整体師は、経験を活かして人生をより良く導ける仕事【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.48 整体師 大川智弘さん #2】
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
前回に続き、ジム&サロン「OF LIFE」の整体師 大川智弘さんにインタビュー。パーソナルトレーナーとして活動後、手技の縛りがなく痛みにアプローチできることに惹かれて「OF LIFE」に参加した大川さん。
そのなかでパーソナルフィットネストレーナーを始め、セラピスト、小顔整体、糖尿病予防など多くの資格を取得。現在は20分という短時間で確実に違いが感じられる整体をメインに活動しています。
中編となる今回は、大川さんが整体師の仕事に感じる魅力と大変さ、整体師を目指す人へのアドバイスをお聞きします。
お話を伺ったのは…
整体師 大川智弘さん
高校時代は相撲でインターハイや東北大会に出場。フィットネストレーナーとして活動後、セラピスト技術を学び、パーソナルトレーナーとして活動。2021年7月より「OF LIFE」に所属。痛みが少なく短時間の施術で、確実に柔らかい筋肉に導く。NESTA認定パーソナルフィットネストレーナー、糖尿病予防スペシャリスト、JTTMAプロフェショナルセラピスト、MB式小顔整体師など、多くの資格を持つ。
動かなくなり怪我をする悪循環を止め、人生をより良い方向へ
──トレーナーから整体師になって、気づいたことやギャップはありますか?
体の使い方がわからない方や、関節の固さを実感していながら長年放置している方、整体に行っても継続しない方が、こんなに多いのかというのは、すごく驚きました。
トレーナー時代は運動好きな方と接する機会が多かったし、僕自身も学生時代から日常的に運動していたので、運動嫌いな方の感覚がわからなかったという部分はあると思います。
でも整体師になると、ほとんどが運動嫌いなお客様。運動をしないことで体が動きづらくなり、痛みが出てしまって、さらに運動しなくなるという悪循環に入っている方がすごく多いんです。
僕がヘルスケア業界に入ったきっかけは、「動かなくなって怪我をする」ということに対してのアプローチがしたいという気持ちでした。その点では、トレーナーよりも整体師のほうが、近いことができているかなと思います。
──整体師のお仕事に感じる魅力を教えてください。
整体師の仕事には、その人が変わっていく姿が見られること、人生を良い方向に導いていけるという楽しさがあります。施術を続けていくと、どんどん表情が変わっていくんです。「勝手に痩せていくんだけど!」なんて言ってもらえたりすると、施術に当たれてよかったなと思いますね。
また、自分のいろんな経験が活かせるという点も魅力です。例えば一般的なデスクワークの仕事をしていたとしたら、肩こり腰痛になった理由を理解できるし、そこに整体の知識が加われば改善の仕方もわかるじゃないですか。
この仕事をしていることで、自分の体をより詳しく知ろうとするようになりました。自分のことを知ることで、同じ痛みや悩みを持っている方へのアプローチの引き出しがひとつ増えますから。その分、自分の健康に対する意識も変わったと思います。
結果が出なくても、その先を突き詰めることは絶対
──お仕事で大変だと感じることはありますか?
僕たちの仕事は、ある一定の合格点を出さないといけないので、そこが大変かなと思います。お客様の満足度を上げるためには、痛みや悩みを改善していくことが大前提。そしてそれがいつでも誰にでも再現できなければいけません。
だから結果が出なかったとしても、なぜダメだったのかを突き詰めていかないといけないんです。別の手技でのアプローチを検討したり、どうしたらセルフケアに取り組んでもらえるか伝え方を考えたり。施術者側は、その突き詰める作業を継続していかないといけないので、学ぶことがたくさんあるんですよね。
──大川さんは資格もたくさんお持ちですし、学ぶのがお好きなんですか?
実は勉強は苦手なんです(笑)。体のことは覚えることがいっぱいありすぎて、何からやったらいいんだろうというのは悩みましたね。
この仕事を始めて、年1回は必ずセミナーに行って新しい技術や知識を取り入れると決めました。また1日30分でもいいから解剖学などを見返すようにしています。常に学びを入れることは、施術者にとってとても大切なことだと思っています。
我を張らず、広い視野を持って学び続けていく
──ヘルスケア業界を目指している方にアドバイスをお願いします。
学んでおくといいのは基本的な解剖学と、中学高校で学ぶような力学です。これがわかれば、体の使い方、力の伝え方というのもわかってきます。
僕は学生時代に建築を学んでいたので、力学も勉強したんです。それが施術時の筋肉への力の伝え方に役立っているんですよね。どこの筋肉を触っているかによって押し方は変わってくるので、解剖学+力学の組み合わせはすごくおすすめです。
大川さん的「整体師の心得3か条」を教えてください。
1.がんばらないこと
これは「我を張らない」ということと「力み過ぎない」という意味です。「自分はこうだ」という視点を持ってしまうと、視野が狭くなってしまいますし、力みにもつながります。いろんな良いことを吸収するには、広い視野を持たないといけません。
2.自分を飽きさせないこと
マンネリ化を防ぐためには、広い視野と学びを持つことです。それがお客様のためにもつながると思います。
3.感謝をすること
この環境にいられることに感謝し続けたいと思っています。いろんなお店があるなかで選んでいただけて、お客様に施術を受けていただけることがすごく嬉しいです。
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大川さんのお話から、整体師のお仕事は経験や知識すべてが役立つのだと感じました。だから整体師を続けていくためには、学び続けることがとても重要なんですね。次回後編では、大川さんが施術で大切にしていることと、今おすすめの施術についてお聞きします。
取材・文/山本二季
撮影/米玉利朋子(G.P.FRAG)