管理薬剤師は副業できる?認められるケースや気をつけたいことを紹介

毎日の薬局業務や管理業務に追われる管理薬剤師の中には、「収入を増やしたい」「様々な経験をしてみたい」と考える方も少なくありません。しかし、管理薬剤師は薬局の運営や薬事に関する責任が重いため、副業に関しては原則禁止となっています。

本記事では、管理薬剤師の副業が原則禁止である理由や、例外的に許可されるケース、さらに副業を行う際に気をつけたいポイントについて詳しく解説します。また、一般薬剤師や公務員薬剤師との違いも紹介し、管理薬剤師としてのキャリアを考えるうえで知っておきたい情報を整理しています。

管理薬剤師は原則副業できない

管理薬剤師が副業を考える際に最も重要となるのが、法令上の制限です。管理薬剤師は薬局における医薬品の適正管理や安全確保の責任を担う立場であり、その業務は一般の勤務薬剤師とは位置づけが異なります。そのため、副業についても同じ薬剤師であっても扱いが変わります。

この根拠となるのが、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の規定です。同法では、薬局の管理者について次のように定められています。

4 薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項及び第三項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。

引用元
e-Gov 法令検索|医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

管理薬剤師は薬局の管理体制を維持し、医薬品の保管状況、調剤体制、法令遵守などを継続的に確認する責任があります。そのため、他の場所で継続的に業務を行うことは、管理責任の遂行に支障を及ぼす可能性があるとして、法律上このような制限が設けられています。

つまり、管理薬剤師は勤務先の就業規則以前に、法令上の立場として副業に厳しい制約がある職種です。副収入を得たいと考えた場合でも、まずはこの原則を理解したうえで判断する必要があります。

管理薬剤師の副業が認められるケースとは?

前述のとおり、管理薬剤師は原則として他の場所で薬事に関する実務に従事することはできません。しかし、条文にはただし書きが設けられており、例外的に副業にあたる業務が認められる可能性もあります。

該当条文では、「その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない」と規定されています。つまり、管理薬剤師であっても、無条件に一切の兼業が禁止されているわけではなく、行政の許可を前提として例外が認められる仕組みです。

この許可制度は、地域医療体制の維持など、やむを得ない事情がある場合を想定したものとされています。薬局の管理に支障が生じないことが前提であり、管理薬剤師としての本来の責務を果たせる体制が確保されているかどうかが重要な判断要素になります。そのため、勤務時間や業務内容、頻度などが厳しく確認されることが一般的です。

また、許可の可否は一律ではなく、各自治体の判断に委ねられます。同じ内容の業務であっても、地域の医療提供体制や薬局の状況によって判断が異なる可能性があるため、「他の人がやっているから大丈夫」とは言えません。必ず事前に所管の自治体へ相談し、正式な手続きを踏むことが必要です。

引用元
厚生労働省|薬生総発 0320 第3号 平 成 3 1 年 3 月 2 0 日 都 道 府 県 各 保健所設置市 衛生主管部

一般薬剤師は副業できる?

一般の薬剤師には薬機法上の一律な兼業禁止規定はありませんが、副業の可否は主に勤務先の就業規則や雇用契約によって判断されます。また、公務員として勤務する薬剤師は別の法令の制限を受けるため、同じ薬剤師でも状況によって扱いが異なります。

ここからは、管理薬剤師ではない一般薬剤師の副業について見ていきましょう。

一般の薬剤師は副業できる

一般の薬剤師は、副業禁止の法的規制がないため、原則として副業が可能です。近年は働き方の多様化が進み、兼業や副業を認める方向にあることも多く、制度上は副業に取り組みやすい環境になっています。

ただし、実際に副業を行う場合は勤務先の就業規則や雇用契約を確認することが重要です。就業規則で副業を禁止している場合や許可制になっている場合は、これに従わなければ懲戒処分の対象になる可能性があります。また、副業が本業に支障を及ぼさないよう、勤務時間や業務内容を調整することも必要です。

つまり、一般薬剤師は副業の法的制約は少ないものの、職場のルールや勤務条件を確認したうえで計画的に行うことが推奨されます。

引用元
厚生労働省|モデル就業規則の改定案(副業・兼業部分)

公務員薬剤師は原則副業不可

一般薬剤師であっても、公務員として勤務する薬剤師は副業に関して厳しい制限があります。国家公務員法には、以下のような規定があります。

第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

引用元
e-Gov 法令検索|国家公務員法

また、地方公務員法でも以下の規定があります。

第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。

引用元
e-Gov 法令検索|地方公務員法

このように、公務員薬剤師は原則として副業が認められません。副業を検討する場合は、自身が民間勤務か公務員かによって適用されるルールが変わることを正しく理解しておくことが重要です。

管理薬剤師が副業する際に気をつけたいこととは?

管理薬剤師が例外的に許可を得て副業を行う場合でも、注意すべきポイントがあります。本業に支障をきたさないことや、法令や勤務規則を守ることはもちろん、税金や扶養などの生活面にも影響が出る可能性があるため、計画的に行うことが求められます。

ここからは、管理薬剤師が副業を検討する際に気をつけたい点を見ていきましょう。

1. 本業に支障が出ないようにする

管理薬剤師の本業は、薬局の運営管理や薬事に関する責任を果たすことです。副業を行う場合でも、あくまで本業が最優先であることを意識する必要があります。

副業によって勤務中の集中力が低下したり、体調を崩したりすると、薬局の管理や薬剤の安全確保に影響が出る恐れがあります。そのため、副業の内容や時間配分は慎重に検討し、本業に支障が出ない範囲で行うことが重要です。

2. 本業の勤務日・勤務時間に副業しない

管理薬剤師として保健所に届け出ている勤務日や勤務時間には、副業を行わないことが基本です。また、本業の勤務日に有給を取得して副業をすることも原則として避けるべきです。

副業は必ず登録されている勤務日や勤務時間の外で行い、本業の責任や管理体制に影響が出ないようにすしましょう。このルールを守ることで、法令違反や勤務先とのトラブルを防ぎながら副業に取り組むことができます。

3. 扶養から外れる可能性がある

家族の扶養に入って働いている場合、副業によって収入が増えると扶養から外れる可能性があります。扶養から外れると、健康保険や年金の保険料を自分で負担する必要が出てきます。

とくに副業の収入が一定額を超えると、給与からの天引きだけではなく、追加で保険料や税金を納める必要が生じるケースも。そのため、副業を始める前には、収入額が扶養や保険制度にどのような影響を与えるかを確認し、必要に応じて家族や税務署、年金事務所に相談しましょう。

引用元
国税庁|令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
日本年金機構|従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き

4. 確定申告が必要になることがある

給与所得者が副業で年間20万円を超える収入を得た場合、確定申告を行う必要があります。副業収入がこの金額を超えると、給与からの源泉徴収だけでは税金の精算が完了せず、自分で申告して納税しなければいけません。

また、副業の種類によっては経費の計上や所得区分の判断も必要となるため、事前に税務署の情報を確認したり、専門家に相談したりすることが望ましいです。

引用元
国税庁|申告が必要かなどを調べる

管理薬剤師の副業は原則禁止

管理薬剤師の副業は原則として禁止されており、法令や勤務先の規則により厳しく制限されています。ただし、都道府県知事の許可を受けた場合に限り、例外的に副業が認められることもあります。しかし、許可を得られるケースは限定的であり、本業の責任を優先しながら行うことが前提です。

許可を得られたとしても、副業が本業に支障が出ないよう注意することや勤務時間外で行うこと、扶養や税金への影響を確認すること、必要に応じて確定申告を行うことなど、複数のポイントに気をつける必要があります。

管理薬剤師としての責任や法令上の制約を考えると、副業だけで収入やキャリアの不安を解消するのは難しい場合があります。その場合は、より条件の良い職場への転職を検討することも有効です。

希望する働き方や収入に合わせた転職を検討する場合は、薬剤師専門の転職エージェント「ファーマキャリア」に相談してみてください。自分に合った職場や条件を見つけやすくなるでしょう。


監修者

この記事の監修者

森正弘
薬剤師専任キャリアアドバイザー
社内MVP受賞

【経歴・実績】
・北海道大学大学院(修士)修了 / 元大手インフラ企業 研究職
・社内受注金額MVP / 成約率41%の実績

【プロフィール】
理系院卒の深い理解と論理的交渉で、週休3日や高年収など他社が敬遠する難条件も実現。
深層心理まで掘り下げ、客観的な利点と欠点を提示します。意見を押し付けず、最終的にはご本人の意思決定を最優先に尊重します。

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