「できないことこそ、伸びしろ」が信条。姿勢改善パーソナルトレーナーとして活躍 大石あんりさん
姫路でパーソナルトレーナーとして活躍する大石あんりさん。ヨガやピラティス、これまで学んできた解剖学の知識をかけあわせた、姿勢改善パーソナルトレーナーとして活躍しています。身体の悩みに寄り添ったトレーニングを提供することにより、以前勤めていた鍼灸院併設のパーソナルスタジオでは90%という高いリピート率を維持していたという大石さん。2023年10月には念願だった独立も果たされました。
前編ではどのようにして高いリピート率を実現したのかを伺います。大石さんの信条は「できないことこそ、伸びしろ」。生徒さんの悩みに寄り添いつつも、ときには少し強いトレーニングを入れて、一緒に乗り越えることも大切にしているそうです。
今回、お話を伺ったのは…
大石あんりさん
パーソナルトレーナー/ヨガ、ピラティスインストラクター
銀行勤務を経て、オーストラリアにてヨガインストラクターの資格を取得。産後に自身の体調不良を経験したことから解剖学について本格的に学びはじめる。その後、ピラティスについても学び、鍼灸院併設のパーソナルトレーニングスタジオで、90%以上という高いリピート率を誇る姿勢改善パーソナルトレーナーとして活躍。2023年10月には念願だった独立を果たす。
Instagram:@anri_personal_trainer
ヨガ×ピラティス×解剖学をいかした姿勢改善を確立
――まず大石さんのパーソナルトレーニングの特徴について教えてください。
ヨガ、ピラティスインストラクターの経験と解剖学の知識をいかして、姿勢改善、身体の使い方を教えるトレーニングです。トレーニングに入る前にかならず、カウンセリングシートに、身体の悩みや痛み、不調がないか、またレッスンに来た目的を書いてもらいます。そのあとに生徒さんの身体の使い方を見させてもらって、トレーニング内容を決めています。どこかに痛みがある方でも安心して通ってもらうことを心がけてきました。
――身体の使い方というのは具体的に、どういうことを教えるのでしょうか?
骨の模型を使いながら身体の構造を使って説明し、姿勢を改善する動きを一緒に学んでいきます。たとえばストレートネックの方の場合。無理矢理あごをひいて、背骨をそらせて、ストレートネックを治すような姿勢をとっても、姿勢は改善されないんですね。むしろ腰痛を引き起こしてしまう可能性があります。
そこでまず骨の模型を使い骨の構造を説明します。みなさん背骨というと、あごから鎖骨ぐらいの長さが首だと思っていると思うのですが、実際には鼻くらいの高さから背中側にたどっていったところからが首になるので、あごだけ引いても何の解決にもなりません。
このように骨の模型を使って、どの部分に問題点があるのかをまず意識してもらいます。そのあと仰向けで寝てもらい、後頭部のところから床をぐっと押すような動きをしてもらうことで身体の使い方を学んでもらうんです。そのあとに起き上がると、首全体をぐっと引いた正しい姿勢ができているので、鏡で見てもらい効果を実感してもらいます。
思いや悩み、なりたい姿に寄り添う
――リピート率が高い理由を、ご自身はどのように分析していますか?
パーソナルの強みをいかして、生徒さんの思いや悩み、なりたい姿を深く引き出し、寄り添いながらトレーニングを進められてきたからかなと思っています。以前勤めていた鍼灸院併設のパーソナルトレーニングではとくに、身体に痛みがあったり、ご自身の身体にコンプレックスがあってヨガやピラティスのグループレッスンには入りづらい方が多く、精神的な不調を抱えている人も少なくありませんでした。
そこで記入いただいたカウンセリングシートを元に、トレーニングにはすぐに入らずどんな思いを持っているのか確認することを大切にしてきたんです。そうすることでみなさん安心して通ってくれていたのではないかと思っています。
――なぜそのようなことを意識するようになったのでしょうか?
私自身が、子どもの頃からずっとバレエを趣味で習っていたのですが、身体にコンプレックスをずっと抱えてきました。バレエをやっている人と聞くとすごく細い人をイメージされるかもしれませんが、以前の私は上半身は細くても下半身がすごく筋肉質でがっしりしていて。また身体もあまり強くなくて、何かしらの不調を抱えているときが多かったんです。こういう不調は、割とみなさんお持ちだと思うんですね。病院に行くほどのことではないけれど、疲れているとか、身体が冷えるとか。
でも身体について解剖学で学び、姿勢を改善していくことで身体も変わって、少しずつ自分の身体が好きになれたんです。生徒さんにも同じように感じてもらえたらという思いがあります。
時には少し攻めたトレーニングも。変わっていく自分を楽しんでほしい
――トレーニング中に心がけていることはありますか?
声かけは生徒さんに合わせて変えるようにしています。初めての方に骨盤を前傾させてとか、後傾させてと伝えても分からないのと思うので、まずは分かりやすく伝えること。そして精神的な不調を抱えている方には、その方がどんなことに傷つき、追い詰められているのかということ、何を変えたいのかをずっと考えながら、この方の心が楽になるにはどういう言葉なのかを考えて、声かけをしてきました。逆に少しだけ攻めたラインでトレーニングを行い、自信をつけてもらうような声かけをすることもあります。
――少しだけ攻めたラインとは?
その方にはちょっと強いかもしれないラインのトレーニングを行うんです。できたら「めっちゃすごい!できましたね!」とほめると、その方の自信につながるのではないかと思っています。さっき寄り添う話をしたので矛盾をしていると思うかもしれませんが、ずっと寄り添っているだけではなくて、ときには少し踏み込んでみるのも大事ではないかと。
――なるほど。そのときに本当に必要なトレーニングを見極めているのですね。
私はできないことこそ、伸びしろだと捉えてもらいたいと思っているんですよね。できないからだめではなくて、できないことにこそ身体が変わるヒントが隠れていると思うんです。だからできないことを発見したのは、自分が変わる、できるようになるスタート地点に立ったということ。できないのはだめ、ではなくてこれから変わる自分をわくわくして楽しいと思ってもらえるように、トレーニングを行ってきました。
後編では、ヨガやピラティス、解剖学を組み合わせた大石さんの姿勢改善のトレーニングがどのように生まれてきたかを伺います。大石さんの初めての仕事は、銀行。まったく違った職業から、パーソナルトレーナーとしての基礎をどのように築いたのでしょうか。後編もお楽しみに!