ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
特集・コラム 2024-03-06

管理栄養士の国家試験は難易度が高い?受験勉強のポイントやおすすめの参考書などを紹介

医療や介護、福祉の現場で食事管理や栄養指導など、さまざまな役割をもつ専門職である管理栄養士。国家資格であるため、専門的な知識やスキルを必要とします。しかし、この仕事をするにあたって受けなければならない国家資格の難易度は、一体どの程度なのでしょうか。

ここでは、管理栄養士の資格取得に向けて試験の概要や受験勉強のポイントをご紹介します。

管理栄養士とは

管理栄養士とは、健康な人だけでなく、持病もちの患者や高齢者、スポーツ選手など、幅広い人を対象にした栄養指導や管理をおこなう仕事です。

利用者一人ひとりのシチュエーションに合わせた栄養管理を提案する必要があります。

一方で、栄養士は健康な人の栄養管理や集団給食の運営をおこないます。病院やリハビリ施設などで、患者に対して専門的な栄養管理をおこなうことはありません。

引用元
公益社団法人 日本栄養士会
職業情報提供サイトjob tag|職業分類:栄養士、 管理栄養士

管理栄養士になるには

管理栄養士になるためには、まず高校卒業後に栄養士・管理栄養士養成課程のある専門学校や短大、大学に入学し、所定の単位を取得した上で卒業と同時に栄養士資格を得る必要があります。

管理栄養士養成課程の学校を卒業した場合は、実務経験がなくても、年一回の頻度で実施される管理栄養士国家試験に合格すれば、はれて管理栄養士としてのキャリアをスタートできます。

栄養士養成課程の学校を卒業した場合は、栄養士としての実務経験(1〜3年)が求められます。その後、管理栄養士国家試験に合格すれば、管理栄養士として働けます。

引用元
一般社団法人 全国栄養士養成施設協会:管理栄養士になるには

管理栄養士国家試験の概要を紹介

管理栄養士の国家試験は年に一度、全国の定められた試験地で開催されています。受験手続きのほか、受験手数料として6,800円を支払う必要があります。

また、それ以外にも受験資格などの条件がこまかく定められているため、自分が受験要件を満たすかどうかをきちんと確認しておくことが大切です。

つづいては、国家試験の受験資格や合格の基準、さらには難易度もくわしく解説します。

管理栄養士の試験内容と受験資格については、以下の記事も参考にしてみてください。
管理栄養士国家試験の概要と受験資格を紹介|合格率はどれくらい?

引用元
厚生労働省:管理栄養士国家試験:第38回管理栄養士国家試験の施行について

受験資格

管理栄養士の受験資格獲得には、以下の2つのルートがあります。

・管理栄養士養成施設を卒業する・・・必要な単位を取得して卒業したら、実務経験なしで管理栄養士の受験資格を得られる。
・栄養士養成施設を卒業する・・・卒業して栄養士になった後、栄養士としての実務経験年数(1〜3年)を満たす必要がある

管理栄養士養成施設を卒業した場合は、栄養士としての実務経験なしで受験資格を得られますが、栄養士養成施設を卒業した場合は、履修年数によって必要となる実務経験の期間が異なります。履修が2年の場合は3年、履修が3年の場合は2年、履修が4年の場合は1年の実務経験が必要です。この実務経験年数を終えると、受験資格を取得できます。

試験内容

管理栄養士の国家試験は9科目で、問題数は200問におよびます。試験科目は以下の通りです。

・社会・環境と健康
・人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
・食べ物と健康
・基礎栄養学
・応用栄養学
・カ栄養教育論
・臨床栄養学
・公衆栄養学
・給食経営管理論

管理栄養士は保護・医療の分野にたずさわる専門職として、さまざまな分野の理解が必要です。

また、基礎栄養学、体の状況や健康に応じた栄養管理についての応用栄養学、医療制度の理解もふくむ臨床栄養学、給食経営管理、社会的資源の活用やマネジメントなどの公衆栄養学などの内容も含まれます。

社会的な生活習慣病の問題や、少子高齢化社会に対応する専門職としての理解も問われる内容となっているのが特徴です。

引用元
厚生労働省:第38回管理栄養士国家試験の施行について

合格基準

この試験の合格基準は60%となっており、第37回の試験においても合格基準は60%。全体の問題数が200問なので、120問以上で正答する必要があります。

試験科目や出題範囲が幅広いため、試験の傾向を把握してどのような問題が出題されやすいのかをチェックし、効率よく学習を進めていくことが大切です。

引用元
厚生労働省:第37回管理栄養士国家試験の結果について

合格率や難易度は?

管理栄養士の国家試験の難易度はどの程度なのでしょうか。実際に試験を受けるにあたって、難易度が高いのか、高くないかということを、自己学習を進めていくうえで知っておきたい人も多いはずです。

また、新卒か社会人かによっても合格率に差があるようです。ここでは、管理栄養士の国家試験の難易度の目安となる、試験の合格率について解説します。

第37回の合格率は56.6%!

第37回試験の合格率は56.6%となっており、直近の5年間をみても50~60%台を推移しています。受験者数はここ5年間で1万5,000~1万8,000人ほどいて、第37回は1万6,351人が受験。毎年1万人前後の合格者が出ています。

看護師や助産師、保健師などといったほかの試験の合格率が80~90%となっているのと比較すると、やや低い数値でしょう。

学校区分別合格者状況|新卒と既卒

学校区分別の合格者状況を見てみると、管理栄養士養成課程の新卒者の合格率は87.2%と高い水準です。一方で、管理栄養士養成課程の既卒者は9.9%、栄養士養成課程の既卒者は16.0%となっており、新卒者と既卒者の合格率に大きな開きがあります。

既卒者は仕事と試験勉強を両立する必要があり、じゅうぶんな勉強時間を確保するのがむずかしいのが現状です。

しかし、新卒者の場合は、学校に通いながら講義や模擬試験なども含めて、じゅうぶんに試験勉強時間を確保しやすいといった違いも、両者の合格率の差にあらわれていると考えられます。

引用元
厚生労働省:管理栄養士国家試験実施状況

管理栄養士の国家試験が難しいと言われる理由

管理栄養士国家試験の合格率は60%前後で推移しており、医療・福祉系国家試験と比較しても合格率が低い試験です。たとえば、令和5年度に実施された医師国家試験の合格率は91.6%で、看護師国家試験の合格率は90.8%、保健師国家試験は93.7%となっています。

また、管理栄養士国家試験の合格者の内訳をみてみると、学校を卒業見込みである新卒の合格率が87.2%なのに対して、既卒者の合格率は9.9%と大きな差があります。

勉強に集中できる新卒に比べ、社会人として働きながら受験勉強をよぎなくされる既卒者にとっては、合格点に到達するのが難しい試験だといえるでしょう。

社会人がゼロから管理栄養士になろうと思っても最低でも5年はかかるほか、通信制のカリキュラムでは学べないため、試験に挑戦するまでのハードルが高いのも特徴です。

引用元
厚生労働省:第117回 医師国家試験の合格発表について
厚生労働省:第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験及び第112回看護師国家試験の合格発表

受験勉強のポイント

管理栄養士の国家試験は合格率が6割ほどで、出題範囲も広範囲におよぶため、自己学習が合格のカギを握ります。また、学校の授業や仕事の合間など限られた時間で、いかに効率よく学習できるかが重要です。

出題科目のなかでも、問題数が多く、重視されている内容はなんなのか、傾向としてどのような内容が出題されやすいのかを把握することも大切です。ここでは、受験勉強の4つのポイントをくわしく解説します。

1.試験までの勉強日程を立てる

管理栄養士国家試験に合格するためには、合格までの学習プランを立ててから勉強することで無駄を減らし、最短距離で合格を目指せます。また、基礎問題に時間をかけるのではなく、過去問や模擬試験をくり返し解くことで効果的に知識を定着させられます。

2.暗記ではなく理解して覚える|問題数の多さに対応

管理栄養士の国家試験は、9科目で200問という問題が出題されます。試験勉強に暗記法を取り入れる人もいるかもしれませんが、暗記は短期記憶なので試験当日に忘れてしまう可能性もあります。暗記では覚えなければならない知識の量が膨大になってしまうため、問題数の多さに対応することはカンタンではありません。

そのため、知識を関連づけて整理し、理解して覚える、またひとつを覚えれば、そのほかの知識も自然と頭に浮かぶような理解の仕方を身につけることが大切です。

3.出題数の多い問題にそなえる|人体の構造と機能および疾病の成り立ち・臨床栄養学

管理栄養士の国家試験では、9つの科目のうち「人体の構造と機能および疾病の成り立ち」や「臨床栄養学」、「食べ物と健康」に関する問題の割合が多いのが特徴。この科目で高い点数を得られるかが、合格に向けてのポイントです。

また、苦手とする人は、これらの分野の知識の理解を重点的におこない、弱点を補うことが重要となります。

4.過去問を繰り返し解く|テキストを活用しよう

管理栄養士の国家試験対策では、過去問を繰り返し解き、どのような問題が出題されやすいのか、傾向をつかむことが大切です。とくに苦手な分野がある場合は、その分野の過去問に重点的に取り組み、なぜ間違えるのか、理解不足となっているところはどこなのかを分析してみましょう。

参考書やテキストを活用すると、知識の整理をスムーズにおこなえるうえ、正しい理解と各分野の知識を関連付けて整理することも可能です。

受験勉強を強力にサポート! おすすめの受験対策本を紹介

出題範囲が広い管理栄養士の国家試験。すべてを一つひとつ学習していては、時間が足りなくなってしまいます。

合格に向けて効率よく学習を進める際に役立つのが、受験対策本や参考書です。書店やオンラインショップでは、さまざまな対策本や参考書があり、選ぶのに迷う人も多いのではないでしょうか。ここでは受験勉強に役立つ、おすすめの受験対策本や参考書をご紹介します。

『クエスチョン・バンク 管理栄養士国家試験問題解説 2023』

さまざまな国家試験の対策本として多くの受験生に活用されている、クエスチョン・バンク。管理栄養士国家試験の対策本も出版されています。

過去10年間の過去問から厳選した問題が使われており、実践的な問題で学習できます。

イラストや表が豊富なので視覚的に知識を整理、理解しやすいのが特徴。まずはひととおり、全体の内容を整理したい人におすすめです。

そのうえでマーカーを引いて線を入れ、赤字で大事なところを補足するなど、自分だけのオリジナル本にすることで、直前の内容の見直しもスムーズにおこなえます。

引用元
Amazon:クエスチョン・バンク管理栄養士国家試験問題解説2023

レビューブック

レビューブックは、国家試験の出題範囲と周辺知識を図や表を用いながらわかりやすく解説している、辞書のような参考書です。他の参考書を読んでわからない点や内容を復習したいときに引くと、管理栄養士国家試験に関する知識の定着を助けてくれます。

引用元
Amazon:レビューブック管理栄養士 2023-24

『いちばんやさしい管理栄養士国家試験合格講座』

基礎に重点を置いて構成された国家試験対策本です。90の講座で構成され、1日1講座学習できれば、90日で全内容を習得できるように作成されています。

過去問を解くことがむずかしいと感じる人は、まずこの対策本で基礎的な理解を深めるのもよいでしょう。

口語で文字が大きく、わかりやすく解説されているので、基礎固めをしっかりおこないたい人におすすめです。

引用元
Amazon:いちばんやさしい管理栄養士国家試験合格講座

『管理栄養士国家試験 合格のためのワークノート150日』

女子栄養大学の管理栄養士国家試験対策委員会が編集した国家試験対策本。300ページで構成されており、1日2ページ学習を進めていけば、150日で全内容をマスターできるように作成されています。

ページは穴埋め問題となっているため、書くことで覚えるのに便利です。ページを取りはずすこともでき、苦手な分野のページを外してひとつにまとめておくと、直前の試験対策にも役立つでしょう。

引用元
女子栄養大学出版部:管理栄養士国家試験 合格のためのワークノート150日

管理栄養士を目指せる専門学校を紹介

管理栄養士を目指すためには、実践的なカリキュラムで、卒業後の管理栄養士国家試験で合格点を達成できるような専門学校を選ぶことが大切です。

管理栄養士のカリキュラムで学べるおすすめの専門学校について確認しましょう。

東京栄養食糧専門学校

東京栄養食糧専門学校は、4年制の管理栄養士養成課程で学べる専門学校です。2022年の栄養士国家試験の合格率は平均で85.7%と高く、実験・実習中心の実践的なカリキュラムも魅力的だといえます。

引用元
学校法人 食糧学院 東京栄養食糧専門学校:管理栄養士科(職業実践専門課程/4年制)

京都栄養医療専門学校

京都栄養医療専門学校は、4年制の管理栄養士養成過程で学べる専門学校です。直近5年間の管理栄養士国家試験の合格率は97.2%と高い合格率をほこっています。クラス制の授業形式なので、クラスメイトと一緒に切磋琢磨しながら学べるのが魅力的です。

引用元
学校法人 大和学園 京都栄養医療専門学校:学科・コース

国家試験に合格して管理栄養士になろう

この記事では、管理栄養士の仕事や国家試験の概要、難しいといわれる理由、学習のポイント、おすすめの教科書や専門学校についてご紹介しました。

管理栄養士は医療や介護、福祉の現場で健康な人や持病もちの方、高齢者の方、アスリートの方など、幅広い方を対象とした栄養管理をおこなう仕事です。

管理栄養士になるためには、4年間の管理栄養士養成課程を修了して、管理栄養士国家試験に合格するか、栄養士養成課程(2〜4年)を修了後、1〜3年の実務経験を積んだあとに管理栄養士国家試験にチャレンジして、合格を勝ちとる必要があります。

管理栄養士国家試験は他の医療系・福祉系の国家資格と比較しても合格率が6割前後と低めなので、計画的に学習して合格点である120点以上を獲得しなければなりません。

教科書や専門学校選びをしっかりとおこなって、国家試験合格を目指しましょう。

また、管理栄養士の仕事を探す際におすすめなのはリジョブです。介護・看護・リハビリ業界に特化した求人サイトなので、あなたが求めている条件の仕事が見つかる可能性が高いでしょう。

様々な条件で求人を検索することができるので、国家試験に合格した後はぜひ一度、リジョブで自分に合った仕事を探して、管理栄養士になるという夢を叶えてください。

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事