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特集・コラム 2022-09-18

知的障害をサポートするガイドヘルパーとは? 行動擁護従事者の仕事内容と目指す方法を紹介

知的障害を持っている人にとって、日常生活を送るのは簡単なことではありません。1人では外出するのが困難な人をサポートしているのが、ガイドヘルパーの存在です。

利用者に応じて、必要な支援を行い、コミュニケーションを円滑にできるようにしています。通勤や通学など移動が必要なときに同行する重要な役割を担う存在でもあるのです。

知的障害者(児)をサポートするガイドヘルパーとは?


ガイドヘルパーによる補助の対象となるのが、知的障害者や精神障害者です。知的・精神障害をもっている方は、外出時に自力で移動をすることも困難なケースが多くなります。

そのためガイドヘルパーは同行をしながら、その支援をしなければなりません。ここでは、このガイドヘルパーに課される役割と詳細な仕事内容をみていきましょう。

行動援護従業者|知的障害者(児)や精神障害者(児)の外出支援サービスをおこなうお仕事

ガイドヘルパーに分類できる職種のひとつが「行動援護従業者」です。行動援護従事者は、知的障害などをもつ人の外出時の補助をおもな職務としています。

これらの障害をもつ人が買いものへ行く際などに同行するのは、行動援護従業者です。移動にともなう食事や排せつなどの行動においてサポートが必要となった場合、それらも行動援護従事者の仕事となります。そのため、この仕事に従事するには幅広い介護の知識が必要です。

強度行動障害従業者との違いとは?

行動援護従事者の場合、主に外出する際に問題が起きないようにサポートを行うのが役割となります。

強度行動障害従業者の場合、サポートの範囲は外出時だけに限らず、日常生活のなかで困ることのないようにサポートするのが基本です。どの場面でサポートが必要になるのかによっても、強度行動障害従業者と行動援護従事者には違いがあります。

行動援護従業者ができないこととは?

行動援護従事者は、あくまでも「余暇」をサポートするものと決められています。そのため、知的障害のある利用者が通勤や通学などの際にサポートを受けることはできません。

あくまでも余暇をサポートすることとして国が定めているため、その範囲を超えたサポートを行うことができないのです。あらかじめ行動の順番を指定して理解させることなどは、行動援護従事者の仕事になります。

ガイドヘルパー(移動介護従事者)は総称

知的障害などをもつ方を補助するガイドヘルパーとして働くうえでは、この名称が指す職種についてただしく理解しておく必要があります。そもそもガイドヘルパーは「移動介護従事者」と呼ばれ、上述した行動援護従事者はガイドヘルパーの一種です。

ガイドヘルパーに分類される職種は行動援護従事者以外にも存在することから、それらをまとめたものがガイドヘルパーと呼ばれているという認識をするとよいでしょう。このことからもわかるとおりガイドヘルパーという名称はあくまでも総称であります。

この仕事に従事したいという方は、そこに属する仕事のうち、どれが自身に向いているのかといったこともよく考えることが必要です。

同行援護従業者|視覚障害者(児)のサポートをおこなう

多くの場合、視覚障害者もまた移動時にはサポートを必要とします。このような視覚障害者向けのサポートをおこなうのが「同行援護従業者」です。この職種もまた、ガイドヘルパーのひとつに数えられます。

同行援護従業者の基本的な仕事内容は、上述した行動援護従業者とほぼ同じです。しかし視覚障害をもつ人と知的・精神障害をもつ人とでは、サポートを必要とするシーンが異なることが珍しくありません。したがって同行援護従業者として働くうえでは、視覚障害者ならではのサポートの方法を心得ておくことが求められます。

全身性障害者移動介護従業者|四肢の機能障害がある方のサポートをおこなう

「全身性障害者移動介護従事者」は、四肢に機能障害をもっている方の移動時に補助をする職種です。四肢に機能障害をもつ方は「ALS」や「筋ジストロフィー」「脳性麻痺」などの重い障害を抱えていることが多くなります。

全身性障害者移動介護従事者には、ガイドヘルパーに分類される職種のなかでもとくに高い介護スキルが求められるでしょう。四肢の機能障害をもつ方は、知的・精神障害をもつ方以上に移動中にサポートが必要となるシーンが多くなります。そのため全身性障害者移動介護従業者は、介護に関する幅広い知識をもっていなければなりません。

行動援護従業者になるにはどうすればいいの?


行動援護従事者として、知的障害者の方が安心して外出できるようにサポートしたいと考えている人もいると思います。知的障害といっても幅が広く、程度もさまざまです。

資格を取得するなど専門的な知識を必要とするケースも少なくありません。行動援護従事者になるためには、どんな資格が必要なのか研修やスクールなども含め解説していきます。

行動擁護従事者の資格要件とは?

行動援護従事者になるためには、資格の取得が必須です。資格を取得するためには、知的障害もしくは精神障害者の方に対して、直接支援業務に1年かつ180日以上の従事経験があることと定められています。

また経験がなくても研修(行動援護従事者養成研修課程修了者、もしくは強度行動障害支援者養成研修修了者)を修了した人も対象になります。

行動援護従業者養成研修を受講しよう

行動援護従業者養成研修は、基本的には短期間で受講できるものになり3日〜4日あれば十分です。

知的障害者に対してまずは理解すること。その上で基礎となる技術を学ぶ時間が10時間程度必要になります。他にも危機対応などの演習を14時間受講します。これらは行動援護従事者として、安全にサポートするために必要な知識や技術です。

行動援護従業者養成研修を受講できるおすすめスクールを紹介


行動援護従事者になるためにも、まずは研修を受けなくてはいけません。スクールが開催している講座を受講して、資格を取得する方法もあります。

サポート体制もしっかりとしていますし、これから行動援護従事者として実際に働くうえで為になることばかりです。ここではおすすめのスクールを紹介します。

未来ケアカレッジ|行動援護従業者養成研修

未来ケアカレッジは、福祉関係の多種多様な講座を開いているスクールです。こちらのスクールの行動援護従業者養成研修では、ガイドヘルパーの仕事において不可欠な知的障害をもつ人へのサポートの方法などを学ぶことができます。

こちらのスクールの講座へ参加する場合も試験はありませんが、講座の振替えはできないため、履修期間中はすべての講座に出席しなければなりません。

出典元:未来ケアカレッジ 行動援護従業者養成研修

藤仁館医療福祉カレッジ|行動援護従業者養成研修

福祉教育の名門としても知られている藤仁館医療福祉カレッジは、介護の有無に関わらず、幅広い人が受講できる専門学校です。各回の定員数は各30名になり、3日間に分けて研修を行っていきます。

一般課程を修了すると、同行援護従業者として働けるようになります。一般課程は教材費込みで31,900円になります。応用課程は20,900円で受講できます。

出典元:行動援護従業者養成研修 | プログレ総合研究所

三幸福祉カレッジ|(知的・精神障がい者)行動援護従業者養成研修

無資格から資格取得が目指せるスクールです。3日間で取得できることから、より実践的な内容を身につけ、自信をもって働きたい人にもおすすめです。

現場を熟知している講師がカリキュラムを作成しており、支援内容はもちろん、事例をもとにしています。実際に現場に出たらどんな問題が起こるのか?など、役に立つものばかりです。39,800円(税込43,780円)と、通学でも負担の少ない価格帯なのも特徴です。

出典元:三幸福祉カレッジ (知的・精神障がい者)行動援護従業者養成研修

行動擁護従事者の資格を取得するメリットとは?


行動援護従事者の資格を取得することで、あなたにとっても活躍できる範囲を広げることにもなります。

知的障害者の人が日常生活を安心して送れるようにサポートすることで、あなたにとってもやりがいを実感でき、より身近な場所で関わることもできます。行動援護従事者の資格を取得することで、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。

1. スキルアップに役立つ

介護でもっと幅広く携わりたいと考えている人は、視野を広げる機会になります。日常的に外出や介助を必要としている人にとって、安心安全な環境で暮らすためのサポートはかかせません。

近年、行動援護従事者の数は不足しているため、働き方の多様性を広げることにもなります。スキルアップのためにまずは何をしたらいいのか迷っている人にもおすすめです。

2. キャリアアップに繋がる|転職にも役立つ

行動援護従事者はニーズが高く、いろいろな介護施設で働くことができます。キャリアアップとしてはもちろん、今よりも条件のいい場所に転職したい、就職したいと考えている人にとっても、アピールポイントになります。

将来性も高く、条件のいい職場で働きたいと考えている人にも、嬉しい資格になると思います。移動型の支援事業所や、障がい者就労移行支援事業所、児童向けの放課後デイサービスなどもあります。

サービス提供責任者にも

サービス提供責任者は、研修修了者であるのはもちろん、3年以上の直接処遇経験者の人が取得できるものです。常勤のなかで1名以上必要としていること、指導や育成、管理などの仕事を行います。

利用者の訪問介護計画書を作成しながら、どんなプランで遂行していくのかを話し合っていく存在です。正社員として働く人も多く、安定的に働きやすいのも特徴です。主に訪問介護事務所などで働いています。

ガイドヘルパーのお給料はどれくらいなの?


ガイドヘルパーとして働く上で、月給や年収などの相場が気になる人もいるのではないでしょうか。障害があり1人で外出するのが難しい人や困難な人をサポートするなど、やりがいも感じられる半面、大変な部分も多い仕事です。ガイドヘルパーのお給料はどれくらいになるのか、正社員やアルバイト・パートなどの働き方の違いも含め、詳しく解説していきたいと思います。

正社員の月給・平均年収は?

ガイドヘルパーは、正社員として働く人も多い仕事です。勤める地域によっても変わりますが、18万円〜22万円の月給が一般的です。年収で見ると、年2回のボーナスなども含め250万円〜が平均年収です。資格職としてはそこまで高い給料ではないのですが、正社員は安定的に働けること、ボーナスや福利厚生などもあります。キャリアアップなども含め年収が上がっていくように資格を取得する必要があります。

アルバイト・パートの時給は?

ガイドヘルパーとしてアルバイトやパートで働くこともあると思います。この場合、時給制になり、働いた時間に応じて給料が変わります。固定給ではないので休みが多いときはその分給料が少なくなってしまいます。こちらも地域差がありますが、1,300円〜が多くキャリアを積んでいくことで時給も高くなる傾向があります。

行動援護従業者は知的障害者の外出支援をおこなうお仕事


ガイドヘルパーの一種である行動援護従事者の仕事では、知的障害者や精神障害者などのさまざまな障害をもつ人の外出支援をおこなうことが基本となります。この仕事に従事するためには所定の講習を受け、資格を取得することが必要です。まずは、自分に合った方法で資格取得を目指すことからおすすめします。

引用元
行動援護に係る報酬・基準について ≪論点等≫|厚生労働省

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