薬剤師が海外で働くには?就労に必要なものや働くメリット、違いを紹介

毎日の業務やキャリア形成を考える中で、「海外で薬剤師として働いてみたい」と考える方もいるでしょう。しかし、海外で働くには現地の薬剤師免許や語学力、就労ビザなど、さまざまな準備が必要です。

そこで本記事では、薬剤師が海外で働く方法やメリット、日本との働き方の違いを解説し、海外勤務を目指すためのポイントを紹介します。これからのキャリアの選択肢を広げる参考として、ぜひご覧ください。

薬剤師が海外で働く方法とは?

薬剤師として海外で働くには、日本国内とは異なる複数のアプローチがあります。しかし、基本的には、日本の薬剤師免許だけでは海外の薬局や病院で薬剤師として就労できないケースがほとんどです。そのため、対象国での資格取得や特別な試験合格、さらにビザの取得などが必要になります。

以下では代表的な方法を詳しく見ていきましょう。

1. 現地の大学などで薬学を学んで資格を取得する

海外で薬剤師として働く代表的な方法のひとつが、現地の大学や専門学校で薬学を学び、その国の薬剤師資格を取得することです。たとえば、アメリカではPharm.D.が薬剤師としての専門資格にあたります。

この方法のメリットは、現地の資格を取得することで、卒業後すぐに薬局や病院での就労が可能になる点です。国によっては、大学で学んだ単位や実務経験がそのまま資格試験の受験資格に直結するため、効率的にキャリアを築くことができます。

ただし、学費や生活費、語学力のハードルがあるため、事前の準備や計画が重要です。また、医療制度や薬事法規が国ごとに異なるため、学習内容が現地の実務に直結しているかを確認することも大切です。

引用元
College of Pharmacy|Pharm.D. Curriculum
School of Pharmacy|Curriculum

2. 外国人対象の試験を受験し合格する

海外で薬剤師として働くもう一つの方法は、外国人向けに設けられた薬剤師資格試験を受験し、合格することです。

たとえばアメリカでは、外国で薬学教育を受けた薬剤師が現地で就労するために、FPGEEという試験があります。FPGEEは、薬学知識や臨床判断能力を測る国家資格試験で、合格後にアメリカの薬剤師免許受験資格を得ることができます。

外国人薬剤師はこの試験に合格することで、アメリカの薬局や病院で薬剤師として働く道が開けるため、現地の大学に通わずとも海外就労が可能となる点が特徴です。

ただし、試験合格後も各州の規制に基づくライセンス取得や、就労ビザの申請が必要になるため、全体の準備は数年かかることもあります。

引用元
NABP|FPGEE Exam | FPGEE Requirements
NABP|Foreign Pharmacy Certification - FPGEC

3. 海外ボランティアに参加する

医療活動を行うボランティア団体には、世界中に活動を展開しているところもあるため、そういったボランティアに参加すると、海外で活躍できます。

代表例として、国境なき医師団や青年海外協力隊があります。国境なき医師団では、緊急医療支援が必要な地域に薬剤師を派遣しており、医薬品管理や治療薬の調達・分配、現地医療スタッフへの指導など、専門的な業務に携わることが可能です。

青年海外協力隊でも薬剤師として参加でき、途上国での保健医療活動や薬剤指導、教育支援などに従事します。

ボランティア経験は、単なる医療支援だけでなく、異文化理解や国際的なチームでのコミュニケーション能力の向上にもつながります。海外で働く準備段階として、現地の医療環境や薬学知識を実践的に学べる点が大きなメリットです。

引用元
国境なき医師団|薬剤師 | 募集職種
JICA海外協力隊|要請情報概要|【一般案件】

4. 海外赴任の多い企業に就職する

グローバル展開している企業や海外赴任の多い企業に就職するのも、薬剤師が海外で働く方法です。製薬会社や医療関連企業では、本社や海外拠点での勤務のために、一定期間ごとに海外赴任の制度が設けられている場合があります。こうした企業に就職することで、海外での勤務経験を積みつつ、キャリアを構築することが可能です。

ただし、企業の海外勤務は多くの場合、現場での薬剤師業務ではなく、オフィスワークや管理業務が中心になる点には注意が必要です。

現地の薬局で直接患者に接するような調剤業務や服薬指導は少ないことが多く、海外での臨床経験を重視する場合には適していないといえるでしょう。

薬剤師が海外で働くために必要なものとは?

海外で薬剤師として働くためには、単に薬学の知識があるだけでは不十分です。各国で求められる資格や許可、語学力など、いくつかの条件を満たす必要があります。

国によって必要な書類や手続きは異なりますが、共通して重要なのは「現地で合法的に働くための就労ビザ」「その国の薬剤師免許」「実務対応が可能な語学力」の3点です。

ここからは、薬剤師が海外で就労する際に必ず確認しておきたい、代表的な3つの要素について見ていきましょう。

1. 就労ビザ

薬剤師に限らず、海外で働くためには現地の就労ビザの取得が必須です。就労ビザとは、外国人が報酬を得て働くことを目的に発行される在留資格のことで、観光や留学用のビザでは就労できません。

ビザの種類や取得条件は国によって異なり、一定以上の報酬や雇用先の条件が課される場合もあります。なお、ビザ発給には数カ月かかる場合もあるため、働きたい国が決まったら、あらかじめ現地の大使館や領事館の公式情報を確認し、必要な手続きを早めに進めることが重要です。

2. 現地の薬剤師免許

前項で紹介したように、海外で薬剤師として働くには、現地の大学などで薬学を学びその国の資格を取得しなければいけません。国によっては、大学での成績や実務経験の証明、試験の受験など、さまざまな条件が課されることもあるようです。

現地の薬剤師免許取得は、海外就労の前提条件であり、このステップをクリアしない限り正式な業務は行えません。取得までには数年かかる場合もあるため、十分な準備期間を確保し、計画的に手続きを進めることが重要です。

3. 語学力

現地の言語で業務が行えるレベルの語学力も重要です。特に英語圏で働く場合、たとえばアメリカでのFPGEEの受験資格として、TOEFL iBTなどの英語能力試験の合格が求められます。

TOEFL iBTの結果は公式スコアレポートとして提出する必要があり、自己申告やオンライン提出のみでは認められません。また、医療現場での円滑な業務や患者とのコミュニケーションのため、語学力は資格取得だけでなく、日常業務で実践的に使えるレベルが求められます。

引用元
FPGEE|Section 4 | Achieve TOEFL iBT Requirement

薬剤師が海外で働くメリットとは?

海外での勤務は、日本国内での経験とは異なる学びや利点が多くあります。

まず、キャリアアップにつながる点です。次に、収入面のメリットがあります。国や地域によっては日本より高い給与水準が期待でき、将来的な生活設計にも有利です。さらに、語学力やコミュニケーション能力を実践的に磨くことができ、国際的な環境で働く力を養うことも可能です。

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

1. キャリアアップに繋がる

海外で薬剤師として働くと、キャリアの幅を広げることができます。異なる医療制度や薬剤管理の仕組みに触れることで、薬剤師としての専門知識や実務経験が深まり、日本国内での経験だけでは得られないスキルを習得できるでしょう。

また、国際的な環境での勤務経験は、外資系製薬企業や国際的な医療機関への転職の際にも評価されやすく、キャリアアップに直結します。さらに、現地のチームでの協働や多職種との連携を通じて、リーダーシップやチームマネジメント能力も自然に身につくでしょう。

2. 収入を増やせる可能性がある

給与面にも、大きなメリットがあるといえます。国や地域によっては、日本より高い給与水準が期待できる場合があります。

たとえば、カナダの薬剤師給与は、現地の求人情報や統計を見ると、州や都市ごとに違いはあるものの、日本の平均と比べて高い傾向があることが報告されています。これは各国の医療制度や人材需要の差によるものです。

また、海外での勤務経験があると、昇進や専門性の高い職務へのキャリアパスにもつながりやすく、長期的に見て収入アップにつながる可能性もあります。

3. 語学やコミュニケーションを学べる

海外での就労は、語学力やコミュニケーション能力を実践的に学べます。現地の医療現場では、医師や看護師、患者とのコミュニケーションが日常業務の一部であり、単なる語学学習だけでは得られない実践的なスキルを身につけることが可能です。

また、異なる文化や価値観を持つ人々と協働することで、単なる語学力にとどまらず、国際的なコミュニケーション能力や柔軟な対応力も養われるでしょう。

日本の薬剤師と海外の薬剤師の違いとは?

国によって薬剤師の業務範囲や権限は大きく異なり、日本での経験だけでは理解できない点も多くあります。ここからは、日本の薬剤師と海外の薬剤師の違いについて見ていきましょう。

1. 業務範囲

日本の薬剤師は、主に調剤、服薬指導、薬品の発注管理などを中心に業務を行います。処方箋に基づく調剤や服薬指導はもちろん、薬局内の在庫管理や薬歴管理など、幅広い業務を担当しています。

一方、海外では国によって薬剤師の業務範囲が異なり、専門的な職務以外の業務は他の職種が担うこともあるようです。

たとえば、アメリカなどではファーマシーテクニシャンという非薬剤師スタッフを配置し、調剤補助や薬品管理などの業務を担当させることで、薬剤師はより専門的な業務に集中できる体制が整っています。

引用元
U.S. Bureau of Labor StatisticsPharmacy Technicians : Occupational Outlook Handbook
Health Careers|Pharmacy technician
公益社団法人 日本薬学会|カナダで薬剤師

2. 権限

日本の薬剤師は、医師の処方に従って調剤や服薬指導を行うことが基本です。処方権を持たず、患者の治療方針を独自に決定することはできません。一方、海外では薬剤師が独自に処方や治療調整を行える権限を持つ場合があります。

たとえば、アメリカのCDTMでは、薬剤師が処方権を持って調整を行うこともあるようです。権限の違いは、薬剤師の業務内容や責任範囲、日常の意思決定に大きく影響します。

引用元
CDC|Collaborative Drug Therapy Management - HEART DISEASE AND STROKE BEST PRACTICES CLEARINGHOUSE
AMCP|AMCP Position on Collaborative Drug Therapy Management

海外での就労はグローバルなキャリア構築に役立つ

海外での勤務は、現地の薬剤師免許取得や就労ビザ、語学力の習得など準備が必要でハードルは高いですが、その分得られる経験やスキルは大きく、薬剤師としての専門性を深めるチャンスとなります。異なる医療制度での実務経験や国際的なコミュニケーション力を身につけることで、将来のキャリアの幅を広げることができます。

さらに、海外での経験はキャリアアップや収入面のメリットにもつながり、グローバルな環境で働く力を養うことが可能です。

海外での就労を考える際は、薬剤師向けエージェント「ファーマキャリア」に相談し、資格取得や生活面のサポートについて具体的な情報を得ることが安心につながるでしょう。


監修者

この記事の監修者

森正弘
薬剤師専任キャリアアドバイザー
社内MVP受賞

【経歴・実績】
・北海道大学大学院(修士)修了 / 元大手インフラ企業 研究職
・社内受注金額MVP / 成約率41%の実績

【プロフィール】
理系院卒の深い理解と論理的交渉で、週休3日や高年収など他社が敬遠する難条件も実現。
深層心理まで掘り下げ、客観的な利点と欠点を提示します。意見を押し付けず、最終的にはご本人の意思決定を最優先に尊重します。

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