でのコンプレッション+エフルラージュ

ヒラメ筋、腓腹筋、アキレス腱にアプローチする手技。とくに腓腹筋に効果的。両手の手根を使い、挟むように圧を加えながら緩めていく。脇と肘の位置が施術の質を決める。

前腕で大臀筋と腸脛靭帯のミーティングポイントに圧を集中

坐骨神経痛の人におすすめ。ハムストリングスの起始部である坐骨結節を押さえてしっかり圧をかけながら、下肢を使って股関節を動かす。クライアントの体を使って回旋させることで、フリクション効果をプラス。

——どの手技もしっかり圧が入っているのがわかります。でも痛くないんですよね?

まったく痛みはありません(笑)。

それどころか、きっと、未体験ゾーンの心地よい圧を体験されるでしょう。

私の施術をご覧になった方が、実際に施術を受けると凄く驚かれます。「あんなにダイナミックに動いてしっかり圧が入っていたのに、こんなにまろやかで優しい圧になるんですか? 今までどこでも、こんなに心地がいい深い圧は受けたことがありません」と目を丸くします。なんと表現していいのか言葉が出ない人もいます。

クライアントにもセラピストにも痛みが出てしまう施術の原因は、体の使い方を学ばずに、腕や指の力で圧を作ろうとしてしまうからです。きちんとBMSボディメカニクスのトレーニングを受けて全身の使い方を学べば、セラピストが体を痛めることを予防し、クライアントに最上級の心地よい圧が提供できるようになるのです。

この技術を知って欲しい理由は、気持ちよさだけではない、結果が出る施術を提供できるから。ここまでできれば、他のセラピストとは全くレベルの違う施術が提供できるようになるので、必ずお客様も来ます。私はサロンを開いてから15年間、一度も広告を出したことがありませんし、SNSで告知集客をしたこともありません。それは「施術そのものが営業」になっていて、リピート率も高いからです。

——施術自体が集客や営業になっているんですね。

目の前にいるお客様をしっかり施術して、効果が感じられるから必ずリピートしてくださって、クチコミを広めてくださり新規の方が来て、またリピーターが増えて…。それがセラピストにとって理想的な集客だと思うんです。

私は回り道もしましたし、すごく努力して勉強してここまで来ました。だから、なるべく他の人には時間を使わず効率的に勉強してもらい、その技術を知った後の仕事のおもしろさを体験して欲しい。嫌な集客もせず自立していける、最高峰のセラピストになる人たちを育てていきたいです。それを実現できるのが、マッサージセラピー・インスティテュート(MTI)です。


取材中、日本のセラピストの現状の課題と改善点を熱く語ってくださった國分さん。「受ける教育の質を高めれば、絶対に変わるんです」という國分さんの授業は、セラピストの未来を変えるものになるはず。これからセラピストを目指す方は、ぜひチェックしてみてください。

取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代

Imformation

マッサージセラピー・インスティテュート
https://massagetherapy.jp/

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