呼吸療法認定士の合格率はどれくらい?試験内容や受験状況の推移などを解説
呼吸療法認定士の仕事に興味があり、目指したいと考えている人もいるのではないでしょうか。そのような人にとって、呼吸療法認定士の合格率はどの程度なのか、難しいのかなどの点は気になるポイントです。
そこで、呼吸療法認定士の合格率や試験の内容について解説し、試験対策の勉強法もお伝えします。ぜひ受験時に役立ててください。
呼吸療法認定士とはどんな資格?
呼吸療法認定士とは、呼吸理学療法・吸入療法・人工呼吸など、呼吸療法に関する深い知識や技術を持っていることを認める資格です。
「日本呼吸器学会」「日本麻酔科学会」「日本胸部外科学会」の3つが合同で創設したもので、正式名称は「3学会合同呼吸療法認定士」といいます。
対象は5職種
呼吸療法認定士の資格取得対象になる職種は限られており、臨床工学技士・理学療法士・看護師・准看護師・作業療法士の5つ。2023年3月7日現在、呼吸療法認定士の認定者数は全国で45,211人です。
呼吸療法認定士の試験内容
試験を受ける前の前提として、それぞれの職種での実務経験が2年以上(准看護師のみ3年以上)あり、過去5年以内に所定の学会などに参加して12.5点以上獲得している人を対象に開かれる「3学会合同呼吸療法認定士認定講習会」を受けなければなりません。
では、試験ではどんな内容が問われるのでしょうか。
試験範囲
試験範囲は、呼吸療法総論・薬物療法・酸素療法・新生児や乳幼児の呼吸管理・呼吸不全における全身管理など幅広いジャンルです。テキストにすると膨大な量で、試験合格は非常に難関であると感じられます。
実際のところ結果はどうなのか、次の章で合格率の推移を伝えるのでチェックしてみてください。
試験形式
試験はマークシート方式で、全100問です。日程や要項など、第28回試験についての詳細は後述します。
呼吸療法認定士の合格率の推移
呼吸療法認定士試験の過去10回分の受験者数・合格者数・合格率は、下記の通りです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
第18回(2013年/平成25年) | 4,263 | 2,600 | 61.0 |
第19回(2014年/平成26年) | 4,541 | 2,996 | 66.0 |
第20回(2015年/平成27年) | 5,107 | 3,249 | 63.6 |
第21回(2016年/平成28年) | 5,275 | 3,105 | 58.9 |
第22回(2017年/平成29年) | 5,351 | 3,515 | 65.7 |
第23回(2018年/平成30年) | 5,023 | 3,208 | 63.9 |
第24回(2019年/令和元年) | 4,774 | 3,210 | 67.2 |
第25回(2020年/令和2年) | 1,238 | 855 | 69.1 |
第26回(2021年/令和3年) | 3,420 | 2,393 | 70.0 |
第27回(2022年/令和4年) | 3,868 | 2,648 | 68.5 |
最新の2022(令和4)年に行われた第27回試験では、受験者数3,868人中合格者は2,648人おり、合格率は68.5%。過去10回の合格率の推移を見てもおおむね60~70%の間で、それほど低くないことがうかがえるのではないでしょうか。
職種別の合格率は?
第27回試験での職種別合格率は、臨床工学技士79.8%・理学療法士71.0%・看護師63.7%・准看護師38.5%・作業療法士64.3%でした。過去の回もほぼ同じような状況で、准看護師は低めの傾向ですが、その他は60~80%程度と高めです。
呼吸療法認定士試験の対策方法
幅広い分野が出題範囲になっており、一見ハードルが高そうな呼吸療法認定士の試験ですが、前章で伝えたように合格率は比較的高いです。では、どうやって試験対策を行えばいいのかを見ていきましょう。
問題集・過去問を解く
講習会のテキストで学ぶ方法もありますが、量が多いうえ、テキストなのでどんな問題が出るかはわかりづらい部分があります。そこで、しっかりと試験対策ができるものとして、予想問題集や過去問などを利用するのがおすすめ。出題傾向もつかみやすいです。
問題集のセットや試験対策アプリ、模擬試験などを提供している企業もあるので、絶対に合格したいならぜひ活用してみましょう。
基礎や苦手分野は繰り返し学習する
問題を解くことによって、他の分野にも関わる分野や自分が苦手な分野が見えてくるでしょう。そこで、重点的に学んだり何度も復習したりすることで身につきやすくなります。
eラーニングで学ぶ
スマートフォンアプリなどでオンライン動画で学ぶことも可能。動画には音声もついているため、視覚と聴覚の両方から情報が入ってきて効率的に勉強を進められるでしょう。
インプットだけでなくアウトプットも重要
動画や問題集などで学んだ(インプットした)内容は、ノートに書き出すなどしてアウトプットを行うことも大切です。難しい専門用語や意味、計算問題の解き方などを、頭に入れるだけでなく文字や図に起こして、より理解力を深めましょう。
第28回呼吸療法認定士認定講習会・認定試験の概要
ここでは、2023年度に開催される、呼吸療法認定士の第28回認定講習会および認定試験についてお伝えします。申請期間を過ぎているので、参考としてご覧ください。
認定講習会
講習会は、①会場+eラーニング、②eラーニングのみ、という2つの方法で実施されます。
①は、8月26日(土)~ 27日(日)に東京都新宿区のベルサール新宿グランドを会場として行われ、さらに、②と同日にeラーニングで受講可能です。②は、9月4日(月)~ 29日(金)にオンラインで開催されます。適切な環境で受講することが重要です。
受講料・定員数
受講料は、①30,000円、②20,000円(税込)。eラーニングの動画内容は、①の会場講習を録画したものです。①の定員は350人で、オーバーした場合は②に振り替えられます。また、②の定員は3,000人です。
認定試験
呼吸療法認定士の試験は、上記認定講習会参加者、もしくは免除者(第25回⦅2020年度⦆~第27回⦅2022年度⦆の認定講習会受講者か、第24回受講済みかつ特別措置の対象者)が受けられます。免除対象者は事前の申請が必要です。
2023年11月に東京都内で開催される予定ですが、詳しい日にちや場所は追って発表されるので医療機器センターのホームページなどで確認しましょう。合格発表は12月下旬です。
受験料
受験料は講習会の受講料より安く、税込10,000円で受験できます。
呼吸療法認定士の合格率は高め!しっかり備えて一発合格を目指そう
呼吸療法認定士の試験は、出題範囲が広く不安に感じる人もいることでしょう。しかし、合格率は60~70%あり、講習会や問題集でしっかり勉強すればスムーズな合格も夢ではありません。十分に対策して試験に臨みましょう。
引用元
医療機器センター:3学会合同呼吸療法認定士 医療資格別合格率推移
医療機器センター:「3学会合同呼吸療法認定士」認定制度
医療機器センター:3学会合同呼吸療法認定士認定委員会|医療従事者向け講習会・試験
医療機器センター:第28回(2023 年)3学会合同呼吸療法認定士認定講習会および認定試験