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ヘルスケア 2023-09-08

日本にフィットさせるアーユルヴェーダを世界へ発信し、日本人の健康の底上げがしたい【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.111 アーユルヴェーダ・ラージャヨガ講師・管理栄養士 岡清華さん】#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

アーユルヴェーダ・ヨガ・管理栄養士の岡清華さんは、世界最古の医学と言われるアーユルヴェーダを現代の日本人に落とし込んだ「Japanese modern Ayurveda(読み:ジャパニーズモダンアーユルヴェーダ)(日本式アーユルヴェーダ)」を広める活動をしています。5000年も前から伝わるアーユルヴェーダを現代向けに発信した方法とは?

前編では、岡さんがアーユルヴェーダに関心を持ったきっかけや、Mother株式会社を立ち上げるまでの道のりについて伺いました。後編では、会社のコンセプトや取り組み、アーユルヴェーダをおすすめしたい方の特徴や今後の展望などをお聞きします。

お話を伺ったのは…
アーユルヴェーダ・ラージャヨガ講師・管理栄養士 岡清華さん

高校卒業後は、地元にある大学にて食物栄養学を学び、管理栄養士の資格を習得。大学卒業後は、東洋医学に興味を持ち、カウアイ島にて本質的なアーユルヴェーダを学ぶ。その後、数々の飲食店にアーユルヴェーダの知識を活かしながら、アルバイトやヨガ講師として勤め、2019年にMOTHERを創設。2020年にはMother株式会社を設立し、アーユルヴェーダの教えを現代の日本にフィットさせる方法として「Japanese modern Ayurveda(日本式アーユルヴェーダ)」を提唱。現在は、Mother株式会社の代表取締役を務めながら、「Japanese modern Ayurveda(日本式アーユルヴェーダ)」を広めるために活動中。

Instagram:@okasaya

力を入れているのは、気軽にアーユルヴェーダを体験できる「寺子屋ツアー」

スクール事業を開始した理由を伺うと…「私一人でアーユルヴェーダを広めるのは無理。日本全国に生徒さんを増やせたら広く普及することができると思って立ち上げました」。

――Mother株式会社のコンセプトは?

年齢や性別、国籍などは問いません。ただひとつだけ、「正直さ」を持ち、嘘をつかずに日々を過ごすことをコンセプトにしています。

加えて、5000年前から伝わる健康法であるアーユルヴェーダを軸に、新たな人との繋がりや新しい自分を発見し、より豊かに暮らせるようにとの願いを込めました。

――Mother株式会社が展開しているサービスを教えてください。

体を気遣う食品やエッセンスを販売するオンラインショップ、アーユルヴェーダの基礎を学ぶ講座やアーユルヴェーダを指導する講師が目指せるスクール、カウンセリング、ヨガの配信、イベントなど、幅広く展開しています。

――中でも力を入れているサービスは?

さまざまなイベントに力を入れていますが、強いて挙げるなら「寺子屋ツアー」でしょうか

――どんな体験ができるのでしょうか?

全国各地、自然を感じられる場所でアーユルヴェーダを体験できるツアーです。本来、アーユルヴェーダに本格的に取り組もうとすると、本場の施設に行かなくてはなりません。仕事をしながらだと時間や手間をかけるのは難しいですよね。私が何より大事にしているのが、「気軽に体感すること」。そこで考えたのが、日本で本場さながらのアーユルヴェーダが体感できるようにと企画した「寺子屋ツアー」なんです。

生活にアーユルヴェーダを取り入れることで、安定した基盤作りがかなう

アーユルヴェーダを広めるために、自らイベントに足を運び、興味のある方々と定期的にコミュニケーションをとるようにしているんだそう

――アーユルヴェーダを気軽に体験できる取り組みなのですね。どんな人におすすめなのでしょう?

コンセプトにもあるようにどの方にもおすすめなのですが、日々の不調やモヤモヤを回復させてパワフルに動きたい方には、うってつけの手段だと思います。

――具体的に言いますと?

アーユルヴェーダは最古の健康法の他に、自分自身または家族のお医者さんになる意味合いが含まれていて、10人いたら10人それぞれに合う活かし方があると言われています。

最近だと何となく心や体が不調だと感じて病院に行っても、結果的に問題がないと診断される人がすごく多くて。そこで、アーユルヴェーダの知識を知っていれば、対処方法も増えて生活が豊かになると思うんです。仕事に熱心に向き合う人が増えてきた一方で、その分疲労も同じように蓄積されます。自分がワクワクすることや目指したいものがあっても、心や体が健康でなければそれは叶いませんよね

まずは、その人ごとの目標を達成するためのしっかりした心と体の基盤をつくることが大事。何かに挑戦し続けたい人に、アーユルヴェーダを取り入れてみるのはおすすめですね。

――古くから伝えられてきた方法を、現代の人に向けて発信する難しさは感じませんでしたか?

特に大変とは感じません。そもそもインドやスリランカではアーユルヴェーダが主流となっていましたが、その代わりに日本にも独自の健康法があったんです。

例えば、体に溜まった老廃物を流す施術として、インドにはアビヤンガがあり、日本には湯治があります。アビヤンガは、体の外に汗や毒素を流すためにオイルを塗布して、トリートメントを行う施術。湯治は、温泉から得られるミネラルを皮膚から吸収し、汗や毒素を取り除く処置をさします。さらに、インドにはスパイスがあるけれど日本には薬草が…というように、どちらの国の健康法も「方法」は違えど、比べてみると「目的」が一緒なんですよ。

おそらく日本に古くから伝わっている健康法は、アーユルヴェーダが基盤になっていると考えられているため、私が今発信している「Japanese modern Ayurveda(日本式アーユルヴェーダ)」は、昔の日本の健康法を広めているとも捉えられますから。

「Japanese modern Ayurveda(日本式アーユルヴェーダ)」を世界に発信し、国内の底上げを上げたい

インスタグラムでは、Mother株式会社にて販売している商品の詳細をわかりやすく解説した動画、イベントの情報など見たら引き込まれる投稿が盛りだくさん

――そう考えると、親近感すら湧いてくるようです。

今後は国内に留まらせるだけではなく、日本ならではの手段を海外にも広めたいと考えています。日本では昔からの独自の健康法があるはずなのに、海外で流行っている健康法を取り入れがち。私は、日本人には日本人に合う方法があると思うんです。

昔の日本人が不健康かと言われたら、そんなことはなかったですよね。戦争中も海外の体の大きな外国人に負けない体力と体格で張り合っていましたし。何より、海外で自国のものが流行れば嬉しいですよね。日本の自己肯定感の底上げや本来の国民性を取り戻すためにも、海外でもニーズがあるサービスを展開していくことが現時点の目標です。

――「Japanese modern Ayurveda(日本式アーユルヴェーダ)」を広く受け入れられるために、どんなことを意識して活動していますか?

アーユルヴェーダを広く知ってもらうために市場づくりをすることが、私のやるべき取り組みだと感じています。

本格的なアーユルヴェーダをメインに活動している先輩方からは、「今まで流行らなかったし、今更流行らない」と言われる声も多く、とても簡単なことではありません。しかも、私が広めているのは「Japanese modern Ayurveda(日本式アーユルヴェーダ)」といったオリジナリティが高いため、バッシングされることもしばしば。本格的なアーユルヴェーダを指導している先輩方からは冷ややかな目で見られていたのは事実ですが、実際にどっちが人を幸せにできているか、結果が大事だと思っていて。どっちが正解かは分かりませんが、ちょっとでも豊かに日常が送れるサポートがある方が幸せに感じられると思うんです。

――幸せの基準を大事にしているのですね。

数年前にヨガが流行り出しましたよね。実はヨガは、アーユルヴェーダと切っても切れない関係性で繋がりが深いんです。しかも、当時から今まで流行っているヨガはある一部分のポーズを切り取られた箇所だけが一人歩きしている状態。その状況を見て、アーユルヴェーダも同じように全体の一部だけでも知られることで、グッと広められる可能性を秘めていると思いました。一気に広がれば、アーユルヴェーダを仕事にする方も増えてきて、業界が盛り上がっていく期待もできます。

私は誰の師匠でも仙人でもなく、アーユルヴェーダを知ったり、取り組むきっかけの存在になれたらいいなと。アーユルヴェーダ界のエンターテイナーくらい、気軽さを持ちながら、積極的に盛り上げていきたいですね。

「Japanese modern Ayurveda(日本式アーユルヴェーダ)」が受け入れられた3つの取り組み

1.個性を尊重する気持ちを呼びかけ、共感する人たちと意見交流をする

2.アーユルヴェーダの本質を客観的に捉え、伝わりやすい表現で発信する

3.現代の人たちの気持ちや生活を理解したうえで、より良い方法を展開する


取材・文/東 菜々(レ・キャトル)
撮影/生駒由美

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