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ヘルスケア 2024-10-01

どうにもならない不調を救ったアロセテラピーに魅せられて【もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事Vol.160 cocoty主宰 望月登美子さん】#1

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回はアロマと自然療法の教室、cocotyを主宰する望月登美子さんにお話しを伺います。

前編では、体調を崩したときにアロマセラピーと出合って救われたこと、ご自身の中で大きく変わったことアロマセラピストの資格を取ってから独り立ちするまでの葛藤についてお話しいただきました。

お話しを伺ったのは…
cocoty
主宰 望月登美子さん

旅行会社および生花業社団法人に勤務するかたわらアロマセラピストの資格を取得。会社勤めをしながら、1998年よりアロマセラピー講座の講師やセラピストとして活動を始める。2018年に退職後、アロマとハーブの卸販売会社にて教育事業部マネージャーに就任。2019年に独立し、アロマテラピーと自然療法の教室cocotyを主宰している。

バリバリ働いてとことん遊ぶ…そんな日々を襲った突然の不調!

心身ともにボロボロだった望月さんを癒やしてくれたのがアロマセラピーだったとか。

――望月さんは、もともとアロマセラピーに興味があったんですか?

いいえ。夜の8~9時まで残業するのが当たり前な会社で働いていました。仕事で溜まったストレスを発散したくて、同僚たちと新橋や銀座に繰り出してお酒を飲んで深夜に帰る…どんな毎日を送っていました。本当に人生をなめた生活をしていたんですよ(笑)。

――アロマセラピーのイメージとは真逆の生活ですね。それがなぜ?

乱れた生活を送っているうち体調が悪くなって、身体中にじんましんが出てしまったんです。無理をしているつもりはなかったのですが、身体が悲鳴を上げたんだと思います。

病院に通いましたが一向によくならなくて、「どうしたらいいの…」と不安な気持ちでいっぱいでした。そんなときに出合ったのがアロマなんです。その当時、アロマセラピーが流行り始めた頃で、何となく入った専門店でいくつか精油の香りを嗅がせてもらいました。その中の1つの香りにすごく癒やされたんです。

――心と身体が求める香りってあるんですね。

お店で使い方を教わって、その日の夜にさっそく家で香りを焚いたら、涙がぽろぽろ止まらなくなってしまって。すごく解放された気持ちになりました。

――そんな作用があったんですね!?

自分に何が起こったのか分からないけれど、「植物の香りってすごいんだな」というのが実感できました。自分の症状を改善するために、もっとアロマのことを知りたい!と思ったのが、アロマセラピーにハマッたきっかけです。

――ちなみに、そのときの精油は何だったんですか?

ゼラニウムです。この精油はバランスの香りと言われているんですよ。当時の私は自律神経失調症と診断されていて、ゼラニウムが心と身体のバランスの乱れを整えてくれたんですね。この香りを嗅いだとき、硬くこわばっていた心と身体が「ふわ~っ」とほどけたのを今でも鮮明に覚えています。今でも気持ちが落ち込むような波を感じるときは、この香りに助けられているんですよ。

――アロマセラピーを学ぶことで変わったことがありますか?

アロマだけではありませんが、いろいろな学びを通して自分を愛することができるようになりました。たぶん、自分のことがちょっと嫌いだったんです。

――どんなところが?

自分にないものをばかり羨ましがっていたところがあったんです。例えば可愛らしい女の子がいたら、「あの子はいいな。それに比べて私なんか…」って。

人の身体や心の仕組みを学んでいくうちに、人間も地球も自然もすべて、神さまが作ったとしか思えないような巧妙な仕組みでできているのが分かったんです。私がこの地球上に、こうやって、この時代に生きていること自体が奇蹟なんですよね。奇蹟なんだから愛するしかないということに気づくことができました。

――その気づきは大きいですね。

私はアロマセラピーですけれど、広い意味で心と身体に関わるヘルスケアの仕事はやりがいがあるし、すごく大切なことに気づく機会がたくさんあるんですよね。

会社勤めをしながらアロマセラピストとして活動をスタート

アロマの講座をする望月さん。資格を取ったばかりの頃は、平日は会社員、平日の夜と週末はアロマセラピストのWワークをしていたとか。

――アロマセラピーを学んでからはどんな活動をなさったんですか?

旅行会社から生花業社団法人に転職をして、会社員をしながら平日の夜と土日にアロマセラピーの講師やセラピストとして活動していました。

――セラピストというと?

サロンと契約をして、予約が入れば施術をしに行っていました。収入が安定しないので、会社員は辞められなくて(笑)

フリーランスの立場で講師やセラピストを続けたいと思っても、時給換算するとものすごく安いんです。どこか大手の団体や企業に所属するか、自分自身で事業を立ち上げないと難しいことが分かりました。

――Wワークはどのくらい続けたんですか?

いつか自分で事業を立ち上げたいと思いながら、10年くらいでしょうか。独立を先延ばしにしていると気力的にも体力的にも厳しいかも…と思って、2018年に「えいっ!」と会社を辞めました。

――勇気を振り絞ったんですね。その後は?

会社を辞めて独り立ちしたら、何をどうすればいいのか…なにも分からない状態だったので、私のアロマの師匠のところへ相談しに行ったんです。そうしたら、ちょうど師匠の会社でスタッフを募集していて、「うちで働きながら勉強したら?」って提案していただいたんです。1年半という短い期間でしたが、料金設定はどうするのか、利益はどういう風に出せばいいのかなど経営にまつわることや、アロマセラピーそのものについても教わりました。

――ものすごく運がいいですね。タイミングがいいというか。

そうなんです。師匠は私のことを「拉致した」って(笑)言っていますが、私にとっては絶好の機会をいただけて感謝してます。

――アロマセラピーのお仕事をしながら、収入も安定。それでもご自身の教室にこだわったのはなぜですか?

とても充実した毎日でしたが、会社全体の運営に関わることとか、やらなくてはいけない雑務もいろいろあって。このままでは会社勤めをしていたころと変わらないんじゃないか…と気づいたんです。

それで、師匠にお許しをいただいて退職することにしました。

一歩ずつ着実にご自身の教室を立ち上げるために努力していた望月さん。後編では、教室を主宰するにあたって横浜市の起業塾に参加したこと、マインドフルネスやホリスティック医学などさまざまな学びをアロマに結びつけて独自の講座を作り上げたこと、これから起業を目指す方へのアドバイスなどをお届けします。

撮影/森 浩司

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