貯金も何もないゼロからでも自分の店は持てる!  ヘア&マツエクサロン sora 渡辺そらさん#1

「自分の店を持ちたい!」と考えている人に、さまざまな独立の形をご紹介している本企画。今回ピックアップするのは美容師としてサロンを運営する傍ら、メイクアップアーティスト、カメラマンなどさまざまな顔を持つ渡辺そらさん。

前編では、貯金も知人もすべてゼロからサロンを立ち上げるまでのお話を伺いました。

お話を伺ったのは…

ヘア&マツエクサロンsora 代表 渡辺そらさん


美容専門学校を卒業後、2つのヘアサロンを経て1回目の独立。その後、3人のお子さんを連れて離婚し、2回目の独立を果たす。現在はカメラマン、メイクアップアーティストとして撮影に参加するほか、着物をドレスのように着付ける「きものdeどれす」を発表するなど、活動は多岐にわたっている。

勤めていたサロンのフランチャイズ店舗を買い取ったのが最初の独立。

サロンで撮影することもしばしば。ヘアメイクも撮影も渡辺さんが担当。

──渡辺さんは最初にお勤めしたサロンはどんなサロンだったのですか?

美容専門学校を卒業してから、初めて勤めたサロンは南足柄を中心に展開している中規模のサロンでした。いつまで経ってもシャンプーしかさせてもらえなかったので1年で辞め、別のサロンに転職。ここでみっちり修行をして、腕を磨きました。

──このサロンには何年くらい所属していたのですか?

10年くらいですね。その間に結婚して子どもを3人授かりました。

このサロンはフランチャイズ展開をしていて、当時の夫は店長として、私はマネージャーとしていくつかの店舗の運営を任されていたんです。転職してから10年目にその店舗の一つを買い取って、夫婦で独立しました。

──その店舗はこのsoraとは違いますよね?

実は夫のDVに耐えられなくて、子ども3人を連れて家を出てしまったのです。私にとって初めての店ですから、とても思い入れがあったのですが…。

親友のお母様が家庭裁判所に勤めていて、私の事情を相談していました。アドバイスに従って、預金通帳や現金などの貴重品は一切持たず、同じ神奈川県内でも知り合いも縁もない、この相模原市に逃げてきました。シェルターに入って、生活保護を受給しながら職を探したのが、もう11年も前になります。

──まさに「体ひとつ」ですね。そのときのお子さんの年齢は?

上から12才、10才、8才でした。子どもたちが学校から戻るのを待って、すぐそのまま家を出たので、ランドセルしか持っていなかったんですね。大好きなおもちゃや思い出が詰まったものはすべて置いてきました。可哀想なことをした…と思っています。

──すぐに働かなくてはならない状況で、美容師以外のことは考えましたか?

私が美容師になったのは、「いつか自分のお店を持ちたい」という夢があったから。だから美容師以外のことは考えなかったですね。家を出てから、ヘアメイクのアルバイトをしていました。

離婚するために弁護士と相談していたとき、「お金が一円もなくて、これから先のことが何も決まっていないのに、こんなに明るい人を見たことがない!」と言われたんですよ。
「やっと自由になれた~!」というワクワク感しかなかったですね。このとき「自分の店を持とう!」と決めました。

シェルターを出て引っ越した先の1Fが理容店。ここにも縁が。

鏡やフレームなどはIKEAで購入。あしらい方でお洒落な内装に!

──シェルターから出て、どちらに引っ越したのですか?

このサロンのある2階にあるアパートです。

この建物の大家さんでもあるおばあさんが、1階の床屋も経営していました。おばあさんもそのご家族も私の事情を知っていて、本当に良くしてくれたんですよ。そのおばあさんが亡くなって、息子さんが「床屋を閉めるから、その後、使わないか?」と声をかけてくださったんです。必要なときに必要な人が声をかけてくださるものなんですね。

しかも、ちょうどそのときアパートの2階で水漏れがあって、1階の床屋部分の天井と床、壁が濡れてしまったんです。お店を改装するときは、天井、床、壁は大家さんが負担してくれました。

──すごい強運ですね! それでも鏡やシャンプー台など出費がかさみそうですが…

お金をかけなくても何とかなるものですよ。鏡やフレームなどをIKEAで買い揃えて、建具職人の父に施工してもらいました。全部で100万円かかっていないと思いますよ。

──先ほど「知り合いのいない所に逃げた」とおっしゃっていましたが、ここでお店を開いても、お客様はどうやって獲得したのですか?

子どもたちが通っていた学校や野球チームのママ友つながりから、お客様を広げていきました。

一般的に美容室は土曜と日曜が忙しくなるので、週末にクローズするところはあまりないですよね。でもsoraは土曜定休です。子どもが野球をやってるお母さんたちは、当番制で試合の応援に行ったり、練習の準備をします。うちも子どもが野球少年だったので、土曜日は試合を観に行ったり、学校の行事に参加したりしていました。

──バリバリ働きながら、母親の仕事もこなすなんて。お子さんたちも嬉しかったのでは?

子どもたちは、私のことを「好きなことしかやらない」と思っていますよ、きっと(笑)。

──お子さんたちは今、何歳になったんですか?

25歳の長男は一人暮らしをしています。23歳の長女はこの春から社会人になって一人暮らしを始めます。21歳の次男は大学三年で、実家で暮らしています。

子どもが大きくなってアパートで4人が暮らすには手狭になったので、6年前、この近所の一軒家に引っ越したんです。最初は賃貸契約だったのですが、大家さんが「手放したいから、そのまま買い取ってくれるなら安くする」とおっしゃって。「そろそろ自分の家がほしいなぁ」と思っていたタイミングだったので、即、買い取りました。

ただ、コロナのこともあり、一緒に生活するのはお互いにリスクがあると判断して、私が家を出ました。

──サロンも家も、ベストなタイミングで手に入れたなんて。すごいですね。

車もそうです。撮影などの仕事をするのに「車があったら便利だなぁ」と思っていたら、実家で車の買い換えを考えていたらしく、譲ってもらいました。何でも口に出して、いろいろな方に伝えておくと実現します。私もいろいろな人に、これから実現したいことや夢、欲しいものを言っています。お客様にも言っているんですよ(笑)。そこから広がって、何かが動き出すと信じています。

独立を目指すときに心がけておきたい3つのポイント

1.下調べは念入りに。始めるときは一気に行う。

2.お金はないなりに乗り越えられるが、工夫とセンスは必要!

3.実現したいことや夢は人に伝えて少しでも前進させる

コツコツと努力と実績を積み重ねて実現したご自身のお店。ここを立ち去って、何もないところから2つ目のお店を築いた、とってもパワフルな渡辺さん。お話を伺っているだけで、自然と元気と勇気が出てきました。

後編では、カメラマンとして撮影技術の勉強をしたり、着物をドレス風に着付ける「きものdeどれす」を考案したり、さらなる飛躍を目指す姿をご紹介します。

SALON DATA

ヘア&マツエクサロン sora
住所:神奈川県相模原市中央区上溝5-12-17-1F
電話:042-815-3474

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