日常生活のアドバイスで出張整体の次回予約率75%を獲得【もっと知りたいヘルスケアのお仕事Vol.150 POWWOW HOME赤木幹美さん】#2
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「もっと知りたいヘルスケアのお仕事」。前編に続き、女性専門の出張整体POWWOW HOME赤木幹美さんに伺います。
前編では、お客様のお宅にたどり着けない、ソファでの施術で力加減が分からずお客様に満足いただけなかったことなどセラピストを始めた頃のエピソードと、出張セラピストとして心がけていることや出張セラピストの楽しみをお聞きしました。
この後編では、出張セラピストの一日のタイムスケジュールや75%という高いリピート率の理由をお伺いします。
お話を伺ったのは…
POWWOW HOME
赤木幹美さん
スタイリストアシスタントを経てセラピストに転向。最初はリフレクソロジーサロンにアルバイトとして勤務、美容室併設のマッサージ部門の立ち上げを経験し、その後POWWOW入社。サロンセラピストとして10年活躍した後、新規事業の女性専門出張整体POWWOW HOMEのセラピストに。入社13年目の現在は、1才のお子さんのママとして仕事と育児に奮闘中。
出張セラピストのタイムスケジュール
――赤木さんの一日のタイムスケジュールを教えてください。
例えば一日3件予約が入った場合は、こんなスケジュールで動いています。事前にご予約のお客様のカルテ、予約時間、場所、行き方を調べて出張先に向かいます。
10:00~12:30 出張整体1件目
12:30~13:30 昼休憩、移動
14:00~15:30 出張整体2件目
17:30~19:00 出張整体3件目
メニューによって施術時間が違ってきますが、初回はキャンペーン価格があるので、いちばん短い60分コースよりもせっかくならと90分コースを選ぶ方が多いです。予約が午前中に1件だけの場合、午後は事務所で内勤という日もあります。
――赤木さんは正社員ということですが、業務委託という形もあるのですよね。
はい。業務委託の場合、件数毎の完全歩合50%になります。午前中のみ週3で働く幼稚園ママ、ダブルワークで土日だけの方などさまざまな働き方のセラピストがいます。わたしは正社員なので出張がなくても1日8時間勤務の月給制になります。
ご自宅に伺うとお客様の日常が見えてくる
――リピートのお客様が多いそうですね。
はい、次回予約率は75%と比較的高い数字が出ています。その理由のひとつに、出張整体の競合がまだ少ないことがあげられます。サロンだと、ちょっとフラッと入ってみたとか、観光で東京に来たからという方も多く、そういう方が継続して月に1回ケアするかというと結構難しいですよね。でも出張整体の場合、このサービスをピンポイントで探している方がほとんど。競合が少ない中、自ずとリピート率が高くなっているということはあると思います。
――確かに競合が少ないということもあると思いますが、やっぱりリピートにつなげるために工夫されていることもあるのでは?
必ず、次回プランとご予約の提案はするようにしています。POWWOWには「女性を笑顔にする」というコンセプトがあります。どうしても自分のことを後回しにしてしまう女性が多いのですが、お客様自身が元気でいることが家族のためにもなる。一回のケアだと体の歪みが戻ってしまうので、その方の歪み具合と凝り方によってケアのペースをご提案しています。
――出張整体ならではの強みみたいなものはありますか。
ご自宅に伺うと、お客様の日常生活が見えてくるので、改善したほうがいい点を具体的にアドバイスできるのは強みだと思います。例えば、リビングのソファーに対してテレビの位置が斜めに設置されていたら、できれば椅子をこっちに持ってきたほうがいいですよとか、可能であればテレビの位置を移動したほうが体への負担が少ないですよとか。もちろんサロンでもいろんなお話を伺うのですが、ご自宅へ伺うとその方のライフスタイルが一目瞭然。そういったアドバイスも喜ばれていると思います。
お客様の人生を垣間見ることで人として成長できた
――お客様からはどんな感想が届いていますか。
「こんなサービスを求めていました」というお声をいただくことが多いです。出張マッサージ自体は古典的なサービスですが、女性専用を打ち出すところはまだまだ少ないんですよね。POWWOWはサロンも出張も女性限定、セラピストも女性のみ。自宅に知らない人、とくに男性が来るのは不安だから、女性のための出張整体を探していたという方がすごく多いです。
――出張セラピストになって成長したところはどんなところですか。
バリバリのキャリアウーマンの方でも、ご自宅では日々こんな風に奮闘していて、我慢していて。そんな場面を目の当たりにすることで、より優しく、より応援できるようになれました。その人の人生を垣間見ることで、人として成長できたのかなと思います。
――最後にセラピストを目指す方にアドバイスをお願いします。
サロン、出張どちらにしてもセラピストの仕事には、たくさん得られるものがあります。解剖学など体の専門的な知識はもちろん、目の前のお客様が何に悩んでいて、その悩みがどこから来ているのか、ある意味マーケティングのような観点も必要ですし、その先の営業力も必要。突き詰めるといろんな仕事に通じるものがあると私は思っています。セラピストの仕事に少しでも興味がある方は、ぜひチャレンジしてほしいです。
赤木さんが出張セラピストとして心がけていることは
1.お客様にも協力してもらい、その場でやれる最大限の施術をする
2.「初めて」を楽しむ精神を持つ
3.ご家族ともいい関係を築けるよう心がける
サロンセラピストを10年経験した後、出張セラピストとして活躍する赤木さん。ご自宅を訪問し、お客様の見えない奮闘ぶりを垣間見ることで自らも人として成長できたと語ってくれました。出張セラピストが気になっている方はぜひ、勇気を出して門を叩いてみて!
撮影/大崎聡
取材・文/永瀬紀子