客層に合わせたイメージ作りと密なコミュニケーションで地域に密着したパーソナルジムへ【ReViA 廣瀬拓海さん】#2
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売り上げアップのための取り組みについてインタビューする本企画。前回に続き、神奈川県厚木市にあるパーソナルジム「ReViA」の代表・廣瀬拓海さんにお話をお聞きします。
後編となる今回は、地方でジム経営をすうるうえで廣瀬さんが大切にしていることを教えていただきました。
お話をうかがったのは…
「ReViA」代表・廣瀬拓海さん
大学生時代からジムスタッフとしてアルバイトをスタート後、パーソナルトレーニングジムに入社。2021年2月、24歳で厚木市に「ReViA」をオープン。2022年5月、規模を拡大してリニューアル。
Instagram:@revia_gym
地域性と客層に合わせた価格設定を重視
――厚木市でジム経営をするうえで大切にされていることとして、まず地域に合った価格設定をされているとのことでした。
価格設定をするうえでは、まずは厚木がどんな街なのかを考えました。ビジネスタウンなのか、それともベッドタウンなのか。厚木は大企業もありながらベッドタウンでもあるので、所得は高め。また今はクリーンなイメージの街になってきているので、品のある方が多いんです。
そういったことを考え、僕が集客したい層を踏まえると、あまり価格を低くするのも違うなと考えました。本当に通いやすくしようと思ったら価格を下げることはもちろんなんですが、ただ安くしすぎると入会のハードルが下がる分、いろんなお客様がいらっしゃいます。それによりジムのイメージが変わってしまうのは避けたい。
そのあたりの塩梅は、競合他社の価格をすべて書き出して、そこから自分の位置はこのあたりだなというのをピックアップして決めました。
――ジムのイメージを大切にされているんですね。
ReViAのメインターゲットは40~50代の女性。だから女性が通いやすい雰囲気、落ち着いた上品なイメージは大切にしています。いい意味でジムっぽさを消すというか、汗臭いイメージにならないよう、洗練された空気感を作れたらと。
そのためにも僕自身の20代という若さも、ある意味消さないといけない部分ではあります。だから話す内容や雰囲気、会話の質というのは、若くても落ち着いていると言っていただけるように意識しています。若さを売りにするのではなく、上品で上質なコミュニケーションを取ること。そこに合う雰囲気に、自分もならないといけないなと思っています。
高品質なサービスはコミュニケーションの取り方も重要
――廣瀬さんはお客様とのコミュニケーションを大切にされているそうですね。
地域で長く続けていくためには、コミュニケーションはとても重要です。僕が目指すのは短期のパーソナルジムではなく、継続して通っていただけるジム。そんな長期目線で見た健康と美容にコミットするためには、プライベートまで知れるようなコミュニケーションが大切なんです。トレーニングのことはもちろん、プライベートなこともある程度会話のなかに組み込んで、どういう方なのかを知り、ライフスタイルを知る必要があります。
1年以上通っていただいているお客様は、今ではトレーニングの話をほとんどしません。時には「今日はちょっとトレーニングの気分じゃないから、お話だけでもいいですか」と言ってくださる方もいます。コミュニケーションをとるだけでも心地いいと思ってもらっている証拠でもあるので、良い関係を築けているのかなと思います。
――お客様とコミュニケーションをとるうえで取り組んでいることは?
お客様とのやり取りは、できるだけ機械的にならないように意識しています。LINEやDMでやり取りするにしても、最初はジムの公式アカウントを作ったらいいかなと思っていたんですが、やっぱりどこか機械的に感じてしまったんですよね。だから僕個人のアカウントを使って、お客様とコミュニケーションをとるようにしました。
自分自身こういう仕事をしていることもあるんですが、いろんなお店も個人店を選びがちなんです。その人のサービスにお金を払いたいみたいな感覚があるんですよね。だから、そう思ってもらえるように、身近な存在として感じてもらえたらと思っています。
セミパーソナルを通して、地域コミュニティを支える場になりたい
――今後さらに、地方だからこそ取り組みたいことはなんですか?
これまで、あまり他のジムとの差別化が図れていなかったので、これからいろいろ変えていくところです。まずはセミパーソナルを推していきたいですね。まだ厚木では、このジムの規模でセミパーソナルをしているところはありません。セミパーソナルを推していくことで、マンツーマンよりも単価を下げつつ、パーソナルの良さも提供できます。
僕はパーソナルを経験した後、結局続けられないという方たちのアフターサポートができるポジションにいたいんです。家族や仲間同士で通えるセミパーソナルは、楽しみながらできるので、長く続けやすいと思います。
セミパーソナルをしていく中で、いつかはオフ会なども取り入れて、お客様同士がつながっていくようなコミュニティ作りもできたらと思っています。僕はフィットネスだけでなく健康産業に興味があるので、例えばジムではトレーニングをしつつ、健康のための食事ができる場所を提供して…。生活の一部に自分たちのサービスを全部使ってもらえるような事業を、厚木でできたらと思っています。
――最後に、これから地方でジムを開業する方にアドバイスをお願いします。
もちろん利益は大切ですが、やっぱり地方だからこそアナログな部分が重要になってくると思います。お客様ひとりひとりに、しっかり丁寧に対応することは、基本中の基本。でもその基本ができていないと、絶対にうまくいかないのが地方。だからお客様とのコミュニケーションをしっかりとることが、まずは一番大切だと思います。
若くして理想のジムを、縁の深かった厚木市でオープンした廣瀬さん。「地域に根付いた健康産業を展開していきたい」という廣瀬さんの今後に注目です!
取材・文/山本二季
撮影/奥村亮介(スタジオバンバン)