お客さまと向き合う時間を大切にするためフリーランスの道へ 美容師・滝澤翔太さん

フリーランスとして働きながら、訪問美容や国立がんセンター内のサロンでも活躍されている滝澤翔太さん。前編ではその仕事の魅力について伺いました。

訪問美容での介護度の高いお客さまへの施術は、姿勢を維持するのが難しい方や、コミュニケーションが取れない方も多く、最初は難しさを感じたそう。しかし奇跡的な瞬間にも立ち会え、美容の仕事の奥深さを感じたといいます。また国立がんセンターでは髪について悩まれる方が多いがん患者の方への施術を担当。メンタルケア心理士の資格を取得し、安心して話せる環境を心がけているそうです。

後編では滝澤さんの美容師人生を振り返りながら、3つの転機についてお話いただきます。美容師という仕事に対して本気になった瞬間、フリーランスという選択をした理由、旅を通じてもう一度美容師の仕事に取り組んでみようと思った過去。それぞれの瞬間に、美容に対する熱い思いが感じられました。

今回お話を伺ったのは…

滝澤翔太さん

美容師・「GOTODAY SHAiRE SALON銀座キラリトギンザ」マネージャー
フリーランス美容師として働く傍ら、株式会社訪問美容サービスでは、訪問美容の施術以外に営業も行う。国立がんセンター内の「T&S salon」ではがん患者の方へ施術を行っている。

Instagram:zawataki_0924

カット後、お客さまが泣いて喜んでくれた瞬間に立ち会い、美容の仕事の魅力に気づく

銀座という土地柄もあり、エレガントなスタイルを作ることが多いという滝澤さん

──美容師を志した理由は?

音楽で生きていくのを夢を見ていたのですが、音楽で生活していく厳しさを知り、美容も好きだったので、美容師もいいかなあと思ったんです。でも最初は全く高い志もなく。今考えてみるとこれが逆によかったですね。最初に勤めた会社は、かなり体育会系のサロンだったのですが、美容師はこうあるべき、というビジョンがなかったために、こんなものかな、と受け入れることができたんです。

──なるほど。そこから心境が変わっていったんですか?

あるとき、仕事が忙しすぎて髪を一年くらい切っていない方が来店されたんです。カットとカラーでイメチェンしてきれいになったんですけど、完成した姿を見てポロポロ泣き始めて…。なんか失敗しちゃったかな?とびっくりしたんですけど、「美容を楽しむことを忘れていた」って、泣くほど喜んでくれていたんです。そのときに美容師の仕事というのは、髪の毛を切るだけで人生を変えることだってできる仕事だと気づき、そこから美容師の仕事にのめりこんでいきました。

お客さまとの時間をもっと大切にしたいという思いから、フリーランスの道へ

滝澤さんが所属し、マネージャーも務める「GOTODAY SHAiRE SALON銀座キラリトギンザ」

──そこから2店舗を経てフリーランスになられたそうですが、そのきっかけは?

美容師として成長し、お客さまが増えるに従って、ひとりひとりと接する時間が減るというジレンマに陥ってしまったんです。社員としてお店に所属していれば、どうしても施術の一部をアシスタントに任せる必要も出てきます。ひとりひとりのお客さまにしっかりと施術をしたいと思っていたときに、マンツーマンでの施術に魅力を感じ、フリーになることを決めました。

今の仕事の割合でいくとシェアサロンが6割、あとの2割ずつが、訪問美容とがんセンターでの勤務になるんですが、フリーランスになっていたからこそ、こういう働き方ができているなと。何か仕事のお話をもらったときに、自分がやりたいと思ったらさっと動けるし、いろいろなことにも挑戦でき、自分にはフリーランスが性にあっていると思いますね。

──なるほど。シェアサロンでは現在マネージャー職も務められているそうですね。

はい。シェアサロンでは珍しいと思いますが、僕の所属する「GOTODAY SHAiRE SALON」ではそのお店を取りまとめるマネージャーが在籍していて、美容師ひとりひとりがもつ能力や才能を見つけ出し、エンパワーメントしていける場所を目指しています。在籍するフリーランス美容師に売上や集客などについて相談を受けたり、フォローをすることもあり、「なりたい美容師像」を実現していくためのサポートを心がけています。またサロンの使い方のルールを決め、徹底してもらうように促すのもマネージャーの仕事ですね。ここでもメンタルケア心理士の資格が役立っていて、気持ちに寄り添いながらアドバイスができるようになりました。

美容師に「再就職」。初心を思い出し、美容師の道を極めようというきっかけに

「訪問美容サービス」の仲間と。訪問美容のイメージを変え、携わる美容師が増えるようにしていきたいと考えているそう

──お話を聞いていると、滝澤さんにとって美容師は天職という感じですね。

今はそうですね。過去には、一度美容師をやめようと思ったこともあります。以前働いていたサロンでお客さまではなくスタッフに気を使う環境になり、辛くなってしまって。もう美容師はいいかなと思い、その会社はやめたんです。そのあと空いた時間を利用して、アジアの貧しい地域を1ヶ月半ほどまわり、そこで貧しくても生きるために一生懸命で、それでもみんな笑ってる姿を見ていたら人生観が変わり、自分の悩みなんてまだまだ小さいと思えたんです。

日本に戻ったタイミングで、以前の上司にたまたま声をかけられ美容師に戻ることにしたんですが、もう一度やるなら初心に帰り、もっと本気でやろうと。心情的には美容師に再就職したような気持ちでしたね。美容師を辞めようと思うくらい辛い体験をしましたが、この経験が訪問美容やがんセンターでの施術にも役立っているし、もっともっと美容師の仕事にのめりこんでいくようになりました。

──最後に、今後の目標を教えてください。

フリーランス美容師に対して、いろいろな働き方ができる可能性を伝えていけたらと思っています。僕は訪問美容をやっていますが、それ以外にもたくさん働き方はあるし、美容師以外の仕事をしながらキャリアを広げていけるのもフリーランスの魅力です。そんなことを伝えていけたらいいなと思っています。

もうひとつの目標として、訪問美容のイメージをあげ、もっと認知を広げていきたいと思っています。過去の自分もそうだったんですが、訪問美容は現役を引退した美容師がやっているというようなイメージが強く、あまりいい印象がないと思うんです。でも介護現場でのニーズはこれからも高まっていくと思いますし、現役バリバリで活躍している美容師の技術だからこそ高齢者の方を笑顔にできることもあると思いますので、もっと認知を広げ、携わる方を増やしていきたいですね。
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滝澤さんの美容師人生を変えた3つの転機

滝澤さんの美容師人生を変えた3つの転機は、以下の通りでした

1.施術後に泣いて喜んだお客さまを見て、 美容師の仕事の魅力に気づいた

2.お客さまにちゃんと向き合えるよう、フリーランスに

3.旅によって視野を広げることで、美容師を続けようと思った

訪問美容、がんセンター内でのサロンワークなどさまざまな分野で、精力的に活動する滝澤さん。勉強熱心で、美容に対する熱い思いが感じられましたし、それぞれの仕事を心から楽しんでいる姿が印象的でした。サロンワーク以外でも美容の技術を活かしてみたいという方は、参考にしてはいかがでしょうか?

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