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特集・コラム 2022-09-17

同行援護とガイドヘルパーの違いとは? ガイドヘルパーの仕事内容を紹介

近年、高齢化社会が急速に普及していることで介護業界の需要が高まりつつあります。介護業界を支えるためにもガイドヘルパーや同行援護従事者の業務は必要不可欠です。

今回は、介護業界に興味がある方に向けて、ガイドヘルパーと同行援護従事者の違いや仕事内容、給料についてご紹介します。

ガイドヘルパー(移動介護従事者)と同行援護従業者の違いとは?


ガイドヘルパーは「移動介護従事者」といった正式名称で呼ばれるケースも多々あります。ここからは、ガイドヘルパーとはどんな仕事なのか、また同行援護従業者との違いは何なのかを見ていきましょう。

ガイドヘルパーは総称|障害のある方の外出を支援・介助するサービスの従事者

ガイドヘルパー(移動介護従事者)とは、身体障害、知的障害、視覚障害、聴覚障害など、さまざまな障害によって外出時の移動が困難になっている人を介助し、サポートをおこなう人のことをいいます。

ガイドヘルパーとして働くための要件は各市町村の規約によって異なっており、必ずしも養成研修を受けなければならないというわけではありません。養成研修の受講が義務付けられている市町村では、指定の研修を修了することによってガイドヘルパーの資格を取得することができます。

同行援護従業者はガイドヘルパーの中のひとつ

同行援護従業者とはガイドヘルパーのひとつであり、視覚障害者の移動をサポートする人のことを指します。

視聴障害を患っている人が外出する際に一緒に同行し、移動やその他さまざまな日常生活の行動において介助をおこなうのが仕事です。具体的には移動補助、代読・代筆、排泄・食事におけるサポートです。

ほかにはどんな種類がある?|行動援護従業者・全身性障害者移動介護従業者

ガイドヘルパーは、対象とする障がい者によって呼び名が異なります。それぞれの呼び名は以下のとおりです。

・同行援護従業者:視覚障がい者を対象
・行動援護従業者:知的障がい者・精神障がい者を対象
・全身性障害者移動介護住業者:全身性障がい者を対象

ガイドヘルパーへの興味がある方は、それぞれの呼び名によって対象者が異なることを覚えておきましょう。

同行援護従業者の仕事内容を紹介!


同行援護従業者の具体的な仕事内容、サポート例を説明していきます。

視覚障害者(児)の外出をサポート

同行援護従業者は別名「視覚障害者ガイドヘルパー」と呼ばれ、視覚障害者を対象としてサポートを実施するのが特徴です。視覚障害者は歩行や移動・外出先での行動においてさまざまな困難をきたすことが多いため、同行援護従業者は視覚障害者の移動・動作の補助や、外出先での必要な情報を提供する役割を担います。

視覚障害といっても、まったく見ることができない全盲の人から、わずかながら見える人、眼鏡で矯正している人、光は感じることができる人など、症状や視覚レベルもさまざまです。そのため、それぞれの視覚レベルに合わせた補助が必要になります。

必要な情報の代読や代筆

視覚障害者は、文字を読むこと、また文字を書くことが困難なことが多いため、同行援護従業者は必要に応じて代読や代筆などのサポートをおこないます。同行援護従業者は視覚的情報の支援全般も担うので、常に言葉で状況を説明するなど、その場に応じた臨機応変な対応が求められます。

トイレや食事などの介助

外出先で視覚障害者の方がトイレや食事の必要性が出てきた場合も、同行援護従業者がサポートする必要があります。

同行擁護以外のガイドヘルパーの仕事内容とは?


ここからは、同行擁護以外のガイドヘルパーの仕事内容について下記の2つをご紹介します。

・行動援護
・全身性障害支援

それぞれ対象者が異なり、仕事内容も異なるため、これからガイドヘルパーの就職を考えている方は違いについて確認しておきましょう。

行動援護

行動援護とは、知的・精神的障害を抱えている方を対象に安全移動の介助をおこなうガイドヘルパーのことです。

主に、外出時に必要な食事や排泄のサポート、目的地までの誘導などが仕事内容として含まれています。外出時のサポートがメインになるため、イレギュラーが起こったときの対応知識や誘導するためのコミュニケーション能力が求められます。

他にも通学や作業所に通所する際のサポートなど、障がい者の移動サポートがメインになる仕事です。

知的障害をサポートするガイドヘルパーとは? 行動擁護従事者の仕事内容と目指す方法を紹介

全身性障害支援

全身性障害支援とは、先天性脳性麻痺やALSなど四股に障害を抱えている方を対象に支援するガイドヘルパーのことです。

車いす移動の介助や歩行時に障害になる段差や階段などの位置を的確に知らせるなどの仕事内容がメインになります。他にも、外出時に必要な食事や排泄処理、代筆や代読など障がい者の身の回りに関してのサポートも仕事内容として含まれています。

同行援護従業者になるには資格が必要! 取得方法を解説


同行援護従事者について興味を持っている方に向けて、同行援護従業者になるための資格要件や学習内容、おすすめのスクールについて解説します。

同行援護従事者の資格要件とは?

同行援護従事者の資格要件は以下のとおりです。

1.同行援護従業者養成研修(一般課程)を修了した者
2.居宅介護 従業者 件を満たす者 あ 居宅介護 の従業者 要件を満たす者 で あって、視覚障害を有す身体障害者等 福祉 関 視覚障害を有す身体障害者等 の福祉 に 関 する事業(直接処遇職員に限る。)に1年以上従事した経験を有する者
3.厚生労働大臣が定める従業者(平成18年厚生労働省告示第556号)に定める国立障害者 ※1 アの要件を満たす者にあっては、同行援護従業者養成研修(一般課程及び応用課程)を修了した者と みなす(適用日から平成26年9月30日までの間) リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者又はこれに準ずる者

上記は実際に厚生労働省が発表している同行援護従事者の資格要件としての内容です。

どんな内容を学ぶの?

では、同行援護従事者の資格取得するためにはどのような内容を学ばなくてはいけないのかについて下記の2点を中心に解説します。

・一般過程|20時間
・応用過程|12時間

一般課程|20時間

一般課程で学ぶ内容は以下のとおりです。

・視覚障がい者(児)福祉の制度とサービス
・障がい,疾病の理解(1)
・障がい者(児)の心理 (1)
・代筆,代読の基礎知識
・同行援護の基礎知識
・基本技能
・応用技能

上記の内容を20時間(3日間)かけて学びます。基礎的な内容がメインになるため、簡単に学習できます。

応用課程|12時間

応用課程で学ぶ内容は以下のとおりです。

・障がい,疾病の理解(2)
・障がい者(児)の心理(2)
・場面別基本技能
・場面別応用技能
・交通機関の利用

上記の内容を12時間(2日間)かけて学びます。基本的な内容から実務的な内容まで幅広く、同行援護従事者について学習します。難しい内容も含まれているため、集中して受講しましょう。

どこで学べるの? おすすめスクールを紹介

最後に、同行援護従事者になるためにおすすめする2つのスクールについて、ご紹介します。

・未来ケアカレッジ
・三幸福祉ガレッジ

未来ケアカレッジ|同行援護従業者養成研修

未来ケアカレッジの同行援護従業者養成研修では、講師に各分野のエキスパート(視覚障がい者ガイドヘルパー・障がい者施設長・介護福祉士・看護師など)が招かれており、現場で培われたノウハウを直接学ぶことができます。

講座を欠席しなければならない場合でも、同校の別コースで振替受講が可能となっており、振替受講の授業料も無料となります。

出典元:未来ケアカレッジ 同行援護従業者養成研修

三幸福祉カレッジ|視覚障がい者同行援護従業者養成研修

三幸福祉カレッジの視覚障がい者同行援護従業者養成研修は、演習などの実体験・類似体験が豊富なカリキュラムになっているのが特徴です。

講師も、介護現場を兼任している方が務めます。なお介護職員初任者研修と同時に申し込むことで、同行援護従業者養成研修の受講料が20%割引となります。

出典元:三幸福祉カレッジ 同行援護従業者養成研修

キャリアアップにおすすめ! サービス提供責任者資格を取得するには


同行援護従事者のキャリアアップとして、サービス提供責任者資格の取得がおすすめです。サービス提供責任者資格とは、訪問介護サービスにおけるケアマネジャーやガイドヘルパーとの連係・調整を仕事内容にするコーディネーターのことです。

ガイドヘルパーとしての実務経験3年以上あればサービス提供責任者に近づけます。次に、サービス提供責任者になるために必要な資格要件についてご紹介します。

サービス提供責任者になるには資格要件を満たす必要がある

サービス提供責任者になるためには、下記の資格要件を満たす必要があります。

・介護福祉士資格を取得している
・実務者研修を終了している
・初任者研修を修了し、実務経験3年(540日)以上ある

また、旧資格を取得している場合は下記の資格要件が必要です。

・介護職員基礎研修を修了された方
・ヘルパー1級を持っている方
・ヘルパー2級を持っていて、実務経験3年(540日)以上ある方

サービス提供責任者になるからといって、新たな知識を学習する必要はありません。すでに介護士系の資格を取得していれば、サービス提供責任者の資格が取得できるため、キャリアアップとして選択してみることをおすすめします。

ガイドヘルパーはどんなところで活躍できる?


ガイドヘルパーが活躍できる場所として、特別養護老人ホームや福祉施設、訪問介護事業所です。近年、少子高齢化の影響でガイドヘルパーの人手不足が深刻化しています。

活躍場所によっては、対応する年齢や障害を抱えている方の違い、仕事内容は異なりますが、ガイドヘルパーの需要が高まっている近年であればどこに行っても重宝されます。そのため、就職先は比較的見つけやすく、即戦力として迎え入れられることでしょう。

ガイドヘルパーのお給料はどれくらい?


ガイドヘルパーを検討している方であれば気になる給料問題。ここからは、正社員やアルバイト・パートの月給・時給・平均年収について解説します。

正社員の月給・平均年収は?

正社員の月給・平均年収は以下のとおりです。

・月給:20万円前後
・平均年収:約216万円〜310万円

正社員として雇用される場合、この金額に福利厚生やボーナスなどが加算されます。資格有無によって大きく給与は異なるため、ガイドヘルパーを検討している方は資格取得も視野に行動しましょう。

アルバイト・パートの時給は?

ガイドヘルパーのアルバイト・パートの時給は、1,000〜1,800円程です。時給の場合、地域によって大きく異なります。特に、地方だと都心部よりも低めに募集されていることが多くなります。

また、ガイドヘルパーのアルバイト・パートの場合、短時間で募集されているケースが多いため、働き方を自分で選べるといった点も魅力的と言えるでしょう。

ガイドヘルパーの給料事情を紹介! 時給や平均年収はどれくらい? ガイドヘルパーの仕事とは?

ガイドヘルパーに向いている人とは?


最後に、ガイドヘルパーに向いている人の特徴を3つご紹介します。

1.柔軟性があり臨機応変に対応できる人
2.コミュニケーションスキルが高い人
3.方向感覚に自信のある人

順番に見ていきましょう。

1. 柔軟性があり臨機応変に対応できる人

柔軟性があり緊急事態にも臨機応変に対応できる人は、ガイドヘルパーに向いています。なぜなら、ガイドヘルパーの仕事は予期していないことが連続で起こるからです。

利用者からの要望や外出時の問題などは、臨機応変に対応できないと大きな問題を引き起こします。そういった時に、臨機応変に対応でき、最善の解決策を導き出せる人はガイドヘルパーに向いていると言えるでしょう。

2. コミュニケーションスキルが高い人

コミュニケーションスキルが高い人もガイドヘルパーに向いています。なぜなら、障害を抱えている方にとって言葉以外の表情や仕草、文章で伝えるなどのコミュニケーションスキルが重要視されるからです。

また、マンツーマンで介助をおこなうため、状況に合わせて困っていることや伝えたいことを聞き出す必要があります。信頼関係を築いていくためにも、コミュニケーションスキルは必要になるでしょう。

3. 方向感覚に自信のある人

方向感覚に自信のある人もガイドヘルパーとして向いています。なぜなら、ガイドヘルパーの仕事は利用者の外出サポートをおこなうからです。

そのため、利用者を迷子にさせないことや移動をそつなくサポートできる人が求められます。また、交通手段の選択方法によって利用者の予算が異なります。最善のルートで利用者を案内できる知識や方向感覚に自信のある方は、ガイドヘルパーの職業がおすすめです。

同行援護従業者は視覚障害者の外出をサポートするお仕事!


同行援護従業者の仕事内容や、資格取得方法についてご紹介しました。同じガイドヘルパーでも、身体障害者、視覚障害者、知的・精神障害者など対象によってガイドの仕方や仕事の取り組み方はそれぞれ異なるので、自身はどの障害者を対象にしたヘルパーの仕事をしたいのかをまず考えてみましょう。

ガイドヘルパーよりも上位の仕事として、サービス提供責任者もあります。まずはガイドヘルパーから始めて、そこからキャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。

引用元サイト
厚生労働省 障害者等の移動の支援について
厚生労働省 6 同行援護について
千葉県 障害福祉サービス従業者養成研修
千葉県 同行援護の従業者等の資格要件について
神奈川県 ガイドヘルパー養成研修事業認定要綱

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