数字と向き合えば自分の強みがわかる。YouTuberと美容師の本質は変わらない「わがブスチャンネル」
自虐ネタや、ブラックユーモアで美容業界をちくりと刺す動画が人気になり、チャンネル登録者数が1.9万人を突破したYouTubeチャンネル「わがブスチャンネル」。
前編では、チャンネル開設2カ月での炎上を経て見えてきた方向性や、チャンネル登録者数を増やすための戦略について伺いました。YouTubeをはじめたきっかけについて聞くと、臆することなく「収入の柱を増やすため」と答えた3人。その行動の根底にあるのは、地方の美容師としての現実をしっかりと見据え、堅実に努力を重ねる姿でした。
後編ではYouTubeによる反響と、これから目指したい未来を伺います。認知度があがり取材が増えているという3人。また「わがブスチャンネル」が展開するファッションブランド「新世界」のグッズ販売も好評とのことです。ここまでの道のりを振り返っていただくと、YouTubeと美容師の本質は変わらないという3人。数字と向き合えば自分の強みが見えてくるといいます。
今回お話を伺ったのは…
わがブスチャンネル
美容専門学校の同級生であるやす(左)、とっちー(中央)、ヘコ(右)の3人からなる新潟在住の美容師3人組YouTuber。美容師の日常を切り取ったあるあるネタや、美容業界の裏側に迫る内容で人気を博し、チャンネル登録者数は現在1.9万人。
YouTubeチャンネル:わがブスチャンネル(新世界)
Instagram:@wagabusuch
ファッションブランド「新世界」インスタグラム:@shinsekai_wbofficial
美容師とYouTuberは変わらない!?数字は強みを教えてくれるツール
————美容師とYouTuberを3年間続け、週に1回から2回の動画を出し続けるのは、大変なことも多かったと思います。続けられた理由は?
とっちーさん:3年間続けても登録者数が100名しかいないとかだったら辛いと思いますが、登録者が増えてファンの方との交流も心の支えになっていますし、手ごたえがあるので続けられています。正直登録者数を増やすより、スタイリストになるほうが大変だと思いますね(笑)。アシスタントやって、モデルさんよんで練習して、先輩に怒られて…。それを乗り越えられた人なら絶対にYouTubeもできると私は思います。
やすさん:YouTubeと美容師の仕事って本質的には変わらないと思いますね。YouTubeは登録者数、再生回数、再生時間。美容師は客数、売上、客単価、店販って、どちらも数字で結果が出るシビアな世界です。でも数字はちゃんと向き合えば自分の強みを教えてくれるツールでもあると思うんですよね。どちらも数字とにらめっこしながらトライアンドエラーを繰り返していけば、絶対に成果につながっていくと思います。
ファッションブランド「新世界」の立ち上げでさらなる認知度アップ!
————YouTubeを始めたことによって、どのような変化がありましたか?
やすさん:この取材のように、話を聞きたいと言っていただくことが増えました。先日はTBSラジオさんに呼んでいただいて、美容師とYouTuberの両立についてお話させていただいたんです。そしてそのラジオをたまたま雑誌「美容の経営プラン」の編集者の方が聞いていてくださって、連載のお話をいただきました。僕たちのあるあるネタを文字に起こしている連載です。YouTubeを通して認知が広がっていけばいいなと思っていたので、うれしいですね。
あとはファンの方が増えて、ファンレターを送っていただいたり、生配信では交流が生まれたりもしています。本当にありがたいなと思っています。
————Tシャツなどのオリジナルグッズも作られているそうですね。これはどなたがデザインをしたんですか?
とっちーさん:実はリスナーの方が書いてくださったものなんです。YouTubeをやることだけが目的というわけではなく、いろいろな活動をしたいと思っていたので、その1つと言う感じです。元々ファッションが好きなので、オリジナルグッズというよりファッションブランド「新世界」として広めていきたいなと考えています。
やすさん:先日第二弾のTシャツが販売されておかげさまで好評です。今回のTシャツは、僕を担当してくれている彫師さんがデザインをしてくれました。
切り開きたいのは、美容が生きがいではなくても美容師が胸を張れる道
————今後、YouTubeがますます発展していったとき、美容師との仕事の割合はどうしたいと考えていますか?
ヘコさん:僕は美容師という仕事の技術職の部分が好きだし、美容師の仕事は続けて売上や集客をあげていきたい気持ちはあります。
とっちーさん:私は正直にいうと、やっていることの楽しさでいえば動画編集のほうが上なんです。でもそれだと食べていけないから美容師の仕事もやっているのが現状ですね。今のお店ではとてもよくしてもらってますし、お客さまも大好きですけど、本音をいえばやすやヘコが豊かな人生を送るために、動画編集だけをしていけたらいいなっていう思いがあります。
美容師って美容が大好きで生きがいみたいな人しかやっちゃいけないっていう風潮があって、お金のために仕事をしてるなんて絶対に言えない空気感がある気がするんです。でもお金のために美容師をやっている人だって、目の前のお客さまに真剣に向き合っているし、誇りを持っていいと思います。そこをごまかすと自分がすごく気持ち悪いんで、正直に言っていいんじゃないかなって思っていますね。
やすさん:僕たちの認知度があがることで、そういう生き方でもいいってことが伝わればいいですよね。美容師ってがんばればなんとかなる、練習すればうまくいくよっていう教育を受けてきているんですけど、現実を見ればそうじゃないことも多いです。美容師をしながら、別の道で稼ぐのは後ろめたいことじゃないし、胸を張っていけるようになればいいかなと思いますね。
————最後に、今後の目標はどのように考えていますか?
ヘコさん:まずはチャンネル登録者数10万人にしたいです。銀の盾がほしい(笑)。そしてもっと認知度をあげて「美容師のYouTubeコンテンツといえばわがブスチャンネルだよね」って思ってもらえるようになりたいですね。
やすさん:美容師をやりながら美容師を上回る収入をYouTubeで出してみたいです。
とっちーさん:それは3人共通の思いとして、一貫してありますね。それこそこんな田舎の美容師でもなんでもできるということを、体現できたらいいなと思います。
わがブスチャンネル流、道を切り開いていくコツ
YouTubeを通して認知度をあげた3人に、道の切り開き方を伺うとポイントは以下の3つでした。
1.美容師ならではの粘り強さで、YouTubeでトライ&エラーを繰り返した
2. 雑誌やラジオ、ファッションブランドなどを通し、YouTube以外の認知も広げる
3. 嘘をつかず自分たちらしく活動をしていく
ロックな見た目からは想像もできないほど、堅実にコツコツと自分たちの道を探っている3人。そのうちに秘めた熱意と、等身大の自然体な姿が画面を通して伝わり、YouTubeでの人気につながっているのだと感じました。YouTubeを始めたい方や、さらに登録者数を増やしたい方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。