【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.21】United Performance 荒井進之介さんがスポーツトレーナーになったきっかけ
ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。
今回は、アスリートのフィジカルトレーナーとして活躍しているUnited Performance代表 荒井進之介さんにインタビュー。荒井さんがスポーツトレーナーを目指したきっかけや、現在の働き方についてお伺いしました。
教えてくれたのは…
スポーツトレーナー 荒井進之介さん
早稲田大学・同大学院にてスポーツ科学を学び、在学中にアメフト部やテニス部などのトレーナーとして活躍。大学院卒業後は東京リゾート&スポーツ専門学校にて教員を2年務める。2014年、スポーツ現場に戻るため独立し、理想のスポーツ村建設を目指して「United Performance」を設立。有名海外フットボールアカデミーのコーチ兼トレーナー、大学バスケットボール部トレーナー、出張パーソナルトレーナーなど多くの現場で活躍中。
「ゼロをプラスにする」フィジカルトレーナーへ
―最初に、荒井さんがスポーツトレーナーを目指したきっかけを教えてください。
小・中・高とサッカーをしてきて、幼心にJリーガーになりたいと思っていました。でも、自分の実力が客観的に見えるようになるにつれ、厳しいなと思い始めて。そんなときに、たまたま見ていたJリーグの試合で、怪我をした選手を担架で運んでいる人を見て「かっこいいな」と思ったんです。
今思えば、その人はボランティアとか学生さんだったと思うんですけど(笑)、そういう関わり方があるんだと気づくきっかけになりました。それで、高校1年のときには、スポーツ系の学部のある大学に行こうと決めていましたね。
―最初はメディカル系のスポーツトレーナーをイメージしていたんですね。
そうですね。トレーナーと言うとテーピングとかリハビリをしているイメージが強かったので、僕も最初はそういう人になりたかったです。
でも、トレーナーの勉強をし始めて、実際に実習などでスポーツ現場に出てみると、メディカル系より身体を鍛えるフィジカル系のトレーナーのほうが、自分の性格ややりたいことに合っているんじゃないかと感じたんですよね。
いわゆるアスレチックリハビリテーションって、怪我をした選手を現場に戻す、マイナスの状態からゼロにする仕事です。でも僕が取り組んでいる分野は、ゼロの状態をプラスに持っていくイメージ。自分が関わることで、選手が試合で活躍できたり、パフォーマンスを発揮できたりすることが、僕はうれしいなと思ったので、フィジカルトレーナーになることにしました。
なので、学生時代はフィジカルメインの勉強をしました。並行して、大学生のときはアメフトのチーム、大学院時代は社会人アメフトチームやテニス、剣道など、いろいろなスポーツチームやアスリートの体作りに携わらせていただきました。
―卒業後は?
スポーツトレーナーを養成する専門学校に入社して、教員として2年間勤めました。その後、独立して今のスタイルになりました。
スポーツトレーナーの認知と価値を上げるため独立
―では、独立の経緯を教えてください。
簡単にまとめると、スポーツトレーナーの認知や価値を上げたいと思ったことがきっかけです。それを体現する場として、スポーツの複合施設を作れないかなと思ったんです。
日本でのトレーナーの認知や価値は、まだまだ低いと僕は感じています。リハビリはこの人、身体を鍛えるのはこの人…っていう感じで、仕事が分化されてしまっているのが、良くも悪くも日本の現状だと思うんです。それが、僕はあまり好きじゃないというか。
トレーナーの最先端の地でもあるアメリカでは、それぞれのスペシャリストがいるなかでも、重なり合っている部分があるんですよね。ジムやリハビリ施設などが揃った複合施設があって、そこにいろんなスペシャリストがいて、連携してアスリートを支えている。そういうのが、日本でもできないかなと思って、United Performanceを設立しました。
―現在は、どんなかたちでお仕事をされていますか?
僕の場合は、アスリートやプロを目指している学生など、高いレベルでスポーツをしたいという方々を対象に、フィジカルトレーニングの指導をしています。複数のスポーツチームと契約をして、曜日ごとにチームに行く感じですね。
あとは、以前働いていた専門学校で講師をしたり、オンライン上でコミュニティを作ったりという教育活動もさせていただいています。
小学生~大学生のチームに行くことも多いので、トレーニング指導は、夕方以降になることがほとんど。なので、日中は事務的な作業や取材対応などをすることが多いですね。
トレーニング場所は、その日のトレーニング内容によって変わります。筋力トレーニングがメインのときはウエイトルームなど、より実践に近いトレーニングのときは競技のグラウンドで行います。
次回は、荒井さんがお仕事をするうえで大切にしていること、これからスポーツトレーナーを目指す人たちへのアドバイスをお伺いします。
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取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代