サロンでいちばん大切なのは技術。地道な努力があってこそ! pinceau代表・山岸亜由美さん#2

人気サロンであり続けるには、企業努力が欠かせません。どんなことに着目して努力を積み重ねているのかを伺います。

2010年10月、麻布十番にヘアサロンpinceauをオープンした山岸亜由美さん。前編では
起業を決意したきっかけやサロンが完成するまでをご紹介しました。後編では、東日本大震災を乗り越えて経営を続ける難しさや楽しさについて語っていただきます。

お話を伺ったのは…

pinceau
代表 山岸亜由美さん


美容専門学校を卒業後、都内の大手サロンに就職。7年勤務したところでお父様の看病を機に退職。その後、別の都内の大手サロンに転職し、実績が認められて店長も経験。2010年に起業し、麻布十番にpinceauを構える。サロンワークのかたわら、テレビや雑誌などの取材もこなしている。

起業すると小さな事から大きな事までひとりで「決断」するのが仕事

カットもブローも納得いくまで技術をみっちり伝授。

──実際に起業して大変だったことは何ですか?

どんなにささいなことでも、ものすごく大きな問題でも、あらゆる事を決断しなければならないのが、慣れなかったですし、大変でした。誰かに相談したくても、私ひとりなので。
ただ幸運なことに、お客様に会社を経営なさっている方が多いので、よくお客様に相談していました(笑)。

──共同経営者はいないのですか?

会社の経営はお金が絡むことですし、私が自分の責任で思い通りのサロンをつくりたかったので、誰かと共同で経営することは考えませんでした。

──そのほかに大変なことは何ですか?

人の育成ですね。技術を身につけることも大切なのですが、仕事に対する想いが一緒な方と働きたいと思っています。私はまだ未熟なので、現在はコーチングの先生にも助けていただき、スタッフ育成に力を入れています。。

──逆に起業してよかったことは何ですか?

苦労して頑張った分だけ、喜びが何倍にもなって返ってきます。

それと、私が納得できる人材の育成ができることですね。技術はもちろんですが接客に関しても細かく指導しています。

例えば、毎日サロンの仕事が終わったら反省会をします。お客様は喜んでお帰りになったとしても、それで満足してはいけません。接客や電話応対のスムーズさなどチェックします。特に電話に関しては会話を録音しているので、ちゃんと聞き直して言葉遣いなどを見直しています。細かすぎて嫌がれているかもしれませんね(笑)。
でも、この積み重ねが大事なんです。

──事業を継続するのは大変なこと。10年以上も続けられている理由は何でしょうか?

まずは地道な努力でしょうか。サロンにとっていちばん大切な事は技術。他のサロンより勝っていなければなりません。人気とか話題になっているサロンへは、必ず体験しに行って、「何が違うんだろう」、「人気の理由は何だろう」、「私だったらこうする」といろいろ考えます。そこから自分の精度を高めているのです。

お客様に対しては、シャンプーなどの商品はもちろん、カットでもカラーリングでも、その方にとってプラスになるものしかおすすめしません。サロンによっては商品販売のノルマがありますが、うちではあり得ません。それが信頼関係につながっているのでしょう。お客様のほとんどがオープン当初からずっと通ってくださっている方ですから。

結果は後からついてくるもの。信頼が何よりも大事!

旅先で印象に残った1シーン。旅は五感を刺激するために欠かせないとか。

──競争が厳しい美容業界で、人気サロンであり続けているのはどうしてでしょうか?

美容業界に限定せず、一流のレストランやホテルで「いい体験」をすることだと思います。そこに学びがあります。私もアシスタントの頃から、お金が貯まったらちょっと背伸びをして高級なヘアサロンやスパ、ホテルへ行って本物を体験していました。実際にいいサービスを受けないと、それを超えることができません。

話題になっているレストランやホテルで「感じがいいな」と思ったら、すぐに取り入れますし、スタッフにも情報を共有します。ホテルマンたちの立ち居振る舞いはすごく参考になるんです。立ち方、お客様を待つたたずまいなど、よく観察しています。

──具体的なサービスなど、取り入れていることはありますか?

私はお客様のカルテに、その日にご提案したスタイルのこと、お客様のご旅行などのスケジュール、その日に会話した内容などを細かく書き入れています。次回お見えになったときにカルテを読み返せば、前回のスタイルを踏まえた新しい形をご提案できます。

親身になってお客様に対応する姿勢は何よりも大事。どんなときでもお客様に誠実に接していれば、ちゃんと結果は後からついてきます。

──これから起業する人が身につけておくべき技術や能力はありますか?

「起業する」と決めたからには、ご自身の技術には自信があるのだと思います。ただこの仕事には感性も必要です。五感を研ぎ澄ますことで、人としても魅力も高まります。

私も五感を刺激するためによく旅をします。美しい風景や美術品、ファッションなどに出合うために、休暇のたびに海外へ出ていました。

──起業に向いている人、逆に向いていない人はどんなタイプでしょうか?

起業に向いているのは、ポジティブな方ですね。お客様にお叱りを受けることが多々あります。そんなとき、いちいちへこんでいては前に進めません。「私なら乗り越えられると思ってアドバイスをしてくださっている」と発想の転換ができる明るさが必要です。

あとは細かな事が得意な方。数字が苦手な方は、どなたかサポートしてくれる人を見つけておいた方がいいと思います。向いていないのはネガティブな人ですね。お客様を笑顔にできない方は、この仕事には向いていません。

──起業から成功へつなげるために必要なことがあれば教えてください。

ゆらぎのない自信を持つことでしょうか。「自分は指名数NO.1だった」など、とことんやりぬいた人でなければ実績は築けません。自分に自信がもてないと、お客様にその不安感が伝わってしまいます。

もうひとつ大事なことは準備をしっかりしておくことです。私も起業するにあたって何パターンもシミュレーションをしました。経営も実際のサロンワークも準備を怠ってはいけません。例えば、その日の仕事が終わったら、翌日のお客様の準備をしておきます。ゆとりがあればミスはしません。たとえ何かが起きたとしても準備しておけば対処できます。

──最後に、山岸さんの今後の目標を教えてください。

私はスタッフに一流の技術を伝えるために起業しました。それは今でも変わりません。
スタッフにはもっともっと活躍してほしい。pinceauというブランドを守りながら、輝く人を育てていきたいですね。
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山岸さん流! 経営を継続させるために必要な3つのこと

1.現状に満足せず、新しい技術や技法を研究する

2.常に「一流」を体感し、完成を磨く努力をする

3.経営も仕事も準備・計画を念入りに行う

サロンを訪れる一流のお客様たちに、絶大な信頼を寄せられている山岸さん。その秘密は地道な努力によって培われた高い技術力と感性にありました。

これほど成功を収めていても、今なお人気のサロンへは必ず施術を受けに行く…という、その探究心の深さにも驚かされます。経営を継続させるには、さらなる未来を見据えて努力を怠らない姿勢も必要のようです。

Salon Data

pinceau
住所:東京都港区元麻布3-11-3 パティオ麻布十番2-2F
電話:03-6804-1256
Facebook:Pinceau

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