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ヘルスケア 2023-01-16

頭に触れる大切さと喜びを伝えたい【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.84/ブレインヒールヘッドカレッジ 稲垣佑樹さん&稲垣ふみさん】#1

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回お話を伺ったのは、ドライヘッドマッサージ専門スクール「ブレインヒールヘッドカレッジ」の代表・稲垣佑樹さんと校長・稲垣ふみさん。開校から10年目を迎えたスクールには、初心者からプロまで多くの生徒さんが集まっています。

前編では、おふたりがスクールを開校した経緯と、伝えている「ブレインヒールヘッドタッチ®」についてお聞きします。

お話を伺ったのは…
「ブレインヒールヘッドカレッジ」代表 稲垣佑樹さん

20代後半までプログラマーとして勤務後、整体師に転向。技術を積んだ後、ヘッドマッサージに特化し、2012年「頭のほぐし専門店 うたたね庵」をオープン。2013年、ドライヘッドマッサージ専門スクール「ブレインヒールヘッドカレッジ」をスタート。

「ブレインヒールヘッドカレッジ」校長・稲垣ふみさん

2000年よりアロマセラピストとして活動をスタート。2002年、自宅サロンを開業後、佑樹さんとともに「頭のほぐし専門店 うたたね庵」、「ブレインヒールヘッドカレッジ」を設立し、受講生1,200名以上を指導。InstagramやYouTubeを通してセルフケアの大切さも伝えている。

Instagram:@brain_heal_head_college

YouTubeチャンネル:稲垣ふみ校長のふれ愛ヘッド®️【ヘッドマッサージチャンネル】

触れることによる喜びを伝えられるセラピストという仕事

ヘッドマッサージに特化する以前から アロマセラピストとして活動していた校長・ふみさん

――まずはこれまでの道のりについてお聞きします。ヘルスケアのお仕事についたきっかけは?

ふみさん:以前は、デパートで10年以上働いていました。セラピストになろうと思ったきっかけは、2000年に父が胃がんになり入院したこと。そこでハンドトリートメントをしてあげた経験が大きいです。少し弱気になっていた父が、癒やされることで前向きになり、頑張って手術を乗り越えられた。触れることの大切さを、すごく感じましたね

その経験から、セラピストという仕事に興味を持ちました。体に触れることの大切さ、喜びを多くの人に広めたい。そんな気持ちと、幼少期から自然が大好きだったこともあり、自然療法につながるアロマセラピストになろうと決めたんです。

その後は、家の近くにある整体店に併設されたアロマサロンで2年ほど働いて経験を積み、2002年に自宅サロンを開業しました。

佑樹さん:僕は20代後半までプログラマーをしていたんですが、いつの間にか頭痛がひどくなってしまって…。若かったので薬で乗り切ろうとした結果、頭痛薬の飲みすぎで、薬を飲んでいないと頭痛が止まらない状態になってしまったんです。仕事も続けられないほどになり、別の仕事を考えるようになりました。

整体師という仕事を選んだきっかけは、頭痛に悩んでいたとき、妻(ふみさん)にヘッドマッサージをしてもらったことでした。自分の体や健康に興味を持つと同時に、セラピストの仕事にも興味を持ったんです。

体のことについて学ぶため整体の勉強をした後、ヘッドマッサージに特化していきました。その後、2012年に夫婦で「頭のほぐし専門店 うたたね庵」をスタートしたんです。

頭痛にもアプローチできる技術を開発

ひどい頭痛に悩まされた佑樹さん。
それがきっかけで、整体やマッサージとは無縁だったところから、
健康にアプローチできるヘルスケアのお仕事へ

――当時ではヘッドマッサージ専門店はめずらしかったのではと思います。そこに特化したのは、佑樹さんの頭痛の経験から?

佑樹さん:そうですね。その経験から、今ではスクールの主軸となっている「ブレインヒールヘッドタッチ®」が生まれたんです。その技術があったので、ヘッドマッサージに特化しました。

――「ブレインヒールヘッドタッチ®」の特徴を教えてください。

ふみさん:私たちが伝えている「ブレインヒールヘッドタッチ®」は、名前のとおり脳を癒やす頭の触れ方です。開発のきっかけは、代表の頭痛を少しでも改善できればというところでした。でもアロマセラピーの延長で習得していたヘッドマッサージでは、オイルを使うため髪がベタベタになってしまう。そこでドライヘッドスパの技術を学んだのですが、当時の技術では圧が強過ぎることがわかったんです。それならアロマセラピーのような柔らかいタッチでヘッドマッサージができないかと、新しい技術を作ることにしました

解剖生理学を学びわかったのが、脳がストレスを感じたり考え事をし過ぎたりして緊張すると、一番近い頭皮の筋肉が収縮して凝ってしまうということでした。他にも、同じ姿勢でい続けたり、眉間に力が入ったりということも関係してきますが、とくに頭皮には心の状態が現れやすい。だから頭皮に触れるときは、とにかくリラックスした状態を目指すことが必要だと感じました。

目指したのは、海の中にいるような、何者からも解放されているような無重力感。それを作り出すために、さまざまな技術を取り入れました。

佑樹さん:肩から上の凝りは、メンタルの影響がとても強いので…頭をゆるめるためには、心がゆるまないといけない。つまり脳が緊張していると、外側からほぐすだけでは脳の緊張は取れないんです。

脳をリラックスさせることを目指した「ブレインヒールヘッドタッチ®」の特徴のひとつは、f分の1ゆらぎという自然の中にある不規則性のあるリズムで行うこと。そして指圧による刺激で脳を興奮させないために、とにかく柔らかいタッチで筋肉をストレッチさせることです。

ふみさん:頭皮は、体と違って筋肉の厚みが3分の1程度しかありません。固いからといって力強く触れてしまうと、逆に痛みが強くなってしまったり、お客様側も体に力が入って緊張してしまいます。

リラックスしていただくためには、心地よく安心していただけるような触れ方がとても大切です。それにはセラピスト側がリラックスすることもとても重要。そうすることで、力の抜けた柔らかい手で触れることができるんです。

そういった触れ方も含め、スクールではしっかり体験して実感しながら習得できるようにお伝えしています。

独自技術を知りたいという声にこたえてスクールを開校

2013年に開校した「ブレインヒールヘッドカレッジ」

――スクールを設立された経緯は?

ふみさん:「うたたね庵」にいらっしゃる美容師さんや美容サロンのオーナーさんたちから、ヘッドマッサージの技術について聞かれることが多かったんです。「どこで習ったの?」と聞かれて「自分で作りました」と答えたら、何度も教えて欲しいと言っていただいて。そこでプライベートレッスンを開講したのが始まりですね。

当時はサロンのホームページもなく、つたないブログだけ書いていたんです。頭に触れることの大切さを伝えていきたいと思って記事を作っていたんですが、それを読んでくださった方々からもお問い合わせいただくようになって、この技術を求めてらっしゃる方の多さを感じました。

佑樹さん:そこで「ブレインヒールヘッドカレッジ」を開校しました。ドライヘッドスパのスクール自体も珍しかったので、開校当初から、全国から生徒さんが集まってくださいましたね

――スクール開校から9年。ずっと大切にしている理念や想いがあれば教えてください。

佑樹さん:僕たちが伝えているヘッドマッサージの技術では、とても優しいタッチを用います。そのためのポイントとして、セラピスト側が緊張しないことがとても重要です。だから、「セラピストが緊張する環境を作らない」ということは、ずっと大切にしています。

ふみさん:代表も私も、いろいろなスクールに通ってきましたが、結構厳しいスクールは多いんです。一度聞いたことは聞き返せなかったり、メモをとるのがNGだったり…。すごい緊迫感のなかなので、そのときは必死に学んでも、後から練習しようとしたときに思い出せず、ちゃんと習得できないこともありました。

佑樹さん:先生が怖かったり、生徒同士がギスギスしてしまうような環境では、集中もできませんし、僕たちが伝えたい柔らかいタッチも作り出せません。だから、とにかく楽しく学んでもらうこと。明るい雰囲気のなかで、聞きたいことがすぐに聞きやすい環境づくりを心がけています。

――学ぶ環境が技術にも影響するんですね。開業のアドバイスなどもされていますか?

ふみさん:そうですね。生徒さんのなかには、近しいお仕事をされている方も多いですが、ご家族にマッサージをしてあげたいという理由でいらっしゃる方もとても多いんです。そういった方々が技術を学び、周りにマッサージをしていくなかで、やりがいを見出して開業を目指していったときには、もちろん相談にのります

私たちも、技術は学んでも、そのあとどうやって開業したらいいか不安でした。サロンに勤務していたとしても、マーケティングや経営まで教えてもらえるわけではありませんから。

佑樹さん:講座としても「サロン集客塾」というかたちで、マーケティングや集客について伝えるものを開いています。2022年だけでも12名ほど開業されました。技術だけでなく、きちんとサロンができるようになれるところまでサポートすることも、スクールとして大切なことだと思っています


夫婦で開発したヘッドマッサージの技術を伝える「ブレインヒールヘッドカレッジ」。その開発のきっかけが家族への愛情だったこと、体に触れる喜びを伝えたいというふみさんの想いもあり、プロに限らず広く門戸が開かれています。

次回後編では、おふたりがセラピストという仕事に感じるやりがい、これからセラピストを目指す方へのアドバイスをお聞きします。

取材・文/山本二季

Information

ブレインヒールヘッドカレッジ
住所:愛知県名古屋市千種区本山町50-1 ラパンドゥ201号室
TEL:090-4866-2936(代表)

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