名古屋、東京、大阪3拠点でのサロンワークがつないだ縁で、美容師としてさらに パワーアップ！ 西鉄平さん
高いカット技術で活躍している西さん。マンツーマン施術にシフトしても、以前より高い売上をマークできているそうで、前編ではそれを可能にした、方法について伺いました。新規顧客数を少なくし、来店周期を2カ月から3カ月になるように調整。そうすることでひとりひとりに丁寧に接客できるようになり、お客さまの満足度もアップ。さらにカット技術を確立することで料金も値上げすることができたといいます。
後編では西さんが実現させた、3拠点でのサロンワークについて詳しく伺います。3拠点で働くことによって人脈が広がり、定期的に勉強会を開けるようになったり、現在オーナーを務める美容師向けオンラインサロン「SEED」の土台も作られたのだとか。またさまざまな美容師と交流するなかで自分が大切にしたいことを再認識し、独立するきっかけにもなったそうです。
今回お話を伺ったのは…
西鉄平さん
美容師・名古屋「invitation」店長、 EMANON銀座・梅田 在籍
三重のサロンで9年務めたのち、名古屋のサロンに転職。2020年7月からフリーランスとなり、名古屋「invitation」で店長を務めるかたわら、東京・銀座と大阪・梅田のシェアサロンにも在籍し、3拠点でサロンワークを行う。ショート・ボブ・ウルフカットを得意とし、他店で断られていたお客さまにも満足度の高い施術を行うことで、リピート率92％を誇る。美容師向けオンラインサロン「seed」オーナー。
離れても求められることに喜びを感じ、数名のお客さまからスタートした3拠点生活
西さんが大阪の拠点にしている「EMANON 梅田」。
──東京・大阪にも進出し、今では3拠点でサロンワークをされているとのことですが、どのようにしてそれを実現したのでしょうか？
最初のきっかけは、以前名古屋で担当させていただいた何人かのお客さまが東京に引っ越したり転勤したりされて、東京でも髪を切ってほしいと声をかけられたことです。最初のころは1日だけ東京に行き、5、6名のお客さまを担当させていただいていました。正直最初は移動代やホテル代がそんなにかけられなかったので、夜行バスに乗って、安いホテルに泊まってという感じでしたね（笑）。大阪は僕の地元なので、友達ややはり転勤や引っ越しで大阪に行った方から声をかけてもらったのがきっかけだったんです。
そこから、段々とお客さまを紹介してもらったり、SNS経由で新規のお客さまが増えてきて、今は月に4日東京、大阪が2日から3日という形になりました。今では新幹線で移動できるようになりましたが、その形になるまで1年ぐらいはかかりましたね。
──その1年の間はそこまで利益としてはなかったということですが、月1回行くモチベーションはどんなところにあったんですか？
まずはそんな風に離れても、自分の技術を求めてもらえるということがとてもうれしかったからです。それは利益には代えられないものがあって、もうそれだけで幸せというか（笑）。
それと売上としてはそこまでではなくてももうひとつメリットがあったんです。僕はわりと気になる美容師さんがいたらDMで話かけたりすることが多くて、東京に月1回行くようになったときに、SNSを通じて仲良くなった数人の美容師を集めて勉強会をかならず行っていたんです。たとえば「パーマが得意な人が来てくれるからパーマの話をしよう」とか、「今日集まる人はみんなショートが得意だから、ショートを比べてみよう」というような感じで。そうやって人脈も広がったし、自分もいろんな人の技術を習得できてとても勉強になって、ここで元を取れているからいいかな、と（笑）。さらにそれがきっかけとなって美容師向けオンラインサロン「SEED」が始まったんです。
広がった人脈からオンラインサロンがスタート
高いカット技術を持つ西さんの元には、若い美容師が集まり頼られることも。そのことにやりがいを感じているそう
──オンラインサロンはおひとりでやられているんですか？
東京行きのなかで出会った渡来俊彦と一緒にはじめました。僕も渡来もありがたいことにこれまで売上を一定数キープさせることができているので、売上やサロンワークという広いコンセプトを設定し、10日に1回、僕と渡来が交互で動画を出しています。オープンチャットで悩みを聞いてそれを解消する方法を動画にしたり、僕はカットが得意なので今人気のスタイルの切り方を動画化してみたり。あとは有名店で働いている方とか、すごい実績をつんでいる人をゲストに呼んでセミナーをすることもあるので、サロン会員にはオフラインでもセミナーが見れるという得点も用意しています。
──オンラインサロンをやってきてよかったと感じるのはどんなときですか？
熱心な若手の美容師さんが「勉強になりました」と言ってくれたり、「こんなことができるようになりました」とお礼の連絡をくれたりすることがあるので、それがとてもうれしいですね。僕ももう15年選手になってしまったのと、フリーランスなのでアシスタントと関わる機会がほとんどないんですが、そうやって頼ってもらえることがやりがいになっています。
後悔してもやりたいことを優先させる。そう決意したコロナ禍の独立
西さんの東京の拠点「EMANON 銀座」。シェアサロンを利用することで、東京行きの日数も調整しやすいそう
──勉強会はDMで声をかけたところからつながったとおっしゃってましたが、西さんはSNSでつながりを作るのが得意なんですか？
そうですね。さらにコロナ禍でそれが加速したかもしれないです。あのころは夜な夜なインスタライブをしている方も多く、SNSでのつながり作りが盛んだったので。そのなかでもなぜか僕は、自分で言うのもなんですが文章を丁寧に送るようにしているからか、好意的な返事をもらえることが多いです。フリーランスになることを決めたのもこのころで、コロナ禍でできた人脈のなかでいろいろな方のお話を聞いたり、自分でもいろいろ考えるなかで決めました。
──コロナ禍の独立は勇気がいりませんでしたか？
会社に雇用されているほうが守ってもらえるという考え方もあるかもしれませんし、会社にはすごくよくしてもらっていたのですが、あのときの状況を考えると、ひとりで素早く動けたりとにかく行動をすることのほうがリスクを回避できるのではないかと思ったんです。僕の見えている世界になりますが、だれもできないことを行動している人のほうが成功度が高いとも感じていたので、後悔してもいいからやりたい方に進もうと決心しました。コロナ禍で良かったとまではもちろん思いませんが、自分のキャリアを考えるきっかけにはなったと思います。
──最後に今後の目標を教えてください。
今後も3拠点の働き方を続けていきたいなと思っています。体力的にはいつまで続けられるか不安もあるのですが（笑）。いろんなお客さまに出会えて、自分の技術でお返しするというサロンワークのすべてが楽しくてしょうがないので、できるだけ長く続けたいですし、技術面の強化も引き続きがんばっていきたいです。
それとSNSを通じてつながったケミカルやヘアケアに強い美容師さんと商品開発もしていて、土台は同じものなんですがそれぞれ違うブランドとして個人でシャンプーを販売しようと考えています。そんなに商品がたくさん売れなくても、自分のお客さまに使ってもらえるだけでも幸せなので、そんなことが実現できたら、と。あとはSNSでお客さまのためになる美容情報なども発信していきたいなと考えています。僕が髪を切るだけでなく、自宅で実践できるヘアケアなども伝えていき、お客さまが楽しく過ごすお手伝いをだきたらうれしいです。
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西さんの3拠点生活から実現した3つのこと
西さんが3拠点生活をすることによって、実現したのは以下の3つでした。
1.人脈を広げ、定期的に勉強会を開催し、技術力アップ
2.広がった人脈から、オンラインサロン開催につなげた
3.フリーランスとなり、よりお客さまが満足できる施術が可能になった
西さんのお話を聞いて印象的だったのは「幸せ」という言葉がたくさん出てきたこと。ひたむきに追及した技術をお客さまに提供し、喜んでもらうことにやりがいを感じている西さんの根源の思いに触れたようでした。美容師としてさらに飛躍したい方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
