ガイドヘルパーの同行援護とは? 同行援護従業者になる方法と資格取得のメリットを解説
ガイドヘルパーの仕事の中で「同行援護」と呼ばれるものがあります。サポートが必要な障害者に同行し、外出のサポートを行うような業務内容の仕事です。
今回は、ガイドヘルパーの同行擁護についてや、同行援護従業者になる方法と資格取得のメリットなどについて紹介します。ガイドヘルパーに興味のある方は参考にしてみてください。
ガイドヘルパー(移動介護従事者)の同行援護とは?
ガイドヘルパーとは、移動介護従業者と呼ばれることもある職種のひとつです。同行援護は、このガイドヘルパーがおこなうべき仕事のひとつに数えられます。ここでは、ガイドヘルパーがおこなう同行援護という仕事の詳細をみていきましょう。
同行援護とは|障害者自立支援法 障害者自立支援法 第5条4
ガイドヘルパーがおこなう同行援護の詳細な仕事内容について知るためには、厚生労働省の定義を参考にしてみてください。
厚生労働省では、同行援護の対象者を「障害者・障害児(重度の視覚障害)」と定義しています。ここで重要となるのは、対象となる障害が「視覚障害」に限定されている点です。ガイドヘルパーがおこなう同行援護は、視覚障害を補うためのサポートでなければなりません。
一方、同行援護の定義に関しては障害者自立支援法 障害者自立支援法 第5条4の「行動援護」の項目で触れられています。その内容からは、知的障害や精神障害を抱える人も援護の対象となると考えることができるでしょう。
同行援護従業者の仕事内容|視覚障害者(児)の外出をサポート
ガイドヘルパーの一種である同行援護従業者のおもな仕事は、視覚障害者(児)のサポートとなります。視覚障害を抱えている方が外出時に直面する問題は、視覚障碍者ならではのものであることも珍しくありません。
同行援護従業者は、それらに対応するためのスキルを身につけておく必要があります。続いては、同行援護従業者の詳細な仕事内容をみていきましょう。
外出時の行動・移動をサポートする
ガイドヘルパーのおもな仕事は、障害を抱える方が外出をする際の行動・移動のサポートとなります。この点に関しては、視覚障害に特化した同行援護従業者に関しても同様です。これらは主要な仕事として、いつでも対応できるようにしておかなければなりません。
外出時の代筆や代読など、視覚のサポートをおこなう
ガイドヘルパーによるサポートを必要とする人が直面する問題のなかでも、とくに視覚障害を抱える方が直面する問題としてあげられるのが文字の判読・執筆に関わるものです。
とりわけ全盲の方などがこれらの行動を起こすことがほぼ不可能であることから、同行援護従業者はサポートとして代筆や代読をする必要があります。このように視覚のサポートをおこなうことは同行援護従業者の主要な仕事です。そのためサポートを必要としている人がなにに困っているのかを察してあげられるよう、つねに気を配ることが求められます。
外出時のトイレや食事などの生活介助をおこなう
外出時には食事をしたり、トイレへ行ったりすることもあるでしょう。しかしながら視覚障害を抱えている方は、これらの行動を自力で完結することが困難なことも珍しくありません。
したがって、これらの食事・トイレにかかわるサポートもガイドヘルパーの一種である同行援護事業者がおこなわなければならない仕事のひとつです。
ほかのガイドヘルパーとはどこが違うの?
同行援護従業者は、ほかのガイドヘルパーとどのような違いがあるのでしょうか。ガイドヘルパーは資格がわかれており、それぞれ仕事内容に違いがあります。
ここからは、ほかの種類のガイドヘルパーとの仕事内容やサービスを受けられる利用者の条件の違いなどについて紹介していくので、確認していきましょう。
行動援護従業者との違いとは?
行動援護従業者は、主に知的障がい者や発達障がい、精神障がいなどがあり、外出が1人で行うのが困難な方に対して介護のサービスを提供します。同行援護従業者は、対象となる障害が「視覚障害」に限定されているため、この点が異なるといえます。
こちらの記事で行動擁護従事者について詳しく紹介しているので気になる方は参考にしてみてください。
知的障害をサポートするガイドヘルパーとは? 行動擁護従事者の仕事内容と目指す方法を紹介
全身性障害者移動介護従業者との違いとは?
全身性障害者移動介護従業者は、全身の障害を持つ方に対して外出をサポートします。同行援護従業者は、対象となる障害が「視覚障害」のみなのでこの部分が違いです。
肢体が不自由である方を理解するための知識やサポートの技術を身に着けて業務を行います。車いすに乗っている方のサポートができるように演習を行います。
同行援護従業者の活躍の場とは?
同行援護従業者の活躍の場について紹介します。同行援護従業者は、主に障がい者支援施設やグループホームなどで活躍します。また、在宅介護サービスを行う民間事業者やガイドヘルパー事業所、障がい者福祉サービス事業所などで働くこともあるでしょう。
資格を取得すると活躍できる場やできる業務の内容が増えてキャリアアップに繋がります。
同行援護従業者になるにはどうすればいいの?
同行援護従業者になるためには、資格の取得が必要です。資格を取るには、同行援護従業者養成研修実施機関で、研修のカリキュラムを全て履修し、修了証明書を受けとる必要があり、試験はありません。
こちらの記事では、ガイドヘルパーになるにはどのような資格が必要なのかやおすすめのスクールなどを紹介しています。
ガイドヘルパーになるにはどんな資格が必要? おすすめの学校・スクール5選を紹介!
自治体の定めた資格要件をチェックしよう!
同行援護従業者になるために必要な資格は、都道府県の管轄となっています。したがってガイドヘルパーの一種でもある同行援護従業者になるためには、各都道府県が発表している最新の情報を確認するようにしてください。
なかでも資格要件の項目では、資格を取得するために受ける必要のある研修などが紹介されていることも多いため、必ず確認しておくようにしましょう。
養成研修の受講は資格取得の方法のひとつ
ガイドヘルパーのなかでも、とくに同行援護従業者として働きたいという希望をもっている方は、養成研修に参加して資格を取得するという方法を選ぶことがおすすめです。
養成研修は、管轄する都道府県によって開催されています。各自治体が発表する資格条件を確認したうえで、自身に合う方法がどれなのかをよく考えてみるとよいでしょう。
同行援護従業者を目指せる講座を紹介!
同行援護従業者になるうえでは、スクールが開催する講座を受けるという方法もあります。実際、同行援護従業者をはじめとしたガイドヘルパーになるための講座を開いているスクールは多いです。
この方法で同行援護従業者を目指す方は、近隣のスクールを探してみるとよいでしょう。同行援護従業者になることのできる講座を開いているスクールと詳細な講座の概要をご紹介します。
三幸福祉カレッジ|視覚障がい者同行援護従業者養成研修
三幸福祉カレッジ|視覚障がい者同行援護従業者養成研修
全国に校舎を構える三幸福祉カレッジが実施しているのが「視覚障がい者同行援護従業者養成研修」です。一般課程・応用課程それぞれの同行援護事業者向け研修を受けることができます。
こちらの研修では実際に介護の現場でも働く講師による指導を受けることができるため、より実践的なスキルや知識を身につけられるということがメリットです。
出典元:三幸福祉カレッジ|視覚障がい者同行援護従業者養成研修
未来ケアカレッジ|同行援護従業者養成研修
多種多様な福祉関係の講座を開いている未来ケアカレッジでも、ガイドヘルパーの一種である同行援護従業者向けの養成研修を実施しています。こちらの研修もまた一般課程と応用課程に分けておこなわれ、一般課程は3日間、応用課程は2日間にわたっての講義です。
この講座では欠席した場合、別コースの同内容の研修を振替え受講することが可能となっています。そのため、すべての研修に出席できるかどうかがわからないという方にもおすすめです。
藤仁館医療福祉カレッジ|同行援護従業者養成研修
関東地方に7つの校舎を構える藤仁館医療福祉カレッジでもガイドヘルパー向けの講習を多数実施しており、同行援護従業者向けの養成研修もおこなっています。
こちらのスクールでも一般課程は3日間、応用課程は2日間で実施されており、両方を同時に申し込むと受講料が割安になることがメリットです。
同行援護従業者の資格を取得する3つのメリットとは?
同行援護従業者の資格を取得するメリットにはどんなものがあるでしょうか。事前にチェックすることで資格取得への明確な目的と、モチベーションを持って受講できるでしょう。
同行援護従業者の資格を取得する具体的なメリットについて3つ紹介していきます。資格の取得を検討されている方は参考にしてみてください。
1. スキルアップに役立つ
1つ目は、介助のための知識や技術を習得することで、より的確な介護が行えるようになることです。サービスを行える対象者も増えるので、仕事の幅を増やすことができるでしょう。
資格を取得する際は、知識と実技の両方についてしっかりと学べるので、介護の知識を深められます。新たな資格を取得することはスキルアップに役立つはずです。
2. 介護の現場ですぐに利用できる
資格を取る際に、身につけた技術を介護の現場ですぐ実践することができます。資格を取得してもその知識を使う機会が少ないと覚えたことをなかなか活かすことはできません。その点で、すぐに仕事で実践できるのはメリットだといえます。
視覚に障がいのある利用者へも対応できるので、専門的な知識を必要とされる方に対して仕事として的確に提供できるという良さがあります。
3. キャリアアップにも役立つ
上述してきたように、資格を取得すると視覚に障がいのある利用者への対応が可能になります。そのため、仕事の幅が増えるので、即戦力として活躍できることが期待されるでしょう。
転職の際にも、資格が優位に働くこともあり、介護の現場でキャリアアップしていきたいと考える方にとってメリットとなります。
ガイドヘルパーの大変なこと・やりがいとは?
仕事を行う上で職種や担当する場所ごとに大変な部分ややりがいがあるでしょう。利用者と直接関わる仕事であるガイドヘルパーにはどのような大変さややりがいがあるのでしょうか。
ここからはガイドヘルパーの大変なことややりがいについて紹介します。自分の特性や求めるやりがいとマッチしているかなどを確認してみましょう。
大変なこと|安全確保やリスク対応
大変なこととして挙げられるのが、安全確保やリスク対策に神経を使わなければならないことです。同行擁護従業者は、視覚に障がいがある方の外出をサポートします。そのため、利用者の視野をカバーしなければなりません。
専門的な知識と実技力に加えて、細かい配慮が行える繊細さや気遣いも必要です。利用者を危険から守るために細心の注意を払わなければならない点は大変な一面でしょう。
やりがい|利用者さんに喜んでもらえる
やりがいは、利用者が今まで困難だった外出のサポートを行い、喜びを味わってもらえることです。また、その姿が直接見られることも魅力的な部分といえるでしょう。仕事の中には、直接喜んでいる姿を見られない仕事もあります。
そういった面では、直接関わってサポートができる仕事であるため、やりがいを感じられるはずです。人に喜んでもらうのが好きな方や、人の役に立ちたいという思いがある方にとってやりがいとなる瞬間を味わえます。
同行援護従業者として働くには資格が必要! 自分に合った講座を選んで受講しよう
ガイドヘルパーに含まれる同行援護従業者の仕事は、視覚障害をもつ人を対象とした外出時の「行動・移動サポート」「代筆・代読」「トイレ・食事の補助」がおもなものとなります。
同行援護従業者として働くためには、都道府県管轄の資格を取得することが必要です。まずは自治体が発表している資格要件を確認し、自分に合った講座を探してみるとよいでしょう。
引用元:
同行援護について-厚生労働省