カットに苦戦し、自分を許せなかった新人時代。逃げずに向き合えば必ず突破できる「Skill 渋谷」後藤愛夏さん
東京・渋谷に2023年2月にオープンした、岩本桂弥さんが代表を務めるメンズサロン「Skill渋谷」。今回登場いただくのは、トップスタイリストを務める後藤愛夏さんです。
前編では後藤さんが美容師を目指したきっかけや、岩本さんの専属アシスタントとして働いていたときの経験について伺いました。
後編では、「Skill 渋谷」に異動してからの後藤さんについて伺います。異動前まで岩本さんの元で働き、アシスタント業務もカリキュラムもかなり順調だったという後藤さん。
しかし異動後は、カットと複数スタイリストへの対応という壁に直面したといいます。
岩本さんからの指摘を受け、悔し泣きすることが多かったという後藤さんですが、どんなに気持ちが落ち込んでもその日のうちに切り替えて、練習は一日も欠かさないことを自分に課していたそうです。
お話を伺ったのは…
後藤愛夏さん
「Skill 渋谷」スタイリスト

2001年、東京都生まれ。小学校3年生から高校3年生まで、EXILEのバックダンサーとして活動する。原宿ベルエポック美容専門学校を経て美容師免許を取得。美容専門学校在学中に、当時フリーランス美容師として活動していた岩本桂弥さんと出会い、その後、専属アシスタントとして採用される。
2023年4月に「Skill 渋谷」に入社。現在はトップスタイリストとして活躍し、サロンの中心メンバーのひとりとして存在感を発揮している。
壁に悩んだ新人時代。続けていれば必ず乗り越えられる
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――実際に「Skill 渋谷」に異動してみて、いかがでしたか?
たくさんの壁がありましたね。ひとつはカットの壁です。「Skill 渋谷」に移ったタイミングで、ちょうどカリキュラムが最終段階のカットに入りました。パーマやカラーは1年ほどで順調にマスターできたのですが、カットの習得には丸1年ほどかかってしまったんです。
それまでカットは見ているだけで、実際に自分の手で切った経験がほとんどありませんでした。なんとなくのイメージはあっても切り始めると分からなくなってしまって。理論的に理解して初めて動けるタイプの私にとって、理屈がわからない状態でのスタートにはとても苦労しました。
――それはどのように乗り越えたのですか?
頑張ればいつか絶対に終わるという、「為せば成る」の精神です。どんなに苦しいときも、取り組んでいれば先に進めると信じていました。
またモデルさんをカットしたときには必ずフィードバックをもらい、その1つひとつを理論として腑に落としながら、少しずつできるようになっていったと思います。
――ほかにも壁がありましたか?
ありましたね。「Skill 渋谷」に移ったことで、担当するスタイリストが増え、アシスタントとして求められる技術の幅も一気に広がりました。
スタイリストによって大事にしているポイントや動き方が違うので、岩本以外のスタイリストにはすぐにアシスタントに入れないという壁にぶつかったんです。
――それはどのように乗り越えたのでしょうか?
スタイリストに「できているところをしっかり見せる」ことが重要だと思いました。お客様からお金をいただいている以上、たとえアシスタントであっても信頼関係がないと任せてもらえません。
その信頼を得るために、できない施術があれば必ず練習し、スタイリストに見てもらうことを徹底していました。
――そのようにして、スタイリストの信頼を得てきたのですね。
はい。もうひとつ意識していたのが、営業に入る前に反省点や知識を書き留めたメモを必ず見返すことです。メモはどんどん長くなるのですが、それでも必ず見返し、絶対に同じ失敗を繰り返さない仕組みを自分で作っていました。
「誰でもできることを誰よりもやる」。忘れられない師匠の言葉

――後藤さんは精神的にタフな印象がありますが、壁にぶつかったときはいかがでしたか?
意外とお豆腐メンタルなところもあるんですよ(笑)。気持ちが折れてしまうことはなかったですが、岩本から指摘を受けて悔し泣きをすることはよくありました。
ただ、私が自分で「強いな」と思うのはどんなに怒られて泣いても、岩本が帰ったあとには必ず残って練習をしていたことです。気持ちはその日のうちに切り替えて、手を動かすようにしていました。
――その積み重ねが今の後藤さんを作っているのですね。岩本さんからは、どのような指摘を受けることが多かったのでしょうか?
スタイリングなどの技術面はもちろん、接客の気遣いについても、本当にたくさん指摘を受けました。
たとえばお客様に立っていただく際に、出口から遠い方向に椅子を回していたり、お客様が帰る前にエレベーターを呼べていなかったり。今思えば当たり前のことですが、当時はできていないことが多かったんです。
――たくさん指摘を受けて成長されてきたのですね。
今となっては、本当にありがたい時間だったと思います。とくに印象に残っているのが、岩本からよく言われていた、「誰でもできることを、誰よりもやる」という言葉です。
岩本らしい言葉だし、とても深いなと感じて、仕事に入るときはいつも意識していました。どこに出しても恥ずかしくない人間に育てようとしてくれていたんだなと、感謝の気持ちでいっぱいです。
女性美容師だからこそ提案できる、女性目線の「モテ」

――現在はスタイリストとなり、指名のお客様も多いとお聞きしました。そんなにたくさんのお客様から指名を受けるようになった理由は?
インスタグラムを使ったブランディングはかなり意識してきました。インスタはアシスタント時代から毎日1投稿を徹底していて、通勤時間の1時間をすべて動画作成にあてるなど、すき間時間を使って集客の基盤を作ってきたんです。
アシスタント時代は、ウィッグを使ったメンズのセルフスタイリング動画や、スタイリング講座のような内容を投稿していました。
――後藤さんのインスタを見ると、プロフィールに「モテ髪ヘア」と書かれていますね。
はい。メンズサロンのなかの女性美容師という立ち位置を考えたときに、その強みを活かそうと思って。「女性目線でのモテ」を軸にした、似合わせの提案を発信するようになりました。そうした発信を続けていくうちに、少しずつ自分のポジションが確立していった感覚があります。
また、SNSに自分の写真を投稿するときは、なるべく可愛らしく見せつつ、実際に話してみると親しみやすいと思ってもらえるよう、そのギャップも大切にしています。
――お客様との信頼関係づくりで、意識していることはありますか?
まず、お客様がやってみたいと思っているスタイルに対して「似合わない」という言葉は絶対に使いません。お客様が心のなかに秘めている「本当はやってみたいスタイル」を引き出しながら、どうすれば似合うのかを考えて、「こちらの方が似合いそうですね」と伝えるようにしています。
私は「絶対に似合わないスタイル」というのは存在しないと思っています。お客様の「やりたい」を叶えながら、似合わせる工夫をすることが美容師の仕事だと思うんです。
――なるほど。そのように提案してもらえたら、かなりうれしいですね。
あとは新規のお客様にはこれまで通っていた美容室で嫌だったことを、必ず伺うようにしています。「自分が思っていたより、短くされて嫌だった」、「本当はもう少し毛量を取ってほしかった」など、こちらが聞かないと伝えづらいことも多いと思うので。
そしてそこで伺ったことは絶対にしないということを大切にしています。その積み重ねが3回ほど続くことで初めて、「この人は信頼できる」と感じてもらえるのではないでしょうか。
――後藤さんにとって美容師のやりがいとは?
先ほどのブランディングとも重なりますが、自分という「商品」の価値を高め、そのうえでお客様に満足を提供することだと思っています。
私のお客様は、美容にものすごく熱心というタイプの方ばかりではありません。正直なところ、できれば美容室にはあまり来たくない、という方も多いんです。そんなお客様と少し近い関係性を築くことで、私と話しに来る、近況報告しにくるという感覚で足を運んでくださる。その時間が私にとってはとても楽しくて、大きなやりがいにつながっています。
――最後にこれから美容師を目指す人に、新人時代の過ごし方のアドバイスをお願いします。
先輩や上司から指摘を受けて満足するのではなく、それをどう自分のなかで腑に落として、改善につなげられるかが大切だと思います。
指摘を受けるのは正直つらいですが、言ってくれる人を大事にすること。そしてその日のうちに練習する、メモに残すなど、自分の時間をどう使うかで、周りとの差は確実に出てくると思います。
大変なことがあったとしても、正しい努力を続けていれば必ず報われる日がくるはずです。美容師という仕事を一緒に楽しみましょう!
新人時代の後藤さんが大切にしていた3つのポイント
1.どんなに落ち込んだ日も、練習を欠かさなかった
2.指摘をもらった点は必ずメモし、次に活かした
3.アシスタント時代から毎日SNS投稿を続けるなど、継続力を大切にした
岩本さんの元で過ごした新人時代、そして「Skill 渋谷」での挑戦の日々。後藤さんが積み上げてきたのは、派手な成功体験ではなく、目の前の課題と向き合い続けた時間でした。
できない自分から逃げない。その積み重ねが、今の後藤さんを作っています。これから後藤さんがどのような道を進んでいくのか、その活躍にも注目です。
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Skill 渋谷
住所:東京都渋谷区神南1-15-8 ひきだしのような家に2F
TEL:03-6844-3851
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