納得がいくケアプランを作るために、利用者の気持ちに心のチューニングを合わせます 介護リレーインタビュー Vol.8 【主任ケアマネジャー・下地由美子さん】#1
介護業界における職種や仕事内容について詳しくご紹介するべく、実際に介護現場で働く方々にインタビューする連載企画。
今回は訪問介護事業や通所介護事業から介護コンサルタント事業まで、幅広く事業を展開している「有限会社マルシモ」で、主任ケアマネジャーを務めている下地由美子さんにインタビュー。前編では介護業界に進むきっかけやケアマネジャーとして働く上で必要なスキルのお話をご紹介。後編では介護業界で働いていて苦労したことや、今後の展望などをお伝えします!
《プロフィール》
下地由美子さん…短期大学では社会福祉を専攻。卒業後は有料の老人ホームに就職し、8年後に在宅介護サービスの会社に転職し現場でヘルパーとして働く。1年半後ケアマネジャーの資格を取得しケアマネジャーとして働く。4年間勤めた後、そこで知り合った同僚の方と「有限会社マルシモ」を起業。ヘルパーの事務所を開設し、1年後居宅支援事業所を開設。
介護業界に入ったきっかけ
自分が出来そうな仕事を探した結果、介護業界に進むことに!
―介護業界に入ったきっかけを教えてください。
子どもの頃に本やテレビの影響から、人に喜んでいただく仕事に就きたいと思っていたことがきっかけです。漠然としたイメージを持ちながら、高校生になり職業選択について考えた時、私は理数系があまり得意ではなかったので、医療職は務まらないのではないかと諦めました。事務作業も当時の私にはあまり向いていないと事務職への道には進まず、成果を上げるために人と競争する仕事も自分には合っていないと思いました。そんな私に務まる仕事はないかと探していた時に、介護業界に目が留まったんです。私はのんびりとした生活を送ることが好きで、当時、ご年配の方のライフスタイルとの共通点があることから、仕事をこなしている自分のイメージがつき介護業界に進むことを決めました。
社会福祉専攻の短期大学に進学し、自主的に老人ホームを見学したり、ボランティア活動に参加したりといった経験を経て、自分が将来やっていけそうな有料の老人ホームに就職したんです。
―まずは老人ホームに介護スタッフとして就職されたのですね。
多感な時期だったので、利用者1人1人の個性を大切にする老人ホームを探し、20歳の時に有料の老人ホームに就職しました。利用者の方の個性を大切にされるところで、私の理想通りの仕事が出来て良かったです。
―理想通りの介護職に就いている中、ケアマネジャーに就かれたきっかけを教えてください。
在宅介護のヘルパーとして働いている時に、同僚に「介護制度が始まりケアマネと言う資格ができるらしい」と聞いて自分のキャリアを生かし新しい資格や業務にチャレンジしたいと思い、試験を受け一期生でケアマネとしてそのまま同在宅介護サービスの会社で働きました。
ケアマネジャーの仕事内容
要介護者の方から受けた相談や意向をもとにケアプランを作成
《ある一日の仕事の流れ》
「マルシモ」ではフレックスタイム制を導入していて、コアタイムを11時から15時まで設けています。私は電車なので通勤ラッシュを避け9時30分に出社することが多いです。
―下地さんの仕事内容を教えてください。
要介護者の方から受けた相談や意向をもとに各専門職と協働してケアプランを作成します。
利用者とご本人のご家族から同意を得てサービスを提供した後、毎月モニタリング訪問で状況や意向を確認し各機関と連絡調整していきます。時には医療機関や他の事務所やデイサービス施設にも足を運びます。
他には事務所内で書類を整理したりパソコンで事務作業を行なったりしています。主な仕事は相談援助業務。イレギュラーな事態には現場に出向くことも多々あります。
書くこと、話すこと、歩くことが多いので、『筆まめ』『足まめ』『口まめ』ができるって同業者内で話すこともありますね(笑)。
―ケアマネジャーの業務を行う上で必要な能力を下地さんの見解でお聞かせください。
要介護者の方で困っていることに対して要因や背景などを探っていく必要があります。要介護者の方の言動だけでなく言葉に言い表せない本当に困っていることを心に寄り添いながら、客観的にも分析します。言動から暮らしぶりを推し量るために直感を働かせることもありますね。
今までやったことがないことに挑戦する機会も多いのでチャレンジする力、失敗を多く経験すると思うので、物事をポジティブに考える思考も重要だと思います。それからITが加速して次々に業務の利便性を図ったICT・IOT関連の機器が普及していくので、それらを使いこなすこともこの先重要になってくると思います。
ケアマネジャーの魅力
―どんな時にやりがいを感じますか?
要介護者の方に「あなたで良かったわ」って言われることが一番嬉しいし、やりがいを感じます。ケアマネジャーは現場で働く人たちが一番輝くように調整をする役柄、いわゆる『黒子』でいいんです。そんな『黒子』でも現場を調整していくと、「あなたのおかげで良いチームが組めて良かったわ」って言っていただくとケアマネジャーをやっていて良かったと嬉しく思いますね。要介護者の方に「あなたがケアプランを作って提案してくれたこと、あなたがプランを紹介してくれたことがとっても良かった」と言われたり、チームとして一緒に働いているお医者様や医療職、介護職の方々からも様々な相談を受け、「私は専門家の方に認められた」と実感できた時もやりがいを感じます。ほかに私の今までの経験から、「この利用者の方とこのヘルパーの方に人柄は合いそうだな」って人との相性を自分で考え、一緒に現場に向かう瞬間も楽しいです(笑)。
―下地さんが働く上で大切にしていることをお聞きかせください。
自己満足で仕事をしないことです。自己満足で仕事をしていくと、最終的には仲間から頼られなくなってしまうこともあるんです。苦しいこともありますが、皆で楽しいって共有できることを楽しみに感じるようにしていくことを大切にしています。
ケアプランの作成や介護現場への連絡といったケアマネジャーの仕事をこなしている下地さん。利用者の方の人柄や相手の価値観や気持ちに心のチューニングを合わせるというお話は、取材中にも感じ取れました。次回は、そんな下地さんにケアマネジャーとして働いて楽しかったことや辛かったことを掘り下げてお伺いします。
▽後編はこちら▽
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