100名が駆け付けた最終日。自ら望んで人事の道へ「iCure鍼灸接骨院」相樂知岐さん
東京と大阪に24店舗と、年々店舗数を増やしている「iCure鍼灸接骨院」。その採用担当である相樂知岐さんは数多くの患者さんから信頼を集め、店舗を異動する最終日には、100名の患者さんが駆け付け感謝の言葉をかけられたこともあるといいます。
しかしそんな相樂さんも、1年目までは思うように患者さんの信頼を集めることができなかったそうです。相樂さんを変えたのは、「患者さまが何のために来院されたのか考えているか?」という代表の言葉。そこに込められた意味とは?
今回、お話を伺ったのは…
相樂知岐(さがらともき)さん
「iCure鍼灸接骨院」採用担当、スーパーバイザー、院長/柔道整復師
大学卒業後、「iCure鍼灸接骨院」に入社。治療家として経験を積み、院長を務める。高い技術と知識、患者さまの立場に立った施術で信頼をあつめ、2021年には社内のMVPも受賞。2022年からはこの仕事の素晴らしさをもっと広めたいと、採用担当を務めている。
感謝のされ方が全く違う。先輩にあって、自分になかったもの
――治療家として、患者さまから信頼を集めてきたとお聞きしました。
入社1年目までは、そこまで信頼を集められてはいませんでした。しかし患者さまがなぜ治療をしたいのか、背景まで聞くようになってから患者さまとの関係性ががらりと変わりましたね。
――なぜ、背景まで聞くようになったのでしょうか?
入社1年目のときに、先輩と僕とで患者さまの感謝のされ方が全然違うと気が付いたんです。僕に対しては普通に「ありがとうね」と言うくらい。その言葉ももちろんありがたいことなのですが、先輩の患者さまは「今日も○○先生に診てもらってよかったわー、またがんばって治療するね」というような感じで、温度差がすごくありました。なぜなんだろうと考えていた時に代表の浜口に言われたのが、「相樂は患者さまが何のために来院されているのか、患者さまの生活背景まで考えて治療をしたことがあるか」という言葉だったんです。
それまでの僕は、技術と知識だけあればいいと思っていたところがありましたが、背景まで聞くようになると患者さまとの向き合い方が大きく変わりました。
――具体的にはどのように背景について聞いているのですか?
「今日はどうされましたか」と聞くだけでなく、「その痛みによって生活で一番困っていることはどんなことですか?」、「これまでできていたのに、できなくなってしまったことはありますか?」「この痛みが治ったら叶えたいことはありますか」という質問を加えるようになりました。たとえば「洗濯物くらいは自分で干したいんです」と言われたら、「わかりました。では、そこが叶えられるように治療をさせていただきます」と伝えるんです。このちょっとした差でも患者さまはとても安心してくださり、信頼につながります。
――背景を聞くことで、相樂さんの施す治療にも変化が起こるんでしょうか?
絶対にその望みをかなえてあげたいと思うようになり、行動が変わりましたね。技術や知識をさらに吸収したり、先輩に聞いたり、勉強会に行ったりと、患者さまを治すことに対する内発的な意欲がわいてくるようになりました。肩や首の症状というのは、悩んでいる方が多いので、言い方が悪いですがちょっと油断をすると作業化してしまいがちだと思うんです。でも治したい目的を聞くと1人1人違いますし、本気で向き合えるようになります。
患者さまとパートナーシップを結ぶことを大切に
――ほかにも心がけてきたことはありますか?
患者さまとパートナーシップを結ぶことです。目的を確認したら、患者さまと一緒に共通のゴールを決めます。治療というのは術者だけががんばってもできることではないので、患者さまにも「僕もがんばるので、○○さんもがんばってくださいね」と伝えます。そうすると患者さまと目線が合い、お互い治療に本気で取り組めると思うんです。
あとは期日を決めることも大切にしています。現実的に治る期日をきちんと伝えないと、術者はいくらでも言い訳ができてしまうんです。患者さまの来院ペースが落ちたからとか、症状が強くなっているとか。来院ペースも含めて導いていくのがプロの仕事だと思うので、患者さまと期日を設定し、治療を進めていきます。
――これまで相樂さんが担当した患者さまのなかで、印象的なエピソードはありますか。
結婚式を4カ月後に控えたある女性のことが印象的で、よく覚えています。その方は肩甲骨の右側が高くて、結婚式で肩を出すのにこのままでは嫌だと、当院に通ってくれるようになりました。肩甲骨も整って満足いただき、無事結婚式を迎えることができたんです。その後、結婚式のあとにご主人と一緒に来院していただき、結婚写真を見せていただきました。こんなにきれいに撮れたんですよと感謝していただいて。鍼灸接骨院に勤めていて、まさか人の結婚式に携わることなんてないと思っていたので、人に希望や幸せ、笑顔を与えられるとてもやりがいのある仕事だと感じました。
こんなに素晴らしい仕事はほかにはない。採用担当になることを決意
――現在は採用担当とのことですが、どのような経緯で採用担当になったのでしょうか。
本気で治療に取り組むようになると、自分を求めてくれる患者さまが増え、異動になる最終日に100名を超える患者さまが来院してくださったんです。みなさんから感謝の思いを伝えてもらい、こんなに希望や誇り、やりがいのある仕事は他にはないと思いました。もっとこの仕事を広めたいと考えるようになり、代表に自ら採用担当になることを志願したんです。
代表はやってくれと言ってくれたのですが、「求職者、学生さんが話を聞きたい人はどんな人なのかを考えたときに、相樂はそこに立っているか?」と聞かれたんです。そのときの僕は現場の院長でしかなかったので、まずは会社のMVPを取ろうと決めました。MVPは社員投票で決まるので、自分の所属する院に知られているだけではだめだと思い、多くの社員にかかわりにいったり、後輩と一緒に学んだりを続けていったんです。結果、圧倒的な投票数でMVPをとることができました。その後、2022年4月から採用担当を務めています。
――やり遂げた相樂さんも素晴らしいですが、社員がやりたいと思ったことを叶えてくれる会社の体制が素晴らしいですね。
会社の目的と同じくらい、社員個人の目的を大事にしてくれる会社なんです。今度、ある社員が岩手県の盛岡市に出店することが決まったのですが、これも入社1年目からその社員が「地元に戻って、地元で開業したい」と言っていて、6年越しに叶えた夢になります。代表はそれぞれの社員の叶えたいことを覚えているし、本気で叶えようとしてくれるんです。社員のなかにはカフェを併用した治療院を作りたいとか、スポーツトレーナー的なことをやりたいという社員もいます。このように自分のやりたいことを言語化できている社員がいて、それを叶える体制があることがこの会社の1番の強みだと思いますね。
後編では「iCure鍼灸接骨院」の経営方針や、治療の特徴について掘り下げます。オフィス街の駅からほど近い場所にのみ出店している「iCure鍼灸接骨院」。その理由は、若い世代の接骨院受療率をあげるという会社のミッションを達成するためだといいます。また全店でGoogleレビュー4.8以上を記録しているほど、顧客満足度が高い理由もお聞きしました。後編もお楽しみに!